花宮カナ、見とれる
お疲れ様でございます
まったくね
ただ生きているというだけで、なんだかんだあるものです
ちょっと休載してしまい、申し訳ございません
連載1本目の方だけで、いっぱいいっぱいでした
それでは本日のぼくコレ、どうぞ
今、目の前で起きていた事が信じられない―――
アイツ今、カナちゃんにキスしていた
カナちゃん…何で、そんな顔をして、そいつを見ているの?―――
呆然と立っている泰恒の隣を通りながら、北村が笑みを浮かべている
「…まあ、そういう事。キミが居なかったから、頂いちゃったよ。悪かったね」
ポンと泰恒の肩を叩き、笑いを堪えながら手をヒラヒラさせて、北村が1-3の教室へと戻ってゆく
まるで呆けたように、北村の後姿を目で追っているカナ―――
その眼には、既に泰恒の姿など映ってはいなかった―――
その日の授業が終わり、帰途に就くカナと泰恒
あれこれと話題を変えながら、何かカナの気を引けるものが無いか探し続ける泰恒に対し、カナはずっと俯いたままである
校庭の横を通った時に、カナの目にある男の姿が目に付いた―――
野球部で練習に励んでいる、北村である
セカンドに立ち、ショートからの送球を受けながら一塁への華麗なジャンピングスローを披露し、見事にゲッツーを取っている所であった
どうやら一年生ながら、既にレギュラーの座を勝ち取っているらしい
それもその筈、北村は既にプロのスカウト団から目をつけられており、将来はドラフト入りを嘱望されている程の選手なのだ
他の一年生は、皆離れたところでキャッチボールをしている
「カナちゃん?…」
いつの間にか、金網を掴んで北村をじっと見つめていたカナ
カナに気づいた北村が、ウインクをしながらセカンドゴロを捌いてランナーを仕留める
ただでさえ鮮やかな動きなのに、この余裕である
「恰好良い…」
己の耳を、疑う泰恒―――
正直、カナの口から北村に向けられた、そんな言葉は聞きたくなかった
「…帰ろう?カナちゃん。買い物して、ご飯作らないとなんだよね?」
一縷の望みをかけて、カナがそこから離れる事を促す泰恒
「…うん」
だがもう少しで、カナが金網から離れるかといったところで、北村がカナに駆け寄ってきた
「やあ、カナちゃん。今の、見ててくれた?」
額の汗を袖で拭いながら、北村が爽やかな笑顔をカナへと向ける
「…はい。北村くん、すごく上手なんですね…なんかプロの人みたいだったよ?」
照れくさそうに笑って、北村が答える
「いや、流石にまだそのレベルじゃないかな。…あと、北村くんなんて止めてよ。ハルオって呼んでくれると嬉しいかな」
下の名前呼び―――
泰恒が苦労をして築いた牙城を、北村はいとも簡単に崩そうとしている
ちょっと、待ってくれ…
そんな泰恒の想いに気づく事無く、カナは口を開いた
「…はい。じゃあ、ハルオくんね?」
ンンンンンンンンン(バタッ
おやすみなさい




