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月夜の獣  作者: 八重花
3/11

川での邂逅

「前方に街発見」

 探検隊を気取って月夜が言う。

「まだ遠いな」

 前方に木などの障害物が少ないからその姿はぼんやり見えるが、ここから俺が全力で走ったとしても数時間はかかりそうだ。

「バセット」

 振り返った瞬間、月夜が俺の腹の辺りを思いっきり突き飛ばす。

 後ろは、川だった。

 ばしゃぁぁぁんっと水しぶきが上がる。

 ※これも真似しないでください。

「何すんだ!!」

「そんな汚れた格好で街に入るつもり?」

 確かに。

 幽閉されてた俺に服なんて与えられなかった。今着ているのは、閉じ込められたときからずっと身に付けているものだけだ。袖や裾はぼろぼろに擦りきれているし、色も見る影もなく褪せている。

 月夜と出会った街でも、この格好で歩き回ってたら周りから変な目で見られた。

「でも、服これしか持ってねぇし」

「それでも、多少ましには出来るでしょ」

「確かにそうだけどさ」

 何も突き落とさなくても。

 文句を言いながらも、体が水に浸かるようにぶざぶと川の奥へ進む。

 冷たいが、檻暮らしで身だしなみを整えられなかった頃に比べればずっと―。

「ちょっと待て!!ここ、流れ速いぞ!!」

「知ってるよ」

 突き出た岩にしがみつきながら叫ぶ。しかし月夜は全く意に介さない。助ける気ねぇな、こいつ。

 ぐしゃっと、掴まっていた岩が砕けた。俺の強化された腕力に耐えられなかったらしい。

 当然、俺はそのまま流された。

「がぼっげほっけほ···ん?」

 思ったより苦しくない。合成獣になって肺活量が増したのだろうか。俺はもがいてすぐに水面に顔を出す。

 そうこうしているうちに流れは緩やかになっていき、

「お、足立つわ」

 けど、水を吸って服が重い。先に脱いどきゃ良かったな。

 俺は下着以外を脱いで絞りながら岸へ向かい、川淵でいちゃついていた男女と目が合ってしまった。

「え、あ、あ、すみません」

 しかし、俺の出現に驚いたのか、男の方がよろめき、

「あ」

 川に落ちた。


 作者は昔、川で遊んでいて流されたことがあります。

 周りに大人はいたのですが、案外すぐには気づかないものらしく、助けが来る前に自力で這い上がりました。

 作者の場合は流れが途中から緩やかになったから助かりましたが、皆さんも水辺には十分注意してくださいね。

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