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OP 第7話 【再会】

ページを開いてくださりありがとうございます!

もし面白いと思ったら、ブクマ評価をして頂けると今後の励みになります!

初投稿で不慣れな点も多いかと思いますが、よろしくお願い致します!


コメントの方も、気軽にして頂ければと思います!

「えっと……ごめんなさい。わざわざ説明させてしまって……」


 しまった。彼の様子を見て慌てて頭を下げる。ローブで顔を隠しているのもそういうことなのだろう。全身まで隠す意味は分からないけれど……。


「どうか気になさらないでください。慣れてますから」


 ローブの男はそう言うと、少し口角をあげた。立ち振る舞いといい言動といい、とても礼儀正しい。


「……おや、ちょっと待って。もしかして君……」

「なっ、何!?」


 何に気付いたのだろうか。彼は怪しむように首をかしげたかと思うと、次に私の顔をじっと覗き込んできた。突然のことに思わずたじろいでしまう。初対面にも関わらずグイグイ来るの、一体何なんだろう……。


「外傷はないですが……右肩を負傷していますね」

「え!? ……なんでそれを?!」

「君から良くない気の流れを感じたんですよ。どうやら右側……の、中心よりも少し上の方。右肩辺りから」


 そう言うと、彼は私の右肩にそっと触れてきた。目が視えていないとはいえ、外界の情報は何となく得られているみたいだ。



「これ、恐らく『時限式』です。設定された時間になると、ひどい痛みに襲われますよ」

「ええ!? まっ、まだ魔法かかってたんですか!?」


 想定外な情報に驚きが隠せない。だって痛くもかゆくもないんだもん! 強いて言うならちょっとだるいかな? くらいで、それは疲れからきているものだと思っていたし……。


「しかもかなり分かりにくい位置で……ちょっと動かないでください」

「なっ、え!? あなた何やって」

「動かないで」


 困惑する私を遮って、詠唱を始められてしまった。右肩に触れた彼の手から光が溢れてくる。


「……」


 見ず知らずの人に解除を頼んで大丈夫だろうか……と思っていたが、少しして、明らかに身体が軽くなるのが分かった。通りすがりの彼に会ってなければ、私は今頃どうなっていたのだろう……?


「さ、終わりましたよ」

「もう!?」


 なんと。詠唱を始めてから数十秒も経っていないのに魔法の解除が終わったというのだ。

 救護の先生でさえ気付かなかった魔法を探し当てた件もある。もしかして彼、かなり凄腕の魔法使いだったりするのだろうか。


「すごい方だったんですね。ありがとうございました!」

「……ええ」

「……? 何か?」


 あからさまに浮かない顔をしている彼。思わず理由を聞いてしまう。


「いえ、その……ちょっとおかしいと言いますか」

「おかしい……?」

「そう、魔法の威力がちょっと……あまりにもですね」

「威力がちょっと!? あまりにも!?」

「うーん……」


 ローブの男はそのまま、頭を掻きながら黙り込んでしまった。……何に悩んでるのか知らないが。当事者はとても不安なので、勿体ぶらず早く教えて欲しい。


「威力が高すぎる……とか? もしこの魔法が発動してたら、私の肩吹っ飛んでましたよ~みたいな」


 恐る恐る聞いてみる。この魔法を使っていた青年、ジオの魔力の凄さは一目瞭然だ。威力がちょっと……なんて言うくらいだから、よほど高かったのだろう。


「いえ、違うんです。……むしろ逆といいますか」


 逆? 逆というと……単純に考えて、威力が低いことを指しているのか?


「なら……威力が低い?」

「……そうなんです。攻撃用の魔法にしては『あまりに威力が低いんです』よ」

「……?」

「指に小さな針が刺さる程度の威力。手を抜きでもしない限り、こんな小威力は出ないでしょうね」


 話がよく理解できず、眉間に皺を寄せてしまう。と共に、ローブの男も「うーーーん」と首をひねった。

 

「それか、攻撃する意思がなかったとか……正直、僕にもよく分かりませんね……」

「攻撃の意思が……なかった?」

「何はともあれ、解除はできたんです。もう少し遅かったら発動していたみたいですが……。まあ威力も低かったですし、そこまで思い悩む必要はありませんよ」

「……」


 そうは言われたものの、どうしても引っかかってしまう。攻撃する意思がないなら、彼はなぜ攻撃を仕掛けてきたのか。あれだけの魔法弾を放ってきたのだ。まさか殺意が全くないなんてことは……。


 ……あれだけの魔法弾?

 確かに彼はテスト中、こちらに大量の魔法弾を放ってきていた。それを、私が全部避けて──。

 いや、違う。

 私が避けたから。それもあるかもしれないが。例えば仮に……彼が私を『避けていた』のだとしたら?

 思えば、あれだけの魔法弾を完璧に避けきるのは非常に難しいと思う。そんな高難易度なことを、あれほど切羽詰まっていた時に……できるものなのだろうか? それに、本当に当てようとしているのであれば、私が避ける先にあらかじめ魔法弾を放っておいたり、空中に浮いて隙だらけな瞬間を狙ったり……そういうことが、いくらでもできたはずなのだ。


 では、最後に当ててきたあの一撃は何だったのか? 彼の魔法弾に被弾していたモンスターを見る限り、普通の魔法弾が使用されていたようだ。

 つまり、最後の一撃“だけ”が時限式だったということになる。それも、低威力の。

 ……例えば。この魔法弾に、『何らかの意図が込められていた』のなら?

 ああそうか。彼は性格が悪いわけでも、策略家だったわけでもない。もしかして、彼は──。


「……さて、と。時間を使いすぎてしまいました。話は変わりますが」

「! な、何でしょう?」

 踵を返したローブの男は後ろに手を組んで、足音一つ立たないほど静かに、ゆっくりとこちらに近づいてきた。


「君にちょっとお尋ねしたいことがありまして────」



「「確保──────────ッッ!!!」」



「何!?」

 と、男が話していたのを遮るように、上空から覇気のある掛け声が重なって聞こえてきた。

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