同行者
パソコンを新しくしました。
これで起動するのに十分待たなくて良くなった!!
え?一体何年前のやつ使ってたんだ?
それについては放っといてください。
夢を見ていた。
地下の檻の中で、絶望に呻いている夢。
親父や、実験体になった村人たちが俺を責める。
どうしてお前だけ生きてるんだ、と。
その手が、俺に伸びてきて―。
「バセットぉぉ!起きてぇぇぇ!」
「ぐげっ!?」
腹に衝撃を食らい、俺は飛び起きた。
目の前に、満面の笑みを浮かべた少女の顔。
こいつ、俺の上に飛び乗ったな。
「すっごく愛のある起こし方よね」
「どこが!!」
※愛があっても真似をしないでください。
俺はしぶしぶ起き上がる。腹筋に若干鈍い痛みがあるが、合成獣の防御力と元々鍛えてるのとでそこまでのダメージはない。いや、むしろその俺にダメージを与えられるこいつがおかしいのだろうか?
この少女―月夜とは数日前に出会った。
男たちに絡まれているところを見つけて、助け、ようとしたのだが、その前に月夜本人が男たちをあっさりぶっ飛ばした。
しかし、それ以来月夜は何故か俺に懐いてしまい、どこへ行くにもついてくるようになった。
家はどこだと聞いても「ない」としか言わない。
前の街で散々探し回ったが、結局月夜の家は見つけられなかった。
いつまでも同じ街にいるわけにもいかず、悩んだ末、結局つれてきてしまった。というか、ついてきてしまった。
普通なら、役人に預けて解決するところだが、それも出来ない。
こいつには、魔法のような能力があるらしいのだ。
一度しか見たことはないが、自分に絡んできた男たちを、手を一振りするだけで吹き飛ばしてしまった。
俺がなんとか撒こうとしても、こいつはむしろ先回りするように俺の行く先々に現れる。
そのことについて、本人は自分はサキュバスだとのたまっている。
サキュバス、という魔物について詳しくは知らないが、美しい女の姿で、男をたぶらかす魔物だということは知っている。
月夜は確かに美少女だが、まだ子供だ。男たちを謎の力で吹き飛ばしていたが、それ以外はただのわがままで暴力的な女の子としか思えなかった。
だが、こんな超能力を持った奴が一人でいたら、万が一···億が一、誰かに拐われてどんな目に遇わされるかわからない。特に、月夜は子供だが見た目はかなり美人だから余計に。
黒髪のショートカットに、同じく黒い瞳。黒いワンピースに、ボタンのついていない黒い上着を着ている。サイズが合っていないのかぶかぶかしているのに、何故か動きづらそうには見えない。
年は見たところ十二、三歳。重ねて言うが、見た目はすごく可愛い。大人になったら、相当な美女になるだろう。
「そんなこと言って、バセットだって、美女に起こされて、まんざらでもないんじゃない?」
「誰が美女だ。俺は子供に興味ねぇよ」
「あたしを子供って言うけど、バセットだって十七歳くらいでしょ?」
「は?」
表情が消えたのが自分でもわかる。
「俺は······!!」
言いかけて、領主に監禁されていたのがどのくらいの期間なのか知らないことに気づく。
「今、何年何月だ?」
「✕✕年七月」
月夜が答える。
つまり監禁されていたのは数ヶ月だから·····、
「二十二歳だ!」
「嘘だぁ。プラス五十歳はサバ読んでるでしょ」
「何歳なんだ!?俺は!!」
「いや、かなり多く見積もっても十八歳だと思ってたから」
ズバッと言う月夜に、俺ははぁぁぁっと深いため息をつき、
「確かに、自分でもちょっと童顔かな?とは思ってたけど」
「ちょっとどころじゃないね」
月夜が再びズバッと言う。
確かに親父も、五十過ぎても三十代に見られたと言っていた。多分童顔は遺伝なんだろう。
「良いじゃない。若くて」
「若いと幼いは違うだろ」
俺は肩を落とした。




