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底辺種族の逆転  作者: ナオフミ
二章生徒会戦編
33/49

決着

 

「我、力を求める、命令に従いこの身に宿れ、『デスガイス』っ‼」


 唱えた瞬間聖也から伝わる覇気が変わり、変化が起こった。

 聖也の右手の甲の紋章が左手の甲にも表れ、そしてそれぞれの紋章がどんどんと伸びていき聖也の腕を、まるで蛇のようにぐるぐると巻き付けていた。


「・・・・ッ!『フレイムバレット』っ!」


 体が動いたのはほぼ反射だった、意識するよりも速くに体が目の前にいる敵は危険と判断して攻撃をした。

『フレイムバレット』炎の噴射によって初速は目では追いつけないほどで、もしも当たれば体に穴が開き穴の開いた内側からじわじわと肉を焼いていく。そんな危険な炎の弾丸が迫ってくる中聖也はその場を動かない。

 そして炎の弾丸が聖也に誰もが当たると思った瞬間

 聖也は目にも負えないほどの速さの弾丸を()()()()()()()()()()

 

「なっ・・・」


 エグゼも会場の観客が絶句する、受け止めるのも凄いことだが何より受け止めた瞬間に弾丸が手を貫通しなかったことが一番の驚きであった。


「そんなバカな・・・・」

「これだけか?」

「ッ‼」

「次はこっちの番だっ!」


 瞬間聖也の体はエグゼの前にまるで瞬間移動したかのように現れた。

 黒い螺旋状の模様が浮かぶ右腕を後ろに引いて攻撃する構えだ。


「かっ・・・!」


 その構えを見た瞬間エグゼは息ができなくなった。まるで死神に首を鎌にかけられているような感覚。まさに、死。


「うおおぉぉ『ハリケーン』っ!!!」


 とっさにエグゼは魔法で自分の体を吹き飛ばして聖也の拳が届くよりも早くに脱出できた。

 聖也の拳が空を切る。するとそこからはすさまじい程の空気が肌を殴りつけ、体温がどんどん奪われていく感覚がエグゼを襲った。


「クソっ!『ロックブラスト』っ!」


 エグゼはすぐに自分が今感じた感情を感覚を押し殺してカウンターに移った。

 拳が空を切って隙だらけの聖也の体に向かって、人一人分の大きさの岩がどんどんと迫ってくる。

 まさに回避不能と思われたが聖也は違う。


「なにっ!」


 またもエグゼは動揺する。

 避けられるはずのないタイミング、スピード、威力、ガードしたとしても腕の骨は簡単に折れてしまうほどの威力だ。

 なのに今、目の前で起きたことはありえない。聖也は人としてありえない速度で態勢を立て直して向かってくる人一人分の岩を全て砕いたのだ。


 そして全てを砕いた聖也とエグゼの目が合った。


「あぁ・・・・」


 エグゼは体の重さが三倍に増えたような感覚がした。体のどこを動かしても動かない。

 そして聖也がどんどん近づいてくる。

 聖也との距離が短くなるにつれて、鼓動が速くなり息が上がる。額から汗が出てきて足が震える。

 エグゼは恐怖を覚えていた、たった一度の攻撃で今この場でどちらが強いのかはっきり理解してしまった。


「ああぁ来るな・・・」

「・・・・」

「来るなよ化け物!この僕を攻撃をすると言うことは()()()に喧嘩を売ることになるんだぞ!いいのか⁈底辺種族お前の家族がみんな殺されるぞ!」

「・・・・ッ‼」


 頬に何か熱い感覚がある。


「はっ・・・・?」


 あつい感覚は何かあまりの出来事に理解が追いつかない。


「家族が殺されるって・・・・・?」

「・・・・・・・・!!!」


 エグゼは今の状況をようやく理解する。頬の熱い感覚は血だ、しかもそれは聖也の拳によってつけられたもの。

 エグゼは体から一気に血の気が引いた。


「そんなこと、させるわけがねえだろ!喧嘩を売るだ?上等だ!俺が手に入れたこの力で殺してやる!」

「・・・・・」


 何も言えなかった。頭の中が真っ白になった。このまま自分は負けると頭の中で確信した。


「だから言え!お前の言うあの人ってには誰だ!」


 自分はこのまま負ける。

『またみんなに怒られる』

 もう諦めよう。

『もうあんな思いはしたくない』

 ダメなんだ。

『負けたくない』

 あの人に恩返しをしたい

『あの人にお礼がしたい』

 だから・・・

『だから・・・』


「僕は・・・・」

「なんだって?」

「僕は負けないんだーