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底辺種族の逆転  作者: ナオフミ
三章黒鉄聖也暗殺編
43/49

裏切

 

 頭を回転させろ、優先順位を早く決めろ、そして速く体を動かせ。必要な情報だけを集めろ、今は周りの色はいらない、音も聞こえなくてもいい、その分集中力を行動力を瞬発力を。

 聖也の目の前、いや全方向から敵が迫ってくる。いつもなら『メテオストライク』で強引に道を作りたいところだが、迫ってくる敵はさっきまでここアルミド遊園地に遊びに来ていた一般人だ。


「ふっ!」


 幸雨を抱えて敵の攻撃のわずかな隙間を見つけ、そこを最小限にかつ最速に移動して敵の攻撃をかわす。

 この状況をこの勝負を勝つには相手の親玉、あの一般人たちを操っている女性を倒すしかない。聖也はどんどんと敵の攻撃を掻いくぐっていき親玉めがけて一直線で行く。


「あらあら私のところに来るなんて聖也君は私に惚れてるのかな?」

「黙れ!このイカレ女が!とっとと一般人操るのやめて俺の目の前から消えろ!」

「まあ、随分な告白ですね~。もちろん答えはノーですよ?だって一般人を解放したら私、聖也君に負けちゃいますし、それに聖也君の前からいなくなっても()()()に殺されてしまいますので」

「っ!」


 聖也の体はその言葉に震え上がった。


「おいっ!あの方って誰のことだ!」

「おっと、私としたことがついつい口が滑ってしまいました」

「クソっ!お前ら目を覚ましやがれ!」

「無駄ですよ聖也君、私のユニーク魔法は私が解除しない限りはずっとその人たちは私のパペット(人形)です」


 敵の攻撃は女性に近づくたびに激しさを増してついに聖也は回避だけで手一杯、抱えている幸雨にはあまり負担をかけたくない。だから聖也は頭をフル回転させ一つの道を見つけた。


「能力の説明ありがとよ!それじゃあ今からお前のところに行くから首を洗って待ってろ!」

「うふふとっても威勢がいいこと、こんな距離が離れていてしかも回避だけで手一杯な聖也君にここまでくる力などありません」

「それは違うな」

「何ですって?」

「俺がないのは手段であって力ではない、手段なら考えればいくらでも出て来る。こんな風にな!」


 そしてその言葉通り聖也は女性の目の前にいた、聖也がこちらに踏み込んだのは見えていたしかし、そこから先は一切見えなかった。まるで『瞬間移動』。


「『メテオソニック』っ!」

「何ですってー!」


 あまりの出来事に女性はすぐに動けずそこを聖也は見逃さない。

『メテオソニック』足の裏に『圧縮』で空気を集めて、それを『分散』で一気に解放してその時発生した空気圧で聖也は一瞬で女性との距離を詰めたのだ。これは抱えられていた幸雨には何も害はない、なぜならそのあまりの速度に脳はついて行けてないからである。


 脳が気づかなければ体への害はない、聖也があの場面で一瞬で考えたことだ、しかしこれは聖也の体にはもの凄い負担がかかっていた。音速にまで至るこの移動は急激に止まろうとすれば、移動していた速度の衝撃を直接受けてしまうので、その衝撃を受けた聖也はかなりの体力を奪われた。だがこのチャンスを逃しはしない、聖也はグッと右手を固く握り閉めて一撃でこの女性の意識を断ち切ろうとしたが、この状況聖也にとってはチャンスのはずなのに、何かもの凄い違和感を聖也は感じたのだ。


 聖也は目の前の女性が、ただイカレているのではなくしっかり実力も本物であることはわかっていた。なぜならこの遊園地にいる()()()()を支配して自分の思うようにあ奴うことができるのだ、相当な力の持ち主でなければできないことだ。そんな力を持った女性が自分に近づいてきたときの対策をしていないわけがない。

 聖也が攻撃しようとしても何もしようとしない女性、近づいたときに何か仕掛けてあると予想していた聖也の考えは外れ、聖也の体は本能的に女性への攻撃を危険と感じた。


「っ!」


 それはコンマ何秒か、聖也が女性に放っていた拳を少しでも遅らせていなければ目の前の()()で腕を切られていた。


「あらあら残念、気づかれちゃった」

「・・・・なんでだよ」


 聖也を切ろうとしたその大剣には見覚えがあった。聖也にいつもついてきて自分よりも聖也のことを優先させて、聖也に傷をつけたことのある自分の身長くらいの大剣を構えている女性。


「なんでお前がそっちにいるエミリー!」

「・・・・・」

「無駄よ、その子はもう私のパペット(人形)あなたの言葉は届かない。やってしまいなさい!」

「くっ!」


 女性が命じた瞬間エミリーは聖也に()()で切りにかかった、まるで生徒会戦の時のように聖也を殺すために。

 エミリーから感じられる殺気が本物だと確信した聖也は今この状態でエミリーと戦うのは難しいと判断してひとまず距離を取ろうと後ろに下がる、そして時間を稼いで対策を立てるとそう思っていた。しかし背後からさっきまで何もなかったところから急にもの凄い殺気が感じられて、聖也は体を無理矢理ひねることにより、後ろから感じられた殺気、ちょうど聖也の首があった場所のナイフを避けてすぐにまた距離を取った。


「うおっ!」


 すると今度は聖也の着地場所に炎属性の魔法が降りそそぎ、聖也は『圧縮』による壁で何とか防ぎ魔法がやんだのを確認して、今起きたことのへの情報を集めた。


「・・・・お前らもかよ」


 周りを見るとそこには聖也がよく知る二人の女性の姿があった。


「シャーロット!サテラ!」


 聖也と謎の女性との闘い、聖也の心はどんどんと暗い闇へと落とされていくのだった。


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