事件は突然に
プロローグ
私は幼い頃、とても不思議な体験をしました。
私は幼稚園の年長の時、交通事故に合いました。
あの時、私の瞳は道路に落ちていた七色の光を放つ石に奪われていて、接近してきた車と、お母さんの叫ぶ声に全く気づきませんでした。
私は軽傷でしたが、1週間ほど、入院することになりました。
私は当時、病院が苦手でした。
入院と聞いた時は、事故に合った自分が悪いと思い込んでいました。
同じ病室にいたのは、私より2つ年上の男の子の××くん。残念ながら名前は覚えていません。
××くんは幼い頃から心不全の持病を患っていて、来週手術を行うと言っていました。××くんは手術が怖いと言っていました。失敗したら、死んでしまうとも言っていました。手術は身体に負担がかかるため、前のようには遊べなくなるかも知れないものでした。でも、××くんはいつも笑ってくれました。怖いことを隠していたのだと分かりました。
××くんと、私は退院するまでの数日間、たくさんの話をしました。私にとっては、入院すること自体最悪だったけれど、××くんのお陰で、私はあまり気落ちすることなく、楽しく過ごしていました。
そんなある日、私の主治医の先生が、明日にはもう退院できますよ、と私に言いました。
主治医の先生の話を聞いてきさいる時、××くんは悲しそうな顔をしていました。主治医の先生がいなくなった後、××くんは、泣きそうな顔をして、「もう行っちゃうの?」と、言っていたことを覚えています。
私は××くんのそんな顔を見たくありませんでした。
「退院してもまた会いに行くよ!」
私は××くんを慰めていました。××くんには笑っていて欲しい…。
「明美菜ちゃん、来週の僕の手術の日に来てくれない?」
私は××くんと、手術の日に来るという約束をして、私は退院しました。
××くんの手術の日、私はお母さんと××君のお母さんと3人で××くんの手術を見守るために病院へ行きました。
××くんはもう、麻酔で眠っていました。私は××くんの手をそっとにぎりました。温かくて、私の心も温まりました。
××くんにがんばってねと心の中でエールを送り、××くんは手術室へはこばれて行きました。
長い時間が過ぎて、手術室から××くんが運ばれてきました。
「手術は成功しました。」と医師が告げた時、××くんのお母さんは泣いていました。
××くんが目を覚ますと、××くんは私に「明美菜ちゃん、ありがとう。おかげで手術、成功したよ。」と、笑って言いました。
「これ、明美菜ちゃんがボクにくれた石、とっても綺麗だね。」と、××くんは手のひらを広げて私に石を見せました。私はそれを見て驚きました。
そこには、私が交通事故に合った時に落ちていた、あの七色の石がありました。私はお母さんと顔を見合わせました。
「明美菜、この石、拾っていたの?」とお母さんが聞きました。
私は、「拾ってもいないし、あげてもないよ。」と、呆然としながら言いました。
××くんは、その数日後、亡くなったとお母さんから聞きました。
どうして亡くなってしまったのかは私にもお母さんにも分かりませんでした。
それが私が今まで生きていて最も不思議な体験でした………。