八話 『怪物』
今朝は良く眠れた。疲れがたまっていのだろう…その前に寝てたって?
知らないな、その分俺は疲れていたのだ。特に大したこともなかったけど、むしろ疲れると言えばこれからか…。なんせ、これからキングゴブリンの巣に行き、そこのある資料を取ってこなくてはならないのだから。
今は、ネルトとカリスを待っている真っ最中だ。二人とは一回合流し、得等馬車を呼びに行ってしまった。
それにしてもと言うか、なんだか昨日のことを思い出してしまう。
くっそ、裸体を見ていないと言うのにまなねぇに殴られた。
どうせなら見て殴られれば良かった。にしてもなんでまなねぇは、俺が【クラルテ】を使っていても存在に築くことができたんだ?気配を消した俺を肉眼で認識することなんて無理なはずなのに。まなねぇに聞こうともしたが聞くに聞けない。まなねぇの視線が凄く怖いのだ。
「あ!ネルさん達来たよ!!」
「いや、待たせたね。特等馬車をとってきたよ」
飾りつけの激しいと言いますか…デコレーションに凄くお金を使っていそうだ。
金、金、金。どこの世界でも金と言う概念は金持ちを連想させられるな。
「今回旅の供をさせていただく、キマノです。よろしくお願いします」
「よっろしくー!」
「よろしくお願いします」
「おお、よろしくな、じゃあ、行こうか」
「はい!」
馬車に乗り王国を出る。
さて、さっさとやってまたここに戻ってくるか。ここに戻ってきた時に皆が皆無事とも限らないか・・・?やめよう!不謹慎な事考えるのは! 今は前向いて行こう。
「ヤァッ!」
馬を叩き馬車が進み始める。
前にも馬車には乗ったがそれよりかも速い、もしかしたら車よりかも速いかもしれない。
この馬はなにかのモンスターなのだろうか?
なんて思った俺は心の中でスキルを発動させる。
・・・【フューリング】発動。
脳内検索・・・馬型のモンスター、特徴は馬車にされている。【1件検索に引っかかりました。馬型モンスター《シュバル》・・・突然などは襲ってこないが攻撃をすると襲ってくる。馬車にされているのはごく稀に人間懐っこい性格のシュバルである。このモンスターは中級モンスターである。】
このシュバルは人懐っこいって事か。
「ねぇ、月兄この馬車速いね」
「そうだな、まあ飛行機程じゃないけどな」
「馬は空を飛ばないんだよ?」
「・・・・・・そうだ・・・なっ!」
「ちょ・・・くすぐってゃいっ!くっ・・・ふふふって!やめ・・・ふふん・・・ははははっ!!」
これに懲りたら正論はぶつけない事だぜ?
ああ〜それにしてもクレハは可愛いぜ!
くすぐるのをやめた、正確に言うと辞めさせられたそれはまなねぇにではなく、ネルトにだ。
「いいね、君達はご家族何だってね。俺にもそういう存在が羨ましいいよ」
それは、現在進行形ではなく過去形であった、という事は現在は居ないというのか?
あまりこういう話は深く掘りすぎない方がいいからな。
「そうだね、月兄や真姉はとても優しいき兄と姉だよ! 真姉は怖い時もあるけどとても料理は美味しい、チェスは強いし!人の事しっかり思ってくれてるし!月兄はゲスい所しかないと思うけど実は面倒見はいいし優しいし分からないことは教えてくれるしとてもいい兄だよ!」
・・・クレハ・・・ゲスい所だけを除けば完璧じゃないか・・・。ゲスい所をぬけば。
「本当に実にいい家族だね。俺の家族・・・兄弟達はある殺し屋に殺られたんだ・・・。俺もその時襲われてね腹に凄い致命傷を負ってしまった。長い時間にも意識が戻らなくてね、生死をさ迷ったよ・・・半分だったんだ生きたい気持ちと死にたい気持ちが、もう後は気持ちの問題だった、気持ちが生死を切り分けたんだ」
「それで。貴方は生きたいと思ったの?」
「ああ、思った! 良くしてくれた弟と兄の為にも俺は生きないとと思ってね、それ以来、俺は今後そんな事が起きない為にも俺は騎士団に入り強くなった、そして俺はいつかてあの男・・・ラ・モールを殺す」
ラ・モール、殺し屋かどんな奴なんだろう。出会った瞬間に人を殺しくるやつなのだろだろうか?この世界にも殺し屋は居るんだな。
「敵討ちは何も産まないよ、団長さん。あるのは悲しみだけだよ」
「知ったような口を聞かないでくれッ!」
「・・・ッン・・・」
「真姉も悪気があって言った訳じゃないんだ許してやってくれないか」
「いや、こちらこそ悪かった・・・取り乱してしまって」
ネルトが謝ると真姉も「こっちこそ、悪かった」と珍しく謝った。こんな事もあるんだな。もしかしたら真姉、ネルトに行為を抱いてたりして。ないか。
「さっ、お客さんがたそろそろ着きますぜ」
おいおい、1日もかからないどころが30分も経ってないぞ?
「いくら何でも早すぎるんじゃあ・・・」
「家のシュバルはそこら辺の馬と一緒にしないでください!時速80キロは出せますからね!それに王国からここからとては少しばかり近いんですよ」
ああ、この人シュバルを愛してるんだな。
馬馬鹿なのね。
「じゃあ、ここからは歩いてってください? 家のシュバルじゃあ洞窟の中は入れませんしキングゴブリンなんかに殺されたくありませんからね。じゃあ旦那方頑張ってくだせぇ!」
「分かりましたよ。シュバル大事にしてあげてください。馬車のキマノ!」
「ええ! あっ・・・じゃあ旦那これ持って行って下さいよ!」
馬車のキマノさんに渡されたのは光を放っている石だった。形は歪で黒曜石に色は似ている。触ってみるののそれなりに硬い。
「これは?」
「エンチャント石って言いましてね。これは火のエンチャント石ですぜ、なんせキングゴブリンと言っても火は苦手な筈ですからね。どうぞ使ってください」
「いいんですか?」
「はい。私はもう使いませんので」
使わないというのなら貰って置いてもいいか。火のエンチャント石と言っても使い方は分からないからな、余裕があったら【フューリング】で、また検索してみるか。
手を出し馬車のキマノさんから火のエンチャント石を手に入れる。
「ありがとうございます!」
「じゃあ、死なないでここに戻ってきてください? ここら辺りで待っていますので」
「でも危険と感じたらすぐに逃げてください。ここは安全とは言えませんからね」
「はい。それは承知の上です」
一応は安心か・・・あまり関係ない人は巻き込みたくないからな。
◇
「ここら辺はゴブリンが生息している」
ネルトは中央の広場を指さす。
「さらに、この中央を抜けると例のキングゴブリンがいる。討伐はしなくてもいい目的はその奥の部屋。博士の部屋に向かう、形はどうあれそこにたどり着ければいい」
「了解」
今回の指揮は団長であるネルトに任せている、下手に動いては生存率が下がってしまう。だからと言ってネルトばかりに任せ切りはいかない。その時に判断するのは自分だ。
「カリス。悪いがあそこにいるゴブリン達を一掃してきてくれないか?」
「了解」
そう言うとカリスは大剣を引き抜きゴブリンの群れに向かって走り込む。
「行きますよ。スキルリベレーション」
あの時のように火が大剣に纏う。
あの時以上に火の火力が強い。という事はあの時は本気ではなかったという事だ。流石、副団長だけはあるか。
「クリムゾンッッッッ!!!!」
纏っていた炎が一気に放出される。
一撃でゴブリンの群れを仕留めた。
強い所じゃないぞ? それは強すぎる。
「ふぅー・・・」
ゴブリンを仕留めたカリスはため息をつき大剣を地面へと突き刺す。
あの群れを一人でやったとは考えられないな。軽く30~50辺りは居たぞ?
「お疲れ様」
「本題はこれからですよ。貴方達の力が絶対に必要なはずです」
「任せといてー!」
中央の先にある大きな扉。
この先の先には研究室がありそこの資料を取ってくる事が目的だ。だからと言って全員が全員行ってしまってはキングゴブリンを止めるヤツがいなくなる。だから今回は俺が止めよう。
「作戦がある。俺と真姉がキングゴブリンを食い止める、その隙に研究室まで行ってくれ! 資料を取ったらすぐ逃げる! なんせキングゴブリンなんて倒せっこないからな」
「本当にそれでいいんですか? もしかしたら死ぬかもしれないんですよ?」
死ぬ・・・なんてことは頭の隅でしか考えていなかったな。死にたくはないけど死ぬつもりもないからな。
「何とかるなると思うよ」
「って何で私があんたの援護しなくちゃいけないの?」
「なにかあれば【エスプロジオーネ】を打ってもらおうかなって・・・」
「あれ、結構体力消耗するんだけど?」
「気にしたら負けだぜ? さっ!作戦を実行しよう!」
「後で・・・覚えなさいよ・・・」
うぅ・・・怖い怖い。後のことは後で考えればいいか。罰を受けるのは結局俺な訳だし。
木で作られた大きなドアを皆で押し開ける。
皆じゃないとこのドアは開けられない、かなり重たいドアなのだ。
グゴォォォォォという音と共にドアが開く。
「ドゥオオォォォォッッ!!」
「!?」
キングゴブリンの圧に屈してしまう。
にしても普通のゴブリンより一回りも大きい。俺はこれを引き付けておくのか?
