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一撃の勇者

作者: 柚根蛍

 少年は、悩んでいた。

 自分の強さに。


「どうして僕は、こんなにも弱いのだろう?」


 強すぎるから悩んでいるのではない、弱すぎてだ。

 しかし、さらに悩んでいることがある。

 しれは、なんなのかというと──


「なんでそんな僕が勇者やってるんだ!?」


 あり得ないであろう。しかし勇者は血統で決まる。

 本来なら僕の父さんが魔王を倒したはずだったのに、なぜか魔王は生きてるし。

 父さんに問い詰めてみると「魔王が美人で、倒せなかった」など妙ちきりんなこと抜かす。


 いや、だからと言って僕が倒せる訳がないのだけれども。

 だからこそ父さんには怒ってるし、一緒に魔王討伐に行こうと言っても「勇者なんだからお前がやれ」の一点張り。

 なんなの?ふざけているのだろうか、いつもは勇者だって言ってくれないのにそういう時だけだ。

 よくある、高校生を大人扱いしたり子供扱いする大人の悪いところだ、全く信用できない。

 

「はあぁぁあぁ……」


 どでかいため息を吐く。

 ……なんとか結構旅も進んだんだけどさ、とりあえずは僕の弱さについて知ってもらう必要があると思う。


 目の前には、スライム。防御力は0。

 手に握るは、聖剣。攻撃力は9999。


 試しにスライムに剣を振ってみる。


「そぉいっ!」


 1ダメージ


「せいやっ!」


 1ダメージ


「あそーらん!」


 1ダメージ


「な!ん!で!だ!よ!なんで1ダメージなんだよ!」


 そうだ、僕の生まれた時からの体質。どんな強力な一撃でも、1ダメージになる。

 いや、おかしいよね。明らかに刃、通ってましたよね?でも表示は1なの、不思議だわぁー。


「あの、勇者様……」

「あ、ごめんセリア」


 一応一人だけ、パーティがいる。

 幼馴染のセリアだ、とても可愛い。

 惚気とか言わないでくれ、過酷な旅の中で彼女は唯一の華なのだ。いなかったら精神的に死んでるだろう。


 ネチョ

 

 僕の顔にスライムが張り付く、さっき倒してなかったんだよね。スライムはHP4だし。


「あ!勇者様!お助けします!」


 彼女は、空に指で円を描く。その周りに、色んな模様やルーン文字を刻んでいく。

 すると、複雑に絡み合った術式が出来上がりそれは魔法陣となった。


「究極魔法!メテオライト!」


 僕の頭上に、直径何十メートルにも渡る隕石が墜つ。

 そして、僕の顔にへばりついたスライムと僕に隕石がヒットする。


 1ダメージ

 1ダメージ

 スライムAを倒した!経験値1入手!


「勇者様!大丈夫……でしたか?」

「うん、助かったよ」


 ……そう、紛れもなく彼女は僕と同じ呪いの持ち主。どんなド派手な魔法だろうと1ダメージになる。

 因みに僕が彼女を旅に連れて行く理由もこれだ、劣等感を感じずに済む。

 所謂シンパシー言うやつだ。


 ちなみにこの呪いを持った者は世界で二人。

 僕と彼女、前世で何かやらかしたのだろうか。


 ちなみに言っておくとモンスターや人間に対してのダメージが1になるだけなので、今僕の周りには巨大なクレーターができている。周囲が熱を帯び、非常に熱い。


 さて、本題なのだがこんな状況でどうやって魔王を倒すのか?彼女以外をパーティーに入れればいいと思う、だろう?しかし無理だ。

 普通の人をパーティに入れると、その人も僕たちと同様の呪いにかかる。

 うんスッゲー迷惑。この上迷惑極まりないよね。


 そしてパーティーに入れてない人は普通に連携ができない、何故か向こうの方が過酷な旅に耐えられずリタイアする。

 まあその旅を過酷にしてるのは僕達なんだけどさ。



 さて、そんな現状今僕たちはそうやって戦っているのかというと。


 この前闘ったボスとの戦闘を思い返してみよう──



「ははは!よくきたな勇者よ!俺が四天王の最弱、土のストーン様だ!」

「名前直球すぎるし自分で最弱っていうやつがあるか!」

「行くぞ勇者よ!」


 土の四天王ストーンを パーティに入れますか?

 はい◀️

 いいえ


 土の四天王ストーンが パーティに加わりました!


「え?……ちょ、は?待てよおい!なんだよそれ聞いてねーぞ!」

「仲間になったばかりの君を倒すのは心が引けるけど……仕方ないよね!魔王の手先だからね!」

「くそう!ストーン!」


 1ダメージ


「ストンア!」


 1ダメージ


「スットトトン!」


 1ダメージ


「スットコドッコイ!」


 0ダメージ


 これぞ最強戦法!自分のHPが減ったらポーションを飲む!相手のHPが尽きるまでの完全消耗戦だ!


「はぁあぁぁぁぁああぁ!?」

「行くぞ!そい!そい!そい!そい!そい!そい!」


 1ダメージ

 1ダメージ

 1ダメージ

 1ダメージ

 1ダメージ

 1ダメージ


「加勢します!よいしょー!えいやー!あそれ!」


 1ダメージ

 1ダメージ

 1ダメージ


「ぐああ!ちまちま削られていくぞおぉ!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 土の四天王ストーン

 HP 1/5500


「これで!終わりだぁぁぁぁぁぁぁ!」


 ズシャ!


「ぐ……その腐った根性、嫌いじゃない…ぜ。グフゥ」


 土の四天王ストーンを倒した!経験値3200入手!



 ──ということがあった。

 ちなみに今、魔王城の目の前である。


 スライムは、うんなんかいただけ。よく考えるとラストダンジョンの前にスライムっておかしいよね?


 そして、なんやかんやで魔王の間に来ました!


「ふははははぁっ!勇者よよく来たな!まずは喰らえ!」

「させない!」


 魔王を パーティに入れますよね?はい、わかりました。

 魔王が パーティに加わった!


「なんの!ワシの攻撃を避けれぬと悟って暴挙に走ったか!」


 気付いた時には遅く、斬撃は勇者の胴を貫いていた。


「ゆ、勇者さまぁあああ!」





 1ダメージ





「ふっ」

「……???え?ん?はぁあ!?」


 さあ、魔王よ最終決戦だ。


「行くぞ!」


「え?え?ちょま!たんま!タンマあああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!」


 ──果たして勇者か魔王、勝つのはどちらだ──!?

ド○クエ じゃなくて

F○ だったら軽く絶望。


完全にネタに走りました。

ギャグをやってみたいと思い書きました。


面白いと思ってくだされば、評価感想などいただけますと作者のモチベが限界突破します。

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― 新着の感想 ―
[良い点] タイトルが、 本編の内容にかかっていて、 絶妙な感じだった。 [気になる点] なぜ、仲間に? このシステム的な所が、 どこかツボに入った。 [一言] こういう物語を、 短く終わらせられると…
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