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OP 第2話 【君、なんで魔法使えないの?】

ページを開いてくださりありがとうございます!

もし面白いと思ったら、ブクマ評価をして頂けると今後の励みになります!

初投稿で不慣れな点も多いかと思いますが、よろしくお願い致します!


コメントの方も、お気軽にして頂ければと思います…!

「──!」

 静かで穏やかだった自分の部屋とは変わって、一歩廊下に出ただけで周りの生徒の楽しそうな会話が聞こえてきた。まるで自分の世界が一気に塗り替えられるようで、毎日のことながら驚いてしまう。


 部屋の前に立って友達を待つ獣人のお姉さん、宿題が終わっていないからと友人に助けを求めている獣人の青年、それを見て笑うエルフの青年……。見ているだけで楽しそうで、ザ・学生という感じ。俗にいう『普通』な学校生活だった。


 ──最も、私がこんな『普通』の学校生活を送ることは、絶対に叶わないのだけれど。


 だって、私は『普通』ではないのだから。


 おっちょこちょいとか、性格が悪いとか。そういう次元の話ではない。

 根本的に『ある体質』が問題だった。


 ネルセンス学院に入学して早一か月。

 私は友人は愚か、知り合いすら作ることができていなかった。


 ***


 廊下で騒ぐ生徒の波を潜り抜けて、私はまっすぐエレベーターに向かう。

話す人もいなければ、顔を合わせて「おはよう」なんて言う相手もいないから。


 そうやって、エレベーターの個室に入った。自分しかいない空間に、少し心を撫で下ろす。

 別にいじめられている訳でもなければ、友達がいないことで肩身が狭い訳でもない。学生生活自体とても充実していて、楽しいものだ。

 別に友達がいなくても楽しくやっていける。なんとかなる! それが私のスタンスである。


 ……と、いくつかの団体が慌てて飛び乗ってきた。ちょっと体が強張ったけれど、廊下にいた人数と比べたら特に気にならない。


「もう! ほんと、ジオさぁ!……」

 ……何やら、聞き覚えのある名前が聞こえてくる。個室の端で話しているのは二人の男子生徒のようだ。


「それで? ジオ、今日の課題やってきたか?」

「えっと、魔術基礎lだっけか……いや、まだだ」

「だよな! 授業の開始遅れるらしいしさ、その間にやっちゃおうぜ」

「そうだな」


 ああ、あの人か。

 彼は”ジオ”。学内で知らない人はいないほど、名前の知られた青年だ。


 『異世界から来た転校生』と言えば、その理由が分かるだろうか。場所によってはイセカイテンセイシャ?とも呼ばれるらしい。


 エルフと違って丸い耳に、眠たそうな眼つき、少し長めの銀髪はきっちりと上にまとめている。隣にいる獣人の青年と比べてみても、背は高い方だと思う。一見どこにでもいる普通の青年だが、異世界から来たというのだから驚きだ。


 彼が有名になった理由は、異世界から来たこと以外にもある。

 一つは、『ニンゲン』という珍しい種族であること。少なくとも、ネルセンス内で聞いたことも見たことない名前だ。……いやでも、耳が丸いことと、指が五本あること以外はエルフと大差ないけど……。正直、何が珍しいのか分かんないかも……。


 そしてもう一つ。彼は他の生徒と比べて魔力が高く、成績もとても優秀だった。入学試験は学年最高得点で突破したのだという。

 だから、周りの人にも非常に好かれたし、やはり女の子にもモテていた。ファンクラブがあるなんて噂も聞く。


 私とはまるで正反対──と、言いたいけれど! 私にだっていい所くらいある! 私だって、入学試験は学年上位で突破してるし!!


「……あの~。アナタ、”ソフィア”さんですよね?」

「っ!?」


 突然、人に話しかけられた。声の先は……”ジオ”の近くにいた獣人の男子生徒だ。紺色の髪に猫耳が映える。

 そして実は、同級生に話しかけられたのはこれが初めてだった。どう返そうか……。返事に困ってしまう。


「あ、えと、ビスって言います! 君と同じクラスの!」

「えっ! あ、はじめまして!」


 ビスと名乗る彼は、笑顔で手を差し出してきた。もちろん、こちらもその手を握る。えへへと笑う彼は実に可愛らしかった。

 ……一方、可愛げもなく、仏頂面でこちらを見てくる男もいる。ジオだ。声をかけるでもなく、こちらの様子をじっと伺っているらしかった。


「いやぁ、ソフィアさんずっとこっち見てたからさ! ま、目的はジオだろうけどっ!」

「あれ、本当!? 考え事してただけで……ごめんね」

「いやいや、気にしないでよ!」


 しまった。色々考えているうちに、つい二人を凝視してしまっていたらしい。気味が悪いと思われても致し方ないが……幸い、そう思われている様子はなかった。


 エレベーターが一階につく頃、彼があからさまにはっとした。ジオも驚いたのか、ビスの方を振り向く。


「そうそうそうところでさ! オレ、キミに聞いてみたいことあったんだよね!」

「? どうしたの?」


 まさか、私? なにやら目を輝かせてぐんぐん寄ってくるビスに押される中。

 彼は、私にこう質問したのだった。


「ずっと気になってたんだ! ソフィアさんってさ──」


 ……質問の後、私は何も答えずにその場を後にした。

 その時私がどんな顔をしていたか、分からない。

 ただ、大人げないことをしてしまったな、とは思う。


「ソフィアさんってさ──────なんで、魔法が使えないの?」

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