「じゃあ! そっちは頼んだぞ!すぐに戻る!」
「お、おっけ〜・・・」
「月兄、真姉頑張って!」
三人はスキル【アクセレレーション】を使い、後ろの研究室へと入っていった、運のいい事にキングゴブリンは俺達に夢中で後には気づいていないようだ。
「じゃあ、真姉・・・いくよ」
「はいはい」
【ツヴァイアームズ】を使い、刀を取り出す。刀のスキルは1つしか覚えていない為、あまり有効的ではない。
「ドウォリャァァァ!!」
更に【アクセレレーション】を使いスピードを加速させる。
ギンっ!
鈍い音と共に刀が弾かれる。
「どいて、ツキヤ!」
まさかここで上位スキルを使うわけでわないだろーな?キングゴブリンだけではなく、俺達まで巻き添いになっちまうぞ?
「トネール・ヴァンッ!」
スキルを唱えた瞬間キングゴブリンの頭上に雲が現れる。風が吹き、雨が降る。次第に雲から大きな雷が発生し、キングゴブリンを襲う。煙幕が発生し周辺が見えなくなる。
こういう時にやったか?というのはプラグインだ、だからと言ってやったかなんて思わない理由がない。真姉が打った上位魔法あれは、キングゴブリンでも瀕死状態になるだろう、それくらいの威力があるのだ。
「なーんだ!余裕じゃん」
「油断するなよ」
煙幕が晴れ、キングゴブリンの姿を捕らえる。キングゴブリンは・・・。
「グッォォォォォォォォォォォオオオオオオオンッッッ!!」
元気でいらっしゃった。
いやいやいや、待て待てそれはいくら何でも強すぎると言うか俺達がまだ、戦うレベルじゃない・・・。いくら上位職の真姉がいたとしても無理じゃないか・・・?
「あ、そう言えば・・・」
ふと、思い出した。
から貰った火のエンチャント石。これを刀に付与すれば大ダメージが与えられるんじゃないか?一か八かだ、やらないだけいいか。
「真姉。俺にバリアか何か守れる者を使って時間を稼いでくれ」
「あぁ?何がなにかやから無いけど、それであいつを倒せるんだったら分かった」
「頼んだ」
時間を稼いで貰うのは付与の時間と【フューリング】でエンチャント石についてと付与の仕方を覚える。真姉にはかなりの負担をかけるけど今はそんな事言ってる場合じゃない。
「バリアァァァァァッッ!!」
そのままのスキルなんだね。
まあ、そんな事はいい!
真姉のスキル、バリアは俺の周りに張られた。上位スキルなのでちっとの攻撃じゃすぐには壊されないだろ・・・。
【フューリング】・・・脳内検索、火のエンチャント石、付与の仕方。
【火のエンチャント石・・・これは属性を火属性に相手が魔物、だった場合ダメージは通常
の2倍ダメージが入ります。付与の仕方、付与したいエンチャント石とその武器を近づけてください。ある程度近ければ付与できます。】
「了解・・・真姉いいぞ・・・」
「それは、スキルを解いていいって解釈していいんでしょ? もう、解くからねっ!」
言う通り【バリア】のスキルを解く。
キングゴブリンにもう壊されそうだったバリアは壊れその瞬間に火のエンチャント石を【クリエイト】で作った石型の槍に近ずける。すると・・・・・・。
「ッ・・・!?」
シュゥゥゥゥゥと音と共にエンチャント石と槍が合わさっていく。これが付与なのか?
