二羽 『職業』
「ねぇ、君大丈夫?」
「 ああ、平気だよ」
俺は運よく通った船に拾われ近くの町まで運んでもらってる次第だ。因みに俺の目の前にいる子は異世界人と思われる子、リカナ=トランセルと言うらしい。
クレハと同じ赤髪が特徴的だ、さらに言うとクレハほででは無いが可愛い。
「にしても、おかしな人だね。コーギ海の中心部に棒立ちしてるなんて、バカにもほどがあるよ」
「この、海がどれほど危険かは知らないけど。あんなところ居たくていたわけじゃないよ…」
自分が異世界転生して転生先がこの海だったなんて言えないしな。
「へぇー、で? この後はどうするの?」
「妹と姉を探すよ、運が良かったらリカナの町にいるかもしれないしね」
「そうかい」
まずはクレハとまなねぇを探さないことには始まらないからな、3人でまた暮らすんだ。
にしても、あの二人どこいんだか、神が俺見たく危険な場所に転生してなければいいけど。
「さぁ、そろそろ着くよ兄ちゃん!」
見えてきた村を指をさす。
あれが、異世界に来てからの最初の町か、かなり人口が多そうだな、町だから当たり前か。
◇
俺は港でリカナとその父に礼を言い、町の方へやってきた。
へぇー、いい町だな、うるさくないし、いい人そうばかりだ。この世界なら住みやすいかもな。
さて、もしかしたらここに二人ともいるかもしれないから探すかな、…ってもどこから探そう。
適当にこの街の大きい建物に入って見ることにした。大きい建物ならば人は集まるし、もしかしたら情報を手に入れられるかもしれない。俺はこの街の中心部あたりの建物に入ってみることにした。
ずっしりとした重たいドア。自分を超えるくらいの大きさだろうか、だが開けられないことは無い。
ドアに手を伸ばしドアを広げるようにして開ける。
目の前に広がっていた光景は・・・。
「はーい! こっちはクエストボードになっております!受けたい方はここから受けてください!」
「パーティーの組み方はここに希望する内容を書いてパーティーボードに貼っておいてください」
何やら説明をする女性やら男性。
中には剣を背負ってるやつや、弓を持っている奴、槍を持っている奴もいる。
こんな光景に驚かないわけない。自分でも目を見開き、何度も瞬きしこの光景を目に焼き付けている所だ。
「どこ・・・なんだここは」
俺はどこへと着てしまったのだ?人はそれなりに集まっているが何だか色々と・・・。
「はいはい~、ドアの前で棒立ちしてないでね。どいたどいた」
「おっ・・・あ、すみません」
あたふたしているのを疑問に思ったのだろうか。武器が大量に入った箱を担いでいるお兄さんは聞いてくる。
「お前さん。この街は初めてか?」
「あ、はい。ついさっきここに着いたばかりで」
やっぱり、異世界から来ました~。なんて言えるわけないよな。
「じゃあ、俺が色々説明してやるよ」
「いいんですか?」
「ったりめーよ! 」
どうやら妹と姉を探すのはこの街の事を知ってからでも遅くないだろう。
「まっ! んなわけでここはギルド! クエストを受けたり。パーティを募集したり。酒場もあったりする、クエスト後は皆で酒でも交じりながらワイワイって凄く楽しい場所だぜ
」
なるほど、ここが例のギルドって奴だったのか、ゲームとかで言う職業等を決められる所だろ? いいねぇ、段々ゲームっぽくなってきた。
「あ、因みにギルドはここの他にも沢山あるぜ! ひとつの街に1つはあるだろうな。大きいのから小さいのまでなっ!」
「沢山あるんですね」
「らしいな」
ほかの街に行ったらよってみるのもいいな。
「そういや、お前さん職にはつくんだろ?」
職? と言うのはもしやだけど。RPGとかで言う、職業のことだろうか。
「ええ。つきますとも!」
ああ、今考えると何がいいかな。
刀とかも使ってみたいな~。やっぱり、異世界に来たのだから剣は使ってみたいな。
「じゃあ、行こうか」
「行くってどこえ?」
「お前の職を決めにだ」
へ?
