一話 『転生』
ここはどこだ? 確か俺はあの不審者に殺されたはずなのだが。
死んだのか? じゃあ、ここはあの世とかか?
目の前は、真っ白で四角い部屋のようになっているようだ。
その、部屋の中には出口と思われる場所は見当たらず、俺と部屋の中心に四角いキューブみたいなものがあった。
とりあえずだが俺は死んだって事でいいんだよな。
疑問を確信にする必要があるな、探索してみるか?
「つっても、ここしかしらべるところないんだけどな」
青い四角のキューブに近づいてみる。
何の変哲もないキューブだ、ボタンやレバーなどの奇妙なものもない。
さわって、みるか?
ギュィィィィィィィィィィン!!!
「――うわッッ!!」
キューブに触れた瞬間それは形を変え始めた。
四角いキューブは、だんだんと開いていき中から美しい女性にの人が現れる。
どうやら、このキューブの中は空洞だったようだ。
そんなことはどうでもいい、今はそのキューブから人? がでてきたのが問題だ。
「やぁ、こんにちは君は誰かな?」
「ああ、俺は…月夜、九夜月夜って言う」
なんだろうか、普通に会話している辺り、そして普通に自己紹介をしてしまった。
名乗ったのだから逆に名乗ってほしいものだ。
「ふーん、ツキヤ君って言うんだ、覚えておくよ」
「お、おうそうか、それよか聞きたい事があるんだけどいいか?」
「別に構わないけど、ちょっと待ってなもう二人くるからさ」
二人来る? 何の話をしているのだ? まさかとは思うがここにもう二人来るって事か? ってことはもう二人は俺と同じ死者?
そんなことを考えているうちにその子達は現れた。
先程のキューブが出現し中から人が出てくる、どうやら自分もああやってこちらに来たようだ。
そして、その二人は見覚えのある二人だった。
「うーーん。ここどこー?」
「さてな? 私達は刺された気がしたが? ここはあの世ってことではないか?」
「そうなんだ…私達死んじゃったんだね…」
「そう、悲しむなよ! またこうして会えたんだからさ!紅羽!真姉!!」
築いていない二人に声をかける、すると…。
「つきにぃ?? つきにぃなの?」
「そうだよ、俺だよ!!紅羽!」
いつも以上の笑顔をみせ俺に抱きついてくる。
それが、中学三年生の行動かと思うけど、今はそんなの関係ない。
今は、こいつらに会えたのが何よりもうれしい。
「感動の再開はそこまででいいかな?微笑ましくていつまでも見ていたい気はするけど、説明にはいるよ?」
そいつは再会を止め、異世界の説明をしようとする。
「とりあえず、私は、キル=トークっていう者だよ、一応神やってる」
いきなりの自己紹介だ、どうせならばさっきやってくれればよかったのに。
にしても、日本人ではなさそうな名前だな、それもそうか神様が日本人の名前を使用するなんてあまり聞いた事ないしな。
「神様…ってことは私達は本当に死んじゃったんだ」
「まあ、そうだねけどそうガッカリしないで、これから新しい世界に転生してあげるから」
異世界に転生?それってアニメとか小説、漫画なんかで言う『異世界転生』という奴か。
「まず君達は地球という星で死んでしまった。だから、次は僕の作った世界に転生してそこで暮らしてもらう」
「拒否権はないってことね」
「当たり前だよ、君達死んだ身なのだから」
キルは人差し指を立て不気味な笑いを浮かべながら聞いてきた真姉に質問の内容を返した。
正直に言って異世界に転生するほうが楽しそうだからいい、どんな世界かというのも気になってくる。
「君達には異世界に行ってもらうわけだが。そこで前の世界とは違った要素を説明するね…」
キルはそ言うと手を前に出し『アビリタ』と言う、すると近未来的な宙に浮いているスクリーンが現れた。これは、凄いな。
「わぁ~凄い!」
「確かにな、ザ・これから異世界に行くって感じだ」
「実際行くんだけどね。まぁ、まずは、ステータスについて説明するよ」
ステータス画面をこちらに向け一つずつ丁寧に説明する。
この世界はゲームみたいなものでスキルなどがあるみたいだ。
先程使った【アビリタ】というのもスキルの一種らしい、スキルは無限にあり自ら作るスキルもあるようだ、興味深いといえば興味深いな。
