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底辺種族の逆転  作者: ナオフミ
三章黒鉄聖也暗殺編
48/49

逮捕

 

「ふぁ~」



 いつもの時間、聖也はいつもよりも気持ちがスッキリとした気持ちで目が覚めた。昨日は一晩中泣いて途中で疲れて寝てしまった。

 両隣にはシャーロット達が寝ている。それを見るだけで胸のあたりが温かくなるのを聖也は感じた。


「ん~、もう朝~?」


 するとシャーロットが眠たい目をこすりながら起きた。シャーロットを見て聖也は自然と笑みを浮かべて口を開いた。


「おはよう、シャーロット」

「!・・・・おはよう聖也」


 一瞬驚いた反応をするが、シャーロットは同じく笑みを浮かべながら挨拶を返した。今までの聖也とは違う朝、聖也の新しい生活が幕を開けた。



 時間がたって日課の訓練もしっかり全員でこなして今は登校途中。


「ねえねえ、セイヤ。私が寝てる間に何があったのよ!」

「しつこいぞネル、一体今日で何回目だその質問」

「だって、朝目が覚めたら聖也がいきなり笑顔でおはようだなんて、絶対おかしいよ」

「何にも変わってない、お前のただの気のせいだ」

「嘘だ!だってみんないつもよりセイヤとの距離が近いもん!幸雨はまだしもしれッとエミリーなんて腕まで組んで!」

「まあ時間は進むんだ、進んでいけば関係だって変わっていくだろ」

「それは変わりすぎだよ!私が寝込んだのってせめて一日くらいだよ!」


 ネルには昨日の夜の事は伝えていなかった。みんな聖也と同じ行動をとっているだけだった。聖也は昨日の出来事は自分が人生の中で見せるたった一回の弱音なので、あまり語りたくはないのだ。

 しかし昨日の出来事を知っているシャーロット、サテラ、エミリーは自分たちが聖也に受け入れてもらえたという、嬉しさでいっぱいで平常心を装っても近寄ってしまうのだ。殺気だって聖也の空いた腕(片腕は幸雨で確定)を誰が握るかでひと悶着があった。


「お前にはきちんと昨日の出来事を言ったろうが」

「それは敵が来た時の話でしょ!私が聞きたいのはその後!家に帰ってきてから!シャーロット達に聞いても誰も教えてくれないの、どうか昨日何があったか教えてください!」

「面倒だから、また今度な」

「もおおおお!」


 面倒になった聖也はついにネルを無視した。


「てかさっきから、周りがやけに静かだな」


 聖也達は家から登校してから、合う人合う人みんな家の中に入ったり、怯えた目でこちらを見ていた。


「人目が注目するのはわかるが、おかしいな」


 不思議に思った聖也はこの出来事を知るために幸雨を見た。


「なあ幸雨」

「なにパパ?」

「ちょっとパパのお願いを聞いてくれないか?」

「うん、いいよ!」

「よし、それじゃあ。なんでこんなに静かなのか、聞いてきてくれないか?」

「わかった!」

「それとサテラ」

「えっあっはい」

「お前もついて行け、ここのメンバーはみんなほとんどが顔を知られているからお前が幸雨を守ってくれ」

「黒鉄君のお願いなら私頑張ります!」

「俺たちはここで待ってるから、聞けたらここに戻ってきてくれ。頼んだぞ二人とも」

「「はい!」」


 いい返事を残してサテラと幸雨は手を繋いで聖也達と別れた。


「そういう訳で俺たちは一回ここで待ってるぞ」


 聖也は近くにあったベンチに座って一息ついた。そしてもう一度周りを見渡してみたがやはり聖也を見てみんな怯えている。生徒会戦で優勝した時もこんな目を向けられたが、怯えている人は少なく逆にこちらに怒りを持っている人の方が多かった。聖也は不穏な風を感じた。


