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ぼくコレ  作者: M太郎
39/43

花宮カナ、見とれる

お疲れ様でございます


まったくね

ただ生きているというだけで、なんだかんだあるものです


ちょっと休載してしまい、申し訳ございません

連載1本目の方だけで、いっぱいいっぱいでした


それでは本日のぼくコレ、どうぞ

今、目の前で起きていた事が信じられない―――


アイツ今、カナちゃんにキスしていた



カナちゃん…何で、そんな顔をして、そいつを見ているの?―――



呆然と立っている泰恒の隣を通りながら、北村が笑みを浮かべている


「…まあ、そういう事。キミが居なかったから、頂いちゃったよ。悪かったね」


ポンと泰恒の肩を叩き、笑いを堪えながら手をヒラヒラさせて、北村が1-3の教室へと戻ってゆく



まるで呆けたように、北村の後姿を目で追っているカナ―――



そのまなこには、既に泰恒の姿など映ってはいなかった―――



その日の授業が終わり、帰途に就くカナと泰恒


あれこれと話題を変えながら、何かカナの気を引けるものが無いか探し続ける泰恒に対し、カナはずっと俯いたままである



校庭の横を通った時に、カナの目にある男の姿が目に付いた―――



野球部で練習に励んでいる、北村である


セカンドに立ち、ショートからの送球を受けながら一塁への華麗なジャンピングスローを披露し、見事にゲッツーを取っている所であった


どうやら一年生ながら、既にレギュラーの座を勝ち取っているらしい

それもその筈、北村は既にプロのスカウト団から目をつけられており、将来はドラフト入りを嘱望されている程の選手なのだ


他の一年生は、皆離れたところでキャッチボールをしている



「カナちゃん?…」



いつの間にか、金網を掴んで北村をじっと見つめていたカナ


カナに気づいた北村が、ウインクをしながらセカンドゴロを捌いてランナーを仕留める

ただでさえ鮮やかな動きなのに、この余裕である



「恰好良い…」



己の耳を、疑う泰恒―――


正直、カナの口から北村に向けられた、そんな言葉は聞きたくなかった



「…帰ろう?カナちゃん。買い物して、ご飯作らないとなんだよね?」



一縷の望みをかけて、カナがそこから離れる事を促す泰恒


「…うん」


だがもう少しで、カナが金網から離れるかといったところで、北村がカナに駆け寄ってきた



「やあ、カナちゃん。今の、見ててくれた?」



額の汗を袖で拭いながら、北村が爽やかな笑顔をカナへと向ける



「…はい。北村くん、すごく上手なんですね…なんかプロの人みたいだったよ?」


照れくさそうに笑って、北村が答える


「いや、流石にまだそのレベルじゃないかな。…あと、北村くんなんて止めてよ。ハルオって呼んでくれると嬉しいかな」



下の名前呼び―――



泰恒が苦労をして築いた牙城を、北村はいとも簡単に崩そうとしている


ちょっと、待ってくれ…


そんな泰恒の想いに気づく事無く、カナは口を開いた



「…はい。じゃあ、ハルオくんね?」

ンンンンンンンンン(バタッ


おやすみなさい

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