ギルドには2階と地下1階がある。
2階は酒場などが、地下1階には。
「これって・・・!」
そこにあったのはそこにあったのは最近会ったばかりの神。キル=トークの銅像とその下には手形の木彫りがあった。
「まっ! 知ってるよな。神キル=トーク様の銅像だ!この銅像がつける職業を決めてくれるって分けだ」
え!?? 自由に職業選べないのか?
言われればそうだな、ゲーム等では自由に職業を選べるが、やはり適正というものがあるからな。
「じゃあ、俺は運命に従いますよ」
そう言うと俺は銅像の下においてあった手形の木彫りに形のまんま右手を置く。
すると・・・。
銅像は回転をし始め、2、3回回った所で正面で止まる、止まった瞬間、光で宙に文字が描かれる。
『アナタのテキセイショクギョウワ・・・』
生唾をごくりと飲み、気になる続きの文、自分の職業が書かれていて部分を読む。
「アナタのショクギョウハ~マジックシューペア~デゴザイマス」
・・・マジックシューペア? 何だろうか? 聞いたことのない職業だな? マジックと言うのは魔法と言うくらいは分かるのだが。
「へぇー。ランサーかい!いいねぇ!」
ランサー? ランサーって槍を使う人のことだよな? という事は俺は異世界での職業は槍使いという事か。
魔法で支援しながらメインは槍で戦うスタイルということなのだろうか。
「この職業ってどうなんですか?」
「そうだなぁ~。上級職とまでは行かないがそれなりに良い職業だと思うぜ? 魔法の消費は少ないとし、槍
はリーチが長いからそれなりに有利だとは思うぜ、まぁ~、アルコ使いには適わねぇと思うけどな」
なるほど、アルコ言うのは何かは分からないが、剣系の職業にはそれなりに有利という事か、にしても俺は上級職業では無いんだな・・・。それなりにショックではあるけど、何もないと言うよりかはマシか。
そのうちそこら辺の人に聞いて魔法も覚えないとな。
「因みに転職とかって・・・?」
「ああ、出来るが・・・転職する奴なんてほぼ見ねぇぜ? 何せ転職するには職業のスキルを全て覚えて【アルゴドラゴン】って言うこの世界でそれなりに強いドラゴンを討伐しないと転職はできねぇんだよ」
お、おお。何だ、そりゃ。
転職なんてほぼ無理じゃないか。
「した人はいるんですか?」
「ああ。いるぜ! この1年の中で3人程な!別に転職なんてしなくても良い職業だったんだけどよ、何でもどうしてもなりたい職業があったらしくてなぁ~」
殺れる奴は居るってことか。
俺はそこのレベルに行けるまでどれくらいいるかかるのだろうか?
「まっ! 気にするなやお前の職業も悪くはねぇーんだ。」
「そうですね、取り合いずしばらくはこの職業で頑張りたいと思います」
「おう! 頑張れよ! あっ・・・そういや忘れてたギルドにギルド申請しねぇとな、クエストも受けられねぇよな」
「あ、それなら1人で行けるので大丈夫ですよ! さっきのカウンターの人に申請すればいいんですよね」
「そうだ! じゃあ後は頑張れよ!」
「はい!ありがとうごさいます!」
良いお兄さんは階段を上りギルドの奥へと帰っていった。
そう言えば名前聞くの忘れたな・・・。いい人だったし・・・また会えたらいいな。
現実世界でもあんなには優しくしてもらった事なんて無かったから心がジーンという気持ちに襲われる。
さて、職業も決まった事だしあの姉妹を再び探すことにするか・・・。おっと、まずはギルド申請しないとね。