表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

死は願い

作者: 立花葵

 一般的に創作物に登場する人物の知性は、作者を越える事が無いと言われている。そして作者が経験した事のない事象を書き連ね、情景として表現する事は現実的ではないと考えられている。


 だが多くの主人公は死んでゆく。

 貴方は死んだ事があるだろうか。今この文字を読む事が出来ている貴方も、私もまだ体験した事がない。それにも拘らず多くの者は死んでゆく。物語の冒頭で、あらすじで、呆気なく簡単に、そう簡単に。

 命ある者の最期の瞬間、誰もが迎える結末。そのエンディングを素晴らしい形で締め括る為に、我々も生きているはずだ。


 だが『死』は好まれる。

 本来忌むべきものであり、憎むべきものであるにも拘らず、壊される為に生まれた創造物が壊れる為に壊されてゆく。無慈悲なまでに平等であり、貴賎も尊卑も関係ないにも拘らず、正義の名の下に悪と断定された者は斬り捨てられてゆく。


 愛する者がこの世から消えた時、我々は実在しない神様に乞うのだ。願わくば極楽浄土にて一切の苦痛なく、心穏やかに過ごして欲しいと。

 そうあれかしと。

 信念を持つ者が自分の為ではなく、誰かの為に命を賭して戦う姿は我々の心を揺り動かす。願わくば勝利と笑顔でもって迎えられるべきだと。

 そうであって欲しいと。


 この息苦しい世界において、死は救済であり希望なのだろう。


 実際、誰も戻って来ていない事を考えると、天国という場所は本当に良い所に違いない。神様と仏様があの手この手で楽しませてくれるのだろう。きっと蓮のステージの上で歌って踊ってくれるに違いない。


 いつか私も行ってみたいものだ。


 まずはゴミ拾いから始めてみようか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