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OP 第4話 【異世界転生者、ジオ】

ページを開いてくださりありがとうございます!

もし面白いと思ったら、ブクマ評価をして頂けると今後の励みになります!

初投稿で不慣れな点も多いかと思いますが、よろしくお願い致します!


コメントの方も、気軽にして頂ければと思います!

あの時エレベーターで会ったイセカイテンセイシャ、ジオだ。


 肩に白い鳥のような生き物を乗せている。

 すごいなぁ。やはり魔力が高いとなると、使い魔の一匹や二匹余裕で扱え……あれ、なんかこっちに近づいてきてない?

「……」

「えっと…………こんにちは?」

「……同じグループ、なんだな」

「むっ、そ、そうだけど……」

「そうか」

 会話を振ってきたのはいいが、本人はそっぽを向いたまま。こちらを警戒しているのか、行儀が悪いのか、単にそういうキャラを気取っているのか……? そんな態度もあってか、驚くほど会話が膨らまない。背が高いからすごく高圧的に感じるし……。でも向こうから私に話しかけてきたというのは、多少なりとも私に興味があってのことだろう。


「ジオ……さんも、Aグループなんですね!」

「ああ」

「入学試験の成績もトップだったって聞きました。 イセカイテンセイシャって凄いんですね!」

「当然だ」

「あー……」


 私が何を言おうと、ぶっきらぼうな返事しか返ってこない。なぜ話しかけてきたんだ? もしかして……自分はニンゲン様だぞ、みたいな自慢のつもりだろうか。


「かっ、肩に乗せてるの、使い魔ですか? かわいいですね!」

「ああ」

「…………」


 ……もういい、だめだコイツ。

「もうすぐテストが開始されますのでー、受験者は集まってくださーい」

 彼の意図はくみ取れないままだが、もうすぐテストが始まってしまう。そろそろ話を引き上げなくては。


「……前回はダメだったけど、今回は私もトップ狙ってますからね! 今回の課題、難しそうですけど……お互い頑張りましょ──」

「──は?」



 食い気味な返事。

 その時初めて、彼の顔がこちらに向いた。

 その圧に思わず肩が跳ねる。……酷く険しい顔をしている。歯ぎしりしながら、眉間に何本ものしわを寄せて……彼の逆鱗に触れてしまったようだ。こちらをひとしきり睨んでから、私が謝るよりも早く「まぁ、狙えるもんならね」と立ち去ってしまった。


 どうやら機嫌を損ねてしまったらしい。もしかしてさっきの言葉を宣戦布告のように受け取られたのだろうか。私の言い方が悪かったのかもしれない。……いや、それにしてもだよ! 何もあそこまでへそを曲げる必要はないじゃないか。それとも、元々ニンゲンは気難しくて、プライドの高い種族なのだろうか。だとしたら、彼らが沢山いるイセカイというものはどれだけ生きづらい世界なのだろう。


 あの一言で躍起になる彼がますます理解できないが……今はそんなことを気にしている場合ではない。テストに集中しなきゃ。



「それでは、準備の整った生徒からスタート位置についてくださーい」


 教員の声がかかると、生徒たちはぞろぞろと所定の位置に集まってきた。誰よりも早く位置についたのは、案の定ジオだ。私も入念に準備運動を済ませて……。手元にある『これ』を見た。刃先の大小さまざまな傷は、これまで私が頑張ってきた証だ。深呼吸をしながら、所定の位置についた。


「いいですか、ここから森を突っ切ってゴールを目指すんですよ-。ゴールは一か所ですから、ルートを間違えないように」


 今回のテストでは事前にルートが定められている。前半は各自、一人一本用意された道を進むのだが、後半にさしかかると、八本の道全てが大きな一本道に収束してしまう。モンスターの討伐数も評価の対象となるので、早めに一本道に突入した方がモンスターを沢山狩れて有利だ。突入が遅くなればなるほど狩れるモンスターが減ってしまう。


 全員が頷いたのを確認し、教員がタイマーと右手を構える。それに合わせるように、生徒達もみな身構えた。


「それではAグループ、始めます。よーーーーい……」


「はじめっ!!」


 合図と同時に、辺りに地鳴りが起きるほどの足音が響く。私も地面を思い切り蹴り上げ、スタートを切った。

 前半は個別に用意された道を一人で進むから、他生徒の進行状況が全く把握できない。現に今、私は独走しているかもしれないし、ドベを走っているかもしれない。その状況を察して、モンスターを何体討伐するかも変えなければならない。まずいと思ったら全匹無視も視野に入れる。


 このテストでは、実践的な力やスピードだけでなく、“自身の実力を把握できているのか”も試されている。

 残念ながら、私は自分の実力を完璧に測れるほど優秀ではない。

 ない、けれど……私は自分の実力に“絶対的な自信”を持っている。持っていなければならない。


 ぐんぐんスピードを上げていく。小柄なゆえ空気抵抗も受けにくい。合理的だ。

「……あ!」

 三メートルくらい先。獣類だろうか、さっそくモンスターらしき匂いがした。

 

 ……魔法が使えないからなんだというのか。これまでも、この不便な身体でいろいろ頑張ってきたじゃないか。疑心暗鬼になっている暇はない。


 そう自分に言い聞かせて、私は右の腰に下げた『長剣』のグリップを強く握った。

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