五話 『国王』
王国に着いた。
たどり着くまでに相当かかった。もう旅疲れで俺の体はクタクタだ、だが、バイトをしている時以上ではないので動けるといえば動ける。クレハとまなねぇはどこにそんな体力があるのかピンピンしている。
こいつら本当に人間か?
「さて、皆様行きましょう、王様がお待ちです。あ、1つ言い忘れていましたが御無礼はないようにしてくだ
さい」
「分かってますよ」
「はーい」
「ま、何かあれば皆して打首なんで皆さん一緒に仲良く逝きましょう」
逝きましょうじゃねぇよ!逝きましょうじゃ!え?大丈夫だよ・・・ね?
◇
金や何かでコーティングされている扉。どこもかしこも金ピカだ。少し目が痛くなる。
その、ドアをカリスがコンコンとノックする。等々王様とご対面だ。どんな人なのだろうか?
「王・・・クリペカ様お入り致します」
カリスはいつも喋っているトーンより低い声で言う。クリペカと言うのが王様なのだろうか?
「入れ」
ドアの向こう側から王様、クリペカと思われる人物が返事をする。
そして、俺達はドアを開を開ける。
「あれ? 誰もいないよ?」
ドアを開けると、こちらも色々目が痛くなりそうだ。そして、王はと言うとクレハの疑問の思う通り居ないのだ。
「クレハさん、失礼ですよ。いらっしゃるじゃないですか、下ですよ下!」
カリスは小声で俺達に教えてくれる、そしてそのお教え通りしたを見てみる。そこには・・・。
「は、ハムスター!!?」
そう、ハムスターが居たのであった。
「ななッ!!失礼な!ハムスターでは無い。この国の王!クペリカ=ゴートリウスであるぞ!」
おお、このハムスターが王だったのか。
はっきり言って王には見えないな。
「申し訳ございません、クペリカ様。この者達は遠い国から来たゆえ常識を知らないのです」
おい、常識はあるぞ!
それなりには、人並みにはあるつもりだがハムスターが王ともなると反応に困る。
ハムスターに常識なんて聞くのか?ああ、王だったか。
俺は右足を床につける。
「それは、申し訳ございませんでした。この国の王とも知らずご無礼を働きました。お許しください。ハム・・・クペリカ様」
「お前さっきハムスターって言いかけただろ?」
「言え気のせいでございます」
適当に丁寧な言葉を使う。
仕方がないコミュニケーションなんてあまり取って来なかったんだ。俺がやってたバイトは品出しとレジとかしか打ってなかった、だから人との関わり方はよく分からない。
「まぁ、いい」
続けてクペリカは話を続ける。
「カリスよ、お前に依頼した調査はどうだった?」
「聞いていた通りスライムは増殖。更には特殊な特性も身につけておりました」
特殊な特性と言うのは【死集合】の事だろうか。あれの対処は一応生み出された。結局ゴリ押しなんだけどね。
「そうか・・・。ご苦労だった。」
「いえ、ご希望とあらば何なりと」
かなり、ブラック企業の匂いがするね会話を聞く限り。
俺は疑問をクペリカに問う。それも丁寧の言葉など使わず。
「ねぇ?王様。カリスが副団長って聞いてるんだけど団長さんには頼まなかったのかい?」
「お前は、身の程を知った方がいいな・・・。ま、いい、団長は今ドラゴンの討伐に行っとる、何せドラゴンも増殖し始めたからかな」
なんだ、この世界は。
ドラゴンも増殖するってあまり聞かない話だ。ゲームで言うリスポーンが早い段階で行われていると言っていいものなのか。
「クペリカ様俺もその、騎士団とやらには入れないの?」
今度は王の名前を呼びながらそんな事を言う。何故そんなことを言ったかだって?それは・・・。
「なぜ? 入りたいのだ?」
「入ったら色々便利そうだから・・・かな?」
正直に言う、そしてこれもまたクレハとまなねぇの意見は聞いていない。ごめん。
騎士団に入れば一般人の俺が入れないところも行けそうだからな。
「ははッ!! 面白い! お前本当身の程知らず過ぎだ!」
「そう・・・かな?」
「ああ、お前は面白い、いいぞ特別にお前達3人を騎士団試験を受けさせてやる!」
取り合いずは、騎士団試験とやらを受けられるようだ。それも、クレハとまなねぇも一緒に意外と優しい王様で良かった。