九話 『帰還』
「あっ…目さました…いきなり倒れるんだから!」
「ん・・・っあ!」
真姉の太腿に頭を乗せ俺はそこに倒れていた。真姉は心配してくれているようだ、両目からは多少の涙が流れていた。紅葉たちも資料を回収出来たみたいだ。
そうとなるとこの場所に用は無くなった訳だがコイツ をこのままにするのも危険だ。
やるしかないな。
「真姉…アイツを倒す。協力してくれ」
「本気?あれを倒すのは結構危険だし。至難の業、正直勝機は?」
「ないな…けどやるしかないだろう、俺達が原因でこんなに暴走してるんだ、町はさほど遠くない。町に被害を出さないためにもここでやる」
「そ…まぁ、アンタはそういい奴だもんね。いいわ、やりましょう」
実際作戦なんて無い。ただ一つだけあるとすればキルに貰ったこのユニークスキルとやら。
とりあえず調べてみる事にした。【フューリング】検索;エンドシューペア。
【エンドシューペア…このスキルは槍スキルです。敵を即死させる力はありますがそれと同時に貴方様の体力をものすごく消耗します、使った際には当分動けないでしょう】
強いけど、デメリットつきか…。仕方ないやるしかないもんな、
「今から、作戦らしき事を伝える。よく聞いてくれ」
俺の周りの居た。皆が話を聞きだす。
「まず、俺が【クラルテ】で気配を消す。その後にみんなはアイツの気を引いてくれ。俺は隙を見て畳み掛ける」
「分かったが、それで君はどうやってアイツを倒すんだ?」
「すぐに、分かりますよ」
俺はもったいぶってそれだけしか言わなかった。
さぁ、始めよう。
「スキルリベレーション【クラルテ】」
「よし。俺達も行こう」
ネルトさんに続きクレハ、真姉、カリスが続く。俺は岩に隠れ、今まで作った槍より頑丈な槍を作成した。
そして、あらかじめ【アクセレーション】で自分の速さを加速させておく。
今は、キングゴブリンに見つかったクレハやネルトさんが戦っている。真姉とカリスは武器を構え待機中。
クレハが弓で遠距離から戦いながらネルトさんが戦っている。ネルトさんのスキルのダメージを受けないにも多分デメリットがあるのだろう。例えば時間制とか、いくつかのゲームのスキルパターンは時間性が多いだからそう推測したのだ、あっているというためしはないが。
槍を強く握り締め【エンドシューペア】を使えるようにスキルを少し発動しておく。
「アっローー!!」
クレハのスキルでキングゴブリンのがつぶされる。
「月兄!チャンス!!」
俺はその言葉を聞き岩からものすごいスピードで飛び出し。近くの崖から飛び跳ねた。
槍を高く上げスキルを発動させる。
「エンド・・・シューペァァァァァッッ!!」
槍は黒い物を纏い槍先は赤く光り出す。
俺はそのまま槍をキングゴブリンめがけて放つ。
「グォォォォンンンッグァァァ!!!!」
槍はキングゴブリンの腹中心に突き刺さり、キングゴブリンはその場に倒れ込む。
腹からは大量の紫色の血が流れ出す。
「やった・・・」
「た、倒したぞ!」
「凄いわ!!」
「ああ・・・なんとか倒せ・・・たな・・・」
「ツキヤ!!」
力を使い果たした俺はその場に倒れ込んでしまった。分かってはいたが本当にすごい体力の消費だ。これじゃあ体力が持たないな・・・。
◇
「うっ・・・痛てぇ・・・。ってここはどこだ?」
目を覚ますと同時に体を起こす。
起こしたからだはベットに寄りかかり体をまかせる。身体中には包帯やらが巻いてあり、誰かが看病してくれたことが分かる。
「とりあえず歩けるな」
ベットをおり壁を伝って部屋から出る。
部屋の外に出たら分かったがどうやらここはホテルのようだ、それも結構いいホテル。
1階に降りるとそこにはカリスの姿があった。向こうもこちらに築き心配そうにこちらに駆け込んでくる。
「なにしてるんですか!!?」
「いや、まあ、歩ける状態だったしここがどこなのかな〜って・・・」
「馬鹿なんですか・・・?」
そこまで真剣な顔で言われると少し落ち込む気もするけど馬鹿なのかな?
「そうなのかもな、それでそっちは何してるんだ?」
「えっと・・・ちょっと貴方のことが心配になってお見舞いに来たんです・・・」
「そ、そうなのか・・・あ、ありがとう。カリスは優しいな・・・」
「い、いえ!!そ、そんな事はないですよ・・・」
カリスは何故か顔を赤らめ俺から顔を逸らす。
「マナツさんは貴方をいつも介護してましたし、クレハさんだって貴方を励ましてました。私はただこうしてきただけで・・・」
「それでも嬉しいんだよ!ありがとな」
「・・・は、はい・・・」
更に顔を赤くする。どうかしたのだろうか?
それはさておき、今回の件について王、クペリカのところに行かないとな、しっかりと報告して報酬は貰わないとな、これだけのことをしたんだ。
「そうだ、カリス。クレハ達は今どこだ?」
「ああ〜、クレハさん達なら・・・」
◇
「あぁ〜凄いこの弓!とっても性能良さそう!だけどなツキヤに作ってもらたやつがあるしな〜」
今俺は王国へと来ていた。
王の部屋と言うよりかは王の宝物庫へと来ていた。俺はそこでクレハが新しい弓を選んでいる姿を見ていた。
「なーにしてんだ」
「・・・月兄・・・」
「弓か・・・?」
「そうだよー! クペリカが報酬にって!」
あ、呼び捨てなんだ。
「様を付けろー!様を!」
あ、居たんだ。
「そうか、選ぶなら性能のいい弓を選べよ?」
「うん、だけどさ。月兄にもらった弓はがあるし…」
そうだな、俺が作った弓はクレハに大事にして貰って嬉しいけど、この先モンスターと戦闘をもしするなら強い弓が必要になってくる。
「いいんだよクレハ。俺が作る弓はいつでもつくれるしい、今の弓はお前が大事に持っていれば良いさ、今は貰っておけよ」
クレハは納得したのか弓を手に取る。
「月兄がそういうなら、これは貰っておく」
「おう」
クレハが取った弓は全体的に赤く光っており。常にエンチャントされている感じの武器だった。大きさとしてはクレハの体くらいあり、使うには難しそうだ。
「そうだ、ツキヤ。お前は私について来い」
俺も報酬を選ぼうとするとクペリカは険しい顔で俺にそんな事を言う。
なんななのだろうか?俺はクペリカの後をついていき宝物庫を後にした。
「この資料についてなんだが」
ついって行った先は会議室みたいなところだった。
俺のほかにもカリスやネルトさんが居た。
そして、俺達の目の前には俺達が取ってきた資料らしき物が並んでいた。
「これは?」
俺の目の前には八岐大蛇に翼が生えたようなモンスターがいる表図が目に入る。
「そうだ、それについて話そうとしていた。そいつは、この街を近々滅ぼしに来る」
「は?」