夕食
夕食は焼いた野豚に、拾ってきた草や木の実、あとはイェレッシュが淹れてくれたお茶。
ろくな武器もないのにどうやって野豚を仕留めたかについては、適当にごまかした。
調味料もろくにない野趣溢れた食卓だか、誰も文句は言わなかった。多分、明日には街に入れるという余裕からだろう。
しかし、俺は内心心配だった。なにしろ、今の俺は一文無しで、宿に泊まる金もない。
前回いた街は小さく、入退場に厳しくなかったため、昼は街の中、夜は野宿、を繰り返していたのだ。
今回は前より大きな街のようなので、不審者だって警備兵に見咎められたらどうしよう···。
内心悩みながら、イェレッシュの持っていた、やや変わった風味のお茶をすする。
「そういえば、イェレッシュさんとデスリップさんって、いつからの付き合いなの?」
焚き火を囲みながら、月夜が無邪気にイェレッシュに問いかける。
イェレッシュはデスリップと顔を見合わせて、
「実は、ほんの一週間ほど前なんですよ」
「あら」
「へぇ」
思わず月夜と俺は声を上げる。恋人同士と聞いたので、もっと長い付き合いだと思っていたのだ。
イェレッシュは照れくさそうに、
「お恥ずかしながら、つい先日、僕は森でうっかり猟師の仕掛けた罠に引っ掛かってしまいましてね
そこを助けてくれたのがデスリップだったんです」
デスリップがにこりとする。さっきから思っていたが、この美女は極端に無口なようだ。単に先程から野豚をがつがつ食べるのに忙しいからかもしれない。細いのに意外と大食いなんだろうか。
「私の方が彼女に一目惚れしましてね
森の中に住んでいた彼女に、どうしても一緒に来てほしいと頼み込んで、今に至るわけです」
そう言ってイェレッシュはデスリップの肩を抱いた。思っていた以上に情熱的な人らしい。
「バセットさんと月夜さんはご兄妹ですよね?」
問うイェレッシュに月夜は首を振って、
「駆け落ちです」
「適当に答えるな!!!」




