花宮カナ、俯く
お疲れ様でございます
なにやらキララを書き始めた時より、ぼくコレ伸びているんですけれど
いや、メインはあっちなんです
こっちは書かない日もありますよ?
それでは本日のぼくコレ、どうぞ
俊風館高校から少し歩いた所には、バス停がある
自転車通学の生徒も多いが、3割程度の生徒はバス通学である
校門を出て、バス停へと向かうカナ
その後ろから、泰恒が着いてくる
「…なんで着いてくるんですか?」
振り返って泰恒をキッと睨み、カナが話しかける
「バス停がそこだから。そりゃ同じ道になるよ」
バス停の方を指差し、泰恒がサラッと受け流す
本当は、着いてきている―――
ツカツカと歩く速度を早め、泰恒を引き離そうとするカナ
一方泰恒は、ゆっくりとバス停へと向かう
どうせまだバスは来ない
一緒に乗れる事に、変わりは無い
それより、あの反応の正体は―――
泰恒の明晰な頭脳が、カナの心理状態の分析を始める
教室でのカナの、泰恒に対する反応、
今の、この態度…
なるほど読めた
この子はじっくり攻めないといけないらしい
多分おそらく、まだ恋愛というものを知らない子なのだろう
今無理に押せば、再びさっきと同じ反応が返ってくる筈だ
ここは時間をかけて、この子が恋に目覚めるのを待つとしよう
最初にその唇を奪うのは、このぼくだ
その先もずっと、ぼくだけだ
他の男になんて、絶対に渡さない
カナちゃん、ぼくだけを見て―――
バス停で俯いているカナの隣に、泰恒が立つ
一切態度には表さないが、本当はもう、カナの顎をクイッと持ち上げて、優しく唇を奪ってしまいたい衝動に駆られている
そのまま抱き締めてしまえたら、どんなに幸せだろう―――
「カナちゃん、何か怒ってる?」
敢えて、目線は合わせない
カナと同じく、道路の方を向いたまま話しかける
カナの心情とは、こうである
下の名前で呼ばれてしまった―――
ちょっとだけ落ち着いてきたのに、この人に話しかけられると、自分がどんどん分からなくなっていってしまう
もういっそ、このまま走って帰ってしまいたい
恥ずかしい―――
現実的には、走って帰るには相当遠い為、その選択は不可能である
俯いたまま、何も答えられないでいるカナ
そっと伸ばされた泰恒の左手が、カナの頭をくしゃくしゃと撫でた
「いいんだよ、そんなに緊張しなくても。普通に友達として話そう?パピコは何味が好きなの?」
軽く涙ぐみ、瞳をうるうるとさせたカナが顔を上げて、泰恒の方を向く
初めて子猫を見た時、否
初めて子犬を触った時、否
目まぐるしく蘇る記憶の中からでは、これ以上に該当するものが見当たらなかった
可愛すぎる―――
ここまで平静を保っていた泰恒だが、この一撃で理性崩壊の瀬戸際まで追い込まれてしまった
普段からの精神修養が無ければ、危ないところだった
今の泰恒は、カバンを放り捨てて、カナを抱き締めてしまう一歩手前だ
「…チョココーヒー」
泰恒を見上げながら、カナが答える
カナが答えて数秒後、帰りのバスが、バス停に停まった
あ、この作品一応、キララが売れた後に、同じ出版社で少女漫画の作家さんを見つけてコミカライズするつもりです
やったねたけちゃん
読者がふえるよ
では、また