 十分後、手に新聞紙を握って慌てた様子のサテラとその逆満面の笑みで向かってくる幸雨が戻ってきた。


「くくく黒鉄君!たたた大変だだよ」

「サテラいいから落ち着け」

「パパゆうめいじん!」

「なに?幸雨それはどういう意味だ?」

「ほらほら!」

「あっ幸雨ちゃん!」


 幸雨はサテラが握り閉めていた新聞紙を取り、聖也に見せた。それを見て聖也はこの状況を理解した。


「なるほどな、これは有名人だな」

「でしょでしょ!」

「主人私にも見せて」

「私にも」

「私も私もー!」

「「「!!」」」


 二人は新聞に書いてあった内容を見て驚いた。内容はこうだった。


『底辺種族、町のシンボルを消滅させる!!』


 昨日午後お昼過ぎだった。遊園地に来ていた今回の提供者E氏はこう証言している。


 E氏  「昨日遊園地に遊びに行って、お昼過ぎにちょっと休憩しようと思って観覧車の近くで      休んでたんです。そしたらいきなり意識がなくなりまして、目が覚めるとさっきまで目の     前にあった観覧車がなくなって周りにいた人たちがみんな倒れていたんですよ!何が起き     たのか周りを見てみると一人だけいたんですよ。手がなんというかこの世のものではない     何かになっていた底辺種族の黒鉄聖也がそこにいたんです!こいつの顔はつい最近生徒会     戦で見たんですぐにわかりました。底辺種族は肩で息を切らして遣り切ったぞという顔を     していました。それにこれだけではないんです!さらによく見ると底辺種族の近くに血ま     みれでとても目が当てられない姿の女性の姿がありました。これもきっと政変種族のせい     です。挙句の果てには意識を失っていて倒れている女性にキスまでしたんですよ!私はそ     の後また意識を失って倒れたんですけどこれは絶対底辺種族黒鉄聖也の犯行です!僕はい     やこのアルミド帝国の全市民は彼を絶対に許しません!この時写真が撮れなかったのが残     念です」


 この証言から現在底辺種族の黒鉄聖也はアルミド帝国全領土で指名手配しています。なので見かけたら近づかずにすぐその場から離れ、アルミド帝国軍に連絡ください。皆様の協力がアルミド帝国を平和にします。ご協力よろしくお願いいたします。


「なっなっなっ何なのよこの記事!」

「これ書いたやつ殺す」

「この記事セイヤから聞いたことと違うんだけど」

「・・・・・」


 この記事を見て、シャーロットは新聞を地面に叩きつけて怒りを表し、サテラは悲しい顔でうつむき、ネルは単純に驚き、エミリーからはもの凄い殺意が発せられていた。


「これをもってた人ね、パパの名前言ってたんだよ。他の人にも聞いたんだけど他の人もみんなパパの名前言ってた!」

「そうかそうか、俺の頼みを無事聞いてくれた幸雨にはお礼としてこの飴をやろう」

「やったー!」

「ちょっと聖也!あんた何そんなに冷静になってるのよ!」

「シャーロットお前は熱くなりすぎだ、少し落ち着け」

「落ち着けるわけないでしょ!こんな記事!」

「お前の気持ちは分かるが、少し遅かったみたいだな」

「はぁ?何言って・・・・」


『『『ガシャ、ガシャ、ガシャ、ガシャ』』』


「っ!」


 遠くから何やら金属が複数こちらに向かってくる。その姿を目でとらえると、その音の正体は、鎧を着て走ってくる兵隊だった。そして兵隊は聖也達をぐるりと取り囲み代表のものが前に出てきた。


「我々はアルミド帝国に従える軍である。指名手配中の黒鉄聖也だな。貴殿を国家反逆罪及びわいせつ及び殺人の容疑で逮捕する!」

「ちょっと何よあんたら!聖也は何もしてないわ!無罪よ!」

「そうです黒鉄君がこんなことをするはずがありません!」

「お前たちこの底辺種族をかばうつもりなら、お前らも国家反逆の協力の罪で捕まえるぞ!」

「ええ!やれるもんならやって・・・・」

「シャーロット!」


 シャーロットが兵隊の代表者に向かって一歩前に出ようとすると、それを止めたのは聖也だった。


「冷静になれといっただろ。この場で一番正しい選択は何なのかよく考えるんだ」

「くっ!でもっ!」

「ふん大丈夫だ、それじゃあ幸雨を少しの時間だが頼むぞ」


 そう言って聖也は自ら兵隊の前に出た。


 七時四十六分 黒鉄聖也 国家反逆罪、わいせつ、殺人の容疑で現行犯逮捕



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