「じゃあ、ツキヤ君試しにステータス開いてみなよ、スキル発動させるのは簡単だからさ」
「まじかよ…そんないきなりスキル使えるのかよ」
「がんばれつっきー!」
じゃあ、やってみるか。
キルが先程やったみたいに手を前えとだす。
よく分からないが頭、脳に違和感を感じる。この世界に来たころからかいつもとは違う感覚に襲われる。
もしかしたらこの感じはスキルに関わっているのだろうか。
そんな、頭の感覚を気にしながら言葉を発してみる。
「アビリタぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
叫ぶ必要はなかったと思うけどつい叫んでしまった、この歳になってすこし気は恥ずかしい気もする。
それはいいとしてスキルの発動は。
「成功。だね」
中に浮く俺のステータスが書かれたスクリーン。
名前:ツキヤ
職業:幽霊(仮)
人種:古代人
スキル:【スピアメイク】
ユニークスキル:なし
固有スキル:なし
耐性:なし
ステータスはこんな感じになっていた。
色々バグ? があるようだ、俺の人種は人間やヒューマンではなく古代人になっている。
俺なに人だよ。
「なぁ、これバグってないか? 古代人ってさ」
「バグ?そんな事はないよステータスは事実しかかかれないからね、間違いなんてないよ」
じゃあ、何だよこれは。
「とりあえずいいや、次の説明をするね」
なんだかんだで無視をされてしまった、それどころか説明を続けるきだ。
まぁいいか、そのうち調べればいいのだ。
「僕の作った世界にはモンスターといわれる敵が存在する。このモンスター達はプレイヤーを見つ次第戦闘を仕掛けるプログラムを組んでおいた。倒すも倒さないも君達次第だけど、モンスター君達が倒れれるまで危害を加えてくる……つまりは分かるよね」
死ねばゲームオーバーってことだろう、そんなこと分かっている。
現実世界だってそうなのだから異世界も死んだら終わりだ。
けど、異世界には今までいた世界と違う点が多い、死ぬ要素は多数含まれているのだ。
「分かっている、要は死なないようにがんばれってことだろ?」
「物分りがよくて助かるよ」
「じゃ、そろそろいいんじゃないか? 異世界。連れてってくれよ。他に死に繋がるような説明は無いんだろう?」
「そうだね。後は、モンスターの事についてとかだけど、それはあっちで知ればいいし…」
他に説明を聞くのもめんどくさい。
知らない事は異世界で知ればいいさ、早く異世界に行ってみたい。
多分前の世界よりいい世界のなのだろう、住みやすくて、楽しくて。
死ぬ可能性は大いにあるけどいい異世界ライフが待っているはずだ。
「そうだね。説明はもう少しほどあったけど早く行きたいらしいしね、いいよじゃあ行こうか!」
やっといけるようだ。
「つきにぃ、楽しみだね」
「そうだな、ゲームみたいな世界で楽しみだよ」
「死にはするけど、ね」
「あんまり物騒な事言うなよ真姉」
「本当のことじゃない」
ま、この二人と異世界に行き。一緒に暮らせるというのはとてもうれしい。
「さて、異世界に行ける準備が整ったよ」
「お、行けるのか?」
「いつでもいけるよ、少し悲しいね。どう?残らない?」
「バカいわないでくれ、俺は異世界ライフを楽しむんだ」
「そうかい、じゃあ行ってきな。――ツキヤ君」
「おう!」
キルが指示する魔方陣に集まる。
スキルか魔法か分からないが呪文を唱える。
すると、床に描かれた絵柄が光りだす、だんだんとここから意識が遠のいて行くのが感じられる。
俺はその合間にキルに最後の言葉をかける。
「色々ありがとな」
「いいよやりたくてやっているんだから。頑張りなよ」
キルのその言葉とともに俺達はその場から姿を消した。
◇
体中が冷たい。
水か?分からないがぬれている感じはする。
よし、目を開けてみよう。
「ん?――なんじゃこりゃぁぁぁッッ!!」
視界には海が一面広がっていた。
これが、俺達の転生先かと考えると少しキルに怒りを覚える、あの時礼なんて言うんじゃなかった。
そういえば…。
「おーーい、クレハ! まなねぇー!無事か?」
二人の名前を呼ぶも返事がない。
もしかして溺れてる?そんな訳ないか二人とも泳げるし。
きっと、違う場所に転生させられているのだろう…そう、信じよう。