表彰
「ああ体がいてえ・・・・・・、なんで表彰式なんかやるんだよ、願いだけ叶えてくれればいいじゃねえか」
つい心の中で思ったことを言ってしまった聖也だった。
生徒会戦から二日がたった。
決勝戦が終わり聖也の勝利が決まりその後には表彰式という予定だったが・・・・
聖也が終わると同時にその場でうなりを上げながらその場にうずくまり、表彰式をやれる状態じゃなく急遽二日後にやることになったのだ。
そもそもなぜ聖也がうずくまったかというと、決勝で使った聖也の切り札『デスガイス』が原因だった。
どうしても人は力を抑えてしまう、聖也でも全体の二十パーセントの力しかどれだけ訓練をしても出ない。しかしこれだけでも普通の次元で言えばかなり化け物クラスとなる。
魔力が備えられて生まれた聖也は魔力があるだけでその量はエルフ族の約十分の一、訓練をして魔力量は高くなるが一般のエルフ族くらいにしかならない。
聖也は自分の少ない魔力を、極力節約して使い魔力枯渇を起こさないようにしているが、長期戦になればかなり不利。ならば聖也の残された道はただ一つ体のリミッターを外して魔力を無理矢理底上げをするというものだ。
人が死ぬ間際に自分も驚くような力を発揮できる俗に言う火事場の馬鹿力だ。
リミッターをギゼルの一部をまとうことによって解除して魔力を底上げするのだ。これにより聖也の力が何段階も跳ね上がる、しかしまといを消すと体の上限を無視して底上げを行うものだから反動がひどいのだ。
聖也はこの反動の激痛により二日間は眠れもしなかった。
そして少しは回復したと思ったら表彰式だ、聖也も心の中で思ったことをついつい言ってしまった。
「そろそろ入場するころだな」
聖也はそう言って入場口の近くで準備をした。
そして聖也の読み道理丁度スタートしたところだ。
「それではこれより生徒会戦の表彰式を始めたいと思います!今回は優勝者以外の方はかなりの重傷なので参加することはできません、なので優勝者だけの表彰とします!それでは入場していきましょう!今年の生徒会戦優勝一年ヒューマン黒鉄聖也選手です‼」
「「「「パチパチパチ」」」」
まるで大雨のような拍手の中聖也は中央にある表彰台の前に向かって入場する。
聖也は入場しながら周りを見てみるが、会場にいるほとんどの者が聖也の優勝を喜んでいない、だから聖也が入場しても拍手しかかえって来ないのだ。
しかしこの拍手の雨の中で聖也は確かに聞いた、自分が大切に思っている人たちの声が。
「パパーおめでとう‼」
「聖也ーよくやったわねー!」
「黒鉄君お疲れさまでしたー!」
そういつもの三人だ。聖也はその三人シャーロット、サテラ、幸雨に向かって手を振った。するとサテラは御淑やかに手を振り返しては来るが、一人の子供と一人の大人・・・・・・いや二人の犬がこっちに向かいもの凄い勢いで手を振り返していた。
その行動に笑いながらも聖也は表彰台の前に立った。
「黒鉄選手が入場したのを確認したので進みます。えーそれでは表彰式に入ります、校長先生前に出てきてください」
「はい」
入場してきた校長はあいも変わらず何もかもが凄い、ただそこを歩いているだけなのに全生徒の目が校長に向いてしまう。そしてそんな可憐な雰囲気からは対照的な絶対的な強さの雰囲気も。
「これより表彰式を行います。名前を呼ばれた選手は前に出てきてください。えーごほん、今年度生徒会戦優勝一年ヒューマン黒鉄聖也選手」
「はい」
返事をして聖也は一番高い表彰台の上に上る。そして目の前に校長が近づきその手には表彰の紙とトロフィーそしてバッチが持たれていた。
そのバッチの意味をこの大会を行う本当の意味を聖也はすっかり忘れていたのだった。
「賞状一年ヒューマン黒鉄聖也殿、貴殿はこの伝統ある我が学園の生徒会戦において熱戦を繰り広げ数々の強者を倒し、見事この学園の頂上を掴んだ。よってここに貴殿を我がアルミド帝国実力魔法学園生徒会会長にする!」
「・・・・・・?」
聖也は頭の上に?を浮かべた。
「なんだって?」
「だから生徒会長だ」
「なんで俺が?」
「お前はこの大会の意味を忘れたのか?この大会は次の生徒会長を決める大会なんだぞ」
「・・・・ああああああ!!!」
聖也の記憶が一気に戻され始めてみた生徒会戦のポスターを思い出す。
「忘れてた・・・・あまりにも願いを叶えることにばっかりに気を取られて・・・・」
「そんなわけで優勝そして生徒会会長就任おめでとう」
強引に聖也は賞状とトロフィーそして生徒会長のバッチを渡され、ついつい受け取ってしまった。
「っているかこんなもん!」
貰ったバッチを聖也は思いっきり地面に叩きつける。
「それよりも早く願い叶えやがれ!」
「生徒会長にならないと願いは叶えられないけれどいいのかい?」
「くっ・・・・・・」
「まあならないと言ったところで黒鉄君には決定権はありませんがね」
その時の校長の顔を見て聖也はわかった、本気だと校長が嘘を言っているようには見えなかった。
もう聖也には道は一つしか残っていなかった。聖也はさっき投げ捨てた生徒会バッチを拾い上げてそれを胸元につけた。
「・・・・これでいいかよ」
「はいこれで黒鉄君いや間違えました、新生徒会の願いを叶えることができます。さあなんでも言ってください」
この時聖也の頭のなかっでは今まで言おうとしていた願いが全て吹き飛び、代わりとなる願いが浮かびあがり聖也は心の中で微笑む。
「それじゃあ・・・・・この学園の校則を変える権限を俺にくれ」
「っ!・・・なぜ校則を変える権限を?」
「そんなもの決まってるだろうが、生徒会長の役目はこの学園をよくすることだ。だから俺はこの学園をよくする、そためにこの学園にはいらない校則が多すぎるだから変える権限をくれと言っているんだ」
「・・・・・・」
校長の顔が崩れているのを見て聖也はものすごく気分がよくなっていた。
「・・・・いいでしょう」
「マジで!?よっしゃ!」
「しかし」
「?」
「学園の校則を変える権限は五回だけです。それ以上はこの学園が変わりすぎてしまいます」
「だが・・・・・」
「わかりましたね(修羅)」
「・・・・わかった」
聖也は反論しようとした言葉を思いっきり飲んで校長の条件をのんだ。
「なら今後校則を変えるときは全校生徒に発表してすべての責任を生徒会長が持ってください」
「わかった、なら早速校則を二つ変えよう。一つ目は身内の学園への入場を許可する二つ目は今までに奴隷に落ちたものは全員普通のの生徒に戻す、しかしその代わりもう一度その学年をやるという罰を代わりにつける」
「・・・・・・わかりましたあなたの好きなように変えなさい、しかしもしもこの学園が逆に悪くなった場合はあなたの命と交換していただきますから覚悟をしていてください」
校長は聖也の今の変更に何も言わなかったが、周りの生徒はかなりざわざわしていた。
そのざわめきに聖也は叫んだ。
「何か意見があるなら俺に言え!そうやって陰でこそこそ言いやがって!直接俺のところにきやがれ!俺が生徒会長なのが気に食わないなら力ずくでどかしてみろ!文句がなかったら黙って俺について来い!わかったな!」
「「「「・・・・・・・」」」」
今日生徒会戦表彰式、この学園の新たな未来が作られた瞬間だった。




