表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼくコレ  作者: M太郎
8/43

花宮カナ、父と話す

お疲れ様でございます


こちら福岡は、現在雨が降っております


あんまり好きじゃないんですけど、一つだけ良い事があります

外に出る方が少なくなる為、お店のレジであんまり並ばなくて良いって所です


良くない時でも、探せば何か見つかるものだと思います


それでは本日のぼくコレ、どうぞ

父に問われて、カナは斜め下を向く


その顔は、羞恥心で赤く染め上げられている

対人関係には敏感な達夫であるが故、瞬時に気づいてしまった



男か?ひょっとして男なのか?―――



普段は何でも、お父さんに話してくれるじゃないか

お前がそんな風に顔を赤らめているところ、父さん初めて見たぞ


そいつぁ、少女から女に変わった時の顔だ


畜生め、

ウチの娘に何してくれやがった!?


どこの馬の骨かは知らんが、許さんぞ

絶対に許さんぞ



達夫にとってのカナとは、いつまでも5さいの頃のカナのままである


ただただ、ひたすら可愛く、お父さ~ん、と声を上げて飛びついてくる愛娘である


男が出来る日が来るなんて、考えたくなかった

今、実感してしまったが、湧いてくる感情は怒りである


この青二才めが、私からこの娘を、カナを奪う気か


お父さん、許しません



現在、冷静でいるのが非常に難しい状態の達夫であるが、娘の前では優しい父でいたいのだ


スーッと大きく息をつき、表面上の平静さを取り戻す達夫

その内心は、巨大な台風に加え、雷が束のように降り注いでいるような状態である


それほどまでに、達夫はカナの事を溺愛している


「何かあったのかい?お父さんに話してごらん?」


いつもの柔らかい口調ではあるが、何が何でも聞き出すつもりだ


「…ん、別になんにもないよ?今日は入学式に行って帰ってきただけだよ?」



うん、そうか―――


そう言って納得してしまいたい達夫であったが、いくら何でもその顔はあやしい


気づいてないのか、カナ

それは、恋する乙女の顔なんだ


急に席を立ち、別室へと向かう達夫

ガン、という音が響いた後、額を赤く腫らして戻ってきた


「ああ、お父さんちょっと転んじゃったんだ、ハハッ。ところでカナ、今日は誰か知り合いが出来たりしたのかい?例えば男の子とか」


水を向けられて、カナがおずおずと答え始める


「…うん。竹田泰恒って人。すごく優しいんだけど、なんか馴れ馴れしくてどうしようって思ってる」


「今、竹田さんって言った?」


「うん。竹田泰恒くん」



なんてこった―――



それ、宮家の方かも知れない


ウチの商品が、皇室御用達を名乗れるチャンスが来たのか?


売り上げ、いくらまで跳ね上がるんだ

出世のチャンスが転がり込んで来やがった



確か竹田家の御子息が、今年カナと同じ高校に御入学あそばされたとか聞いた


その方なのだろうか

そうであって欲しい


「そっかー、竹田泰恒くんねー。カナ、ご実家がどんな所か、聞いておいて貰えないかな?父さん、その泰恒くんがどんな方なのか、知っておきたいんだ」


達夫はカナに向けて、柔らかく微笑みかけている


「ん…じゃあ聞いとくね。明日ね」


返事をしたカナは、台所に向かって夕飯のおかずの仕込みをし始めた

その後ろ姿を眺めつつ、達夫はこう考えている


良い娘に育ってくれた―――


お前が引いたの、多分大当たりだ

そういえばなんですが、海水温の上昇でズワイガニが大量に餓死したそうです


高くなっちゃうんでしょうかね

環境が元に戻って、復活して欲しいものです


それでは、おやすみなさい

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