「グォォォォォォンンンンッ!!!!」
それを見たキングゴブリンが襲ってくる。
いきなり、襲ってきたものだかは攻撃はできず体を上手いこと使い避ける。
「っと・・・! こいつ大きい図体くせして動きが速い!」
「私が動きを止める。その隙にその槍で貫いて!」
そう言うとロッドを上にあげスキルを使用する。
拘束スキルを使う気なのだろうか? それにしても真姉大丈夫か?かなり上位スキル使ってるけど・・・?上位スキルは威力があるだけあって、体力の消耗も激しい。多分だがあと、二、三回上位スキルを使ってしまえばオーバーダウンで気を失ってしまうだろう。そこまではしたくない。そうなるうちに撃退か倒す!
「分かった!」
「バインド(拘束スキル)」
キングゴブリンはスキルにハマったようで一時的に動けなくなる。その証拠にビリビリという音まで聞こえてくる。
「さて、これなら貫けるかな?」
槍を構え、大体キングゴブリンの上半身辺りに狙いを定める。その時だった、【スキル解放・・・《フォーコシューペア》】
新たなスキルの解放の合図だった。
普通に貫くつもりだったがこの際だ、スキルがあるなら使おう、それがどんなスキルだとしても・・・。
「スキルリベレーション!! フォーコシューペアァァァァァッ!!!!!!!」
そう言って放たられた槍は多くの火を纏い、槍の原型を留めてないといっても等しい位に崩れかけていた。
勢い良く放たれた槍は予想通り上半身の首に近い辺りに当たった。
「・・・・・・」
キングゴブリンから返事がない、これは殺したのか? 殺したんでいいんだよな?
「・・・・・・グゥ・・・グォア・・・グォォォォォォォォォォォォォア!!!!」
「嘘だろ・・・」
体力をほぼ使ってしまった俺はその場に倒れてしまう。意識はあったがそれももう薄れてきてしまっている。何だがいつに見た日の光景みたいだな。俺の意識はそこでシャットダウンしてしまった。
◆
ん・・・ここは?
見た所俺の部屋のようだが、もちろん地球での俺の部屋の事だ。真っ暗な部屋に光3つのモニター。その、モニターに表紙されているのは紛れでもなく俺・・・月夜の姿だった。
俺は確か・・・キングゴブリンと戦っていて、気を失って・・・。気がついたら俺の部屋に・・・。あれは、夢だったのか?
『夢なんかじゃない、全部現実さ! 今、君がここに居るのは、ちょっと私のイタズラって奴さ』
その姿に俺は見覚えがあった。
その声に俺は聞き覚えがあった。
「キル・・・。」
『久しぶりだね! ツキヤ君』
それは、紛れもなく俺達を異世界に転生させた張本人。キル=トークだった。なぜ?ここにではなく、なぜ?俺はここに?と言う方に頭が捕らわれていた。
「俺はなぜここにいる?」
ありのまま聞いた。
そのままストレートに俺はあの後死んだのかか?さっきイタズラって言ってた・・・それはどういう意味だ? 疑問で頭が沢山だった。
『順を追って話すよ。まず、ここ。ここはね、私と君の部屋、名ずけるなら夢の部屋【レーヴ】と言うか名前にしよう』
名前なんてどうでもいい・・・。
『名前なんてどうでもいいだなんて思わないでよ、そこは大事だよ。焦らなくてもアッチの世界の時は止めてあるし、君の体も無事さ・・・君に死んでもらわれちゃ色々困るからね』
時間を止めた?死んでもらったら困る?
どういう事だ?これも、説明してくれるのだろうか?それに、俺の心を読んでる?
『今回は時間を止めた事についてや、君が死んでわ行けない理由それについては話さないつもりだ。今はその時ではなとだけ言っておくよ、今回話す件についてはここについてだけ話すよ。あぁ、因みに君の心が読めるのはそう言うスキルを使っているのさッ!どう?凄いでしょ?』
スゴイスゴイ。
『あまり、驚いている様子には見えないね・・・。ちょっと、ショックが大きすぎて死んじゃうかもしれないよ』
冗談はいいから、早く教えてくれ!
ここがどこなのかを!
気が高ぶり声には出ていないが自然と心の中で強く言ってしまう。
「慌てないでよ、教えるからさ。さっきも言った通りここは、私と君のお部屋。この部屋・・・。ツキヤ君の部屋だよね? ここは落ち着くからここに【レーヴ】を設定したんだよ、簡単に言えばジオラマみたいなもの、落ち着くらから取り合いずはツキヤ君の部屋にしたって感じだよ。」
そうか、取り合いずここが夢の世界だと言う事は分かった。じゃあ、ここに来る条件は何だ? 何かあるはずだろ? 無条件でここに飛ばされるわけが無い。
『勘がいいね。そう、ここは無条件で飛ばされるわけじゃない。君が死にそうになるとここに飛んでくるのさ・・・。それで君はさっき、キングゴブリンって言いう、ちょっと強いモンスターに殺されそうになったからここに飛んできたってわけ、言わばここはゲームの世界で言う協会みたいなものだね!』
という事はHPを全回復・・・こっちの世界で言う、体力を全回復させるってことか。それは、凄いな・・・ほぼチートな気もするけど?
『それくらいしないとね、こっちも困る。ああ、それと。君に特別サービス〜!ユニークスキルの提供をしておいたから、良かったら使ってみて! 詳細は【フューリング】からわかるわかるんじゃないかな? 1つだけ言えるのはこのスキルを使うと自動的に気を失うから気をつけてね! まあ、死ぬ訳じゃないからさ。』
ユニークスキルを渡すことなんて出来るんだな・・・。それに、このユニークスキル使ったからって自動的に倒れるって・・・。頭いかれてるの?
『それは、仕方ないないさ・・・それだけの力なんだ。ユニークスキルを渡すことは簡単に出来るよ、神を甘く見ないでよね!』
甘くは見ていないけど・・・。
神だってことは忘れてた。
『酷いな・・・。』
頬を膨らまし可愛い顔で俺の方を見つめる。
こう見ていると幼いし、可愛いんだな。神だから当たりまえなのだろうか? そうでもなくとも可愛い・・。キルを見ているとクレハを思い出すな。
「じゃあ、俺はそろそろいくよ」
『もう、行ってしまうのか・・・。お茶でも飲んでゆっくりしていけばいいのに・・・』
「そういうわけにも行かないよ、兄弟が・・・仲間が待ってるから!」
『そうかい・・・。いいさ、またツキヤ君とはあえるしね、会いたい時に会える。いい事だよね』
「確かに・・・な・・・」
それだとこいつは会えたい時に会えない人が居る見ないな聞こえになるな。神のあいだでもそういう関係はあるのか。
『そこのドアから出れば帰れるよ』
悲しい声でドアの方向に指を指す。
「あ、なんかありがとう・・・ってか! 今度は海にすポーンさせるなよ!」
『ああ、あれは滑稽・・・じゃなくて、悲しい事故だったね、ホントウニシナナクテヨカッタネ』
「それだと、俺を殺す気であの海に転生させたみたいな言い方になってるぞ」
『し、仕方ないじゃないかッ! 構築回路にツキヤ君のだけ問題が起きちゃったんだから!』
それは、仕方ないに果たして入るのだろうか? 構築回路とやらに問題が起きたのなら普通に神のスキルでもなんでも使って治せるもんではないのだろうか? こんな正論を言っても多分、また言い訳をしてくるので無駄な事は言わないことにした。
「じゃあな、キル」
『うん。またね』
再びあったキルに別れを告げ、俺の部屋のいつものタペストリーが掛けてあるドアを開き部屋から出た。
名前:ツキヤ
種族:古代人
スキル:【スキルメイク】
【クリエイト】
【アクセレレーション】
【フューリング】
【クラルテ】
【アビリタ】
ユニークスキル:【ツヴァイアームズ】
【フォーコシューペア】
【エンドシューペア】
固有スキル:なし
耐性:なし
「彼かなりスキル覚えたんだね」
『そうだね。順調どおり動いているようだね』
ツキヤのいなくなった部屋にその女の子は現れた。
【アビリタシート】という他人構わず見れる、シートを片手に笑顔を浮かべる。
「あ!キルちゃん。ツキヤ君の正体についていってないでしょ?」
『え?正体?』
正体と言う言葉に疑問を浮かべるキル。
理由としては、もうツキヤは自分の正体に築いていると思っているのだろう。
「それじゃあ、彼も可愛そうだね…」
『???』
やはり、分からないキルとツキヤに同情をする謎の女の子。
「彼が――」
『あ、もうこんな時間だよ!イルノちゃん!もう、戻らないと!」
「そ、そうだね…」
イルノの名乗る女の子が最後に言おうとした言葉、ツキヤの正体それはこれからとても大事な事になる。