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ぼくコレ  作者: M太郎
9/43

花宮カナ、揚げる

お疲れ様でございます


漸く、少し涼しくなって参りました

正直、暑過ぎてたまらんかったです


早く、蚊が居なくなるくらい寒くなって頂けませんでしょうか

刺されたところ、まだ痒いんです


それでは本日のぼくコレ、どうぞ

手際良く鶏モモ肉を切り分け、フォークをザクザクと刺して穴を開けていく


こうしてやると、味がよく染みるのだ


顆粒の昆布出汁、醤油、白出汁、チューブのにんにく

ビニール袋に入れた鶏肉に、それらを足して揉み込む


あとは揚げるだけ―――


唐揚げは、カナの得意料理の一つである

仕上げにレモン汁と粗挽きの胡椒を少々掛けてやる事により、その味わいは至高の一品へと変貌する


鼻歌を歌いながら、一通りの作業を終えたカナが自室に戻る

ちなみに曲は玄米老師のさようならまたいつかであり、宿題をする時間などに普段から聴き込んでいる為、鼻歌の音程は正確そのものである



カナの母親―――


その名を、花宮忍はなみやしのぶ


今でこそ家族と平和に暮らしているが、その実は伊賀出身のくノ一であり、抜け忍である



とある任務で出会った、達夫を愛してしまったのだ―――



優しくされてしまった


雨に打たれながら、濡れた髪を撫でられながら、愛を囁かれてしまった


己の心を、どうしても裏切る事が出来なかったのだ


そうする位なら、死んでしまった方がマシだ

そう思い立った忍は立ち上がり、行動するに至った


殺害対象、花宮達夫―――


殺す筈だった男を、彼女は逆に守った


そうして忍の里を裏切る覚悟を決めた彼女は、何十人もの追手を仕留めて今の生活を手に入れるに至った


現在の彼女は、とある企業に勤めるシステムエンジニアの一人である


感情ではなく、理論のみで結果を残すプログラミング

SEの仕事は、彼女の性に合っていた


業績は優秀、大変多忙であり、残業する事もしょっちゅうである

カナが料理を覚えたのは、そんな母の助けになりたかったが故である


ちなみに母が忍者だなんて事は、カナは知らない


たまに返り血がついていたのを見た事があるが、お母さん怪我しちゃったという事で納得している


事実としては何人か死んでおり、まとめて海の底に沈められている

その辺にあったはずの錆びた鎖が失くなっていたら、大体彼女の仕業だと思って正解である



「ン、指切っちゃった」


カタンと包丁を置き、キャベツを刻んでいたカナが絆創膏を取りに居間へとパタパタ走っていく


幸い傷は浅く、少々血が出た程度である


「ただいま~」


そうこうしている間に、母の忍が帰って来た


我が家の愛犬ミルクちゃんは、忍には飛びつかない

顔を舐めようとしたら、投げ捨てられるからだ


「あ、お帰りお母さ~ん!今、唐揚げ作ってるよ。ゴハンにしよ?」


靴を脱ぎながら、ニッコリと笑って忍が頷く


本当に、良い子に育ってくれた

今の忍は、幸せである

ンー、普通に意識飛びそう


眼精疲労とかもきついです

物書きって、あんまり楽な仕事じゃありませんね


でも大体みんな、何かを背負って頑張っているんです

私はそんな方々の中の一人で在りたいと思っております


それでは、おやすみなさい

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