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糸魔術師の日常  作者: 3号
16/51

ボッチ疑惑

本日あと一話

先に知らせが行っていたのか、町に着くなりギルド職員がギルド入り口で待ち構えており、そのまま荷車を押していた騎士達はギルド裏手へと案内されていった。


「さて、では俺たちは報告に行きましょうか」


残されたエグジム達は、そう促されギルドの受付に。ロックリザードとの戦闘や、発見場所を報告してから解体が終わるまで待つこととなった。

ちなみに傭兵ギルドでは解体サービスを行なっているが、かなり安い値段で利用できる。なんなら解体の見学もでき、少し料金を上乗せしたら指導も受けられる。

貴重な素材を無駄に傷つけず価値を保ったまま納品してもらいたいというギルドの配慮とのこと。ミーファとレミは勉強だといい解体見学に行ってしまった。

ユーリとエグジム、ここまで付き添ってくれた騎士は待合室で待機である。


「そういえばまだお名前聞いてませんでしたね。私はエグジム、商店通りで仕立て屋やってます」


少し今更な気がするが間が持たないのと手持ち無沙汰なので自己紹介してみる。

騎士の方も無言で待合室のテーブルに座してるのは暇だったのか、すぐに乗ってきた。

ちなみにユーリはギルド内をキラキラした目で落ち着きなく見回している。子供か。


「私は第2騎士団のクレイといいます。と、今更こんな自己紹介なんて変な感じですね」

「そうですね。すいません、気がつかなくて」

「いえいえ。にしてもお嬢の彼氏……ではないんですよね?」

「ええ、なんかいつの間にか友人になってたみたいです。彼氏なんて恐れ多い」

「はははっ。まあお嬢は一筋縄じゃいかないですからね。伯爵様もよく飛んでますし」


笑って自分の主人が娘に飛ばされる情景を話す騎士。それで良いのだろうか。


「でも彼氏ではないとなると、困りましたね……お嬢の貰い手は現れるのでしょうか」

「伯爵令嬢ですし、むしろ引き手数多では? こんなしがない仕立て屋なんぞは身に余りますよ」

「またまた、同年代とあんな楽しそうに話すお嬢は滅多に見ませんよ。むしろ見たことあったかな……いや、というより友達……いやいやまさか」

「あのー、クレイさん?」

「失礼、少し涙を誘う事実に行き着きそうでして……気にしないでください」

「はぁ……」


そういえば、騎士連中と訓練したり習い事をしたり、狩りについてきたりはしていたが、同年代の友人と遊ぶ姿は見た記憶がない。そんな悲しい事実に思い至ったクレイが、やけに筋肉の発達した女傭兵と腕相撲を始めたユーリを半眼で見つめる。

ギルド内は同年代の駆け出しもいるというのに、なぜ年かさの女傭兵と楽しそうに腕相撲をしているのか。なぜ、周りを囲む観客は平均年齢高めなのか。同年代と遊べ同年代と。


「まぁ、学園にも入学したし、学友くらいはできると思いますが……」


「せいあっ!」「やりますわね!」「あんたもな貴族のお嬢ちゃん! でも勝つのは私だぁぁぁぁ!!」「捻り潰して差し上げますわぁぁ」

背後から聞こえてくる声に、自然とため息が漏れるクレイ。なんだかんだ家臣に心配されつつ慕われているユーリだった。


「ユーリの場合、人とはすぐ仲良くなると思いますけども……」

「騎士団員とか使用人とか、年上とは割と馴染みやすいですが、同年代とは……」

「ああ、なんとなく分かります」


エグジムも商店街の付き合いで、大人の男女と多く交流をしてきた。家の手伝いもさることながら、商店街という繋がりは親戚関係のように濃いもので、まるで皆が家族で友人のような、そんな中でエグジムは育っていた。

そのせいだろうか、同年代の子は何人かいたがそれ以上に大人との付き合いが多く、同年代より年長者の方が付き合いやすいと感じている部分がエグジムにもあった。


「ふっ、やるな貴族の嬢ちゃん……いや、ユーリ様よ」

「水臭いですわ。ユーリとお呼びになって。私もエリザベスと呼ばせていただきますわ」

「ユーリ様、いや、ユーリ……あんたって娘は大物ね」


がっしりと組み合った大きな手と華奢な手。それは力を比べるものではなく、芽生えた友情を確かめ合うもの。


「ほら、友達増えましたよユーリ」

「ではなくて、同年代をですねぇ。あれでは私と同年代ではありませんか」


クレイは20代後半の騎士で、後輩も指導しているベテランだという。今ユーリと友情を育んでいる女傭兵も恐らくその位だろう。

ユーリとは10程は離れているか。クレイのため息が重い。


「解体でお待ちのクレイ様。作業が完了しましたので受付までお越し下さい!」

「あ、ほら呼ばれましたよクレイさん」

「のようですね、行きましょうか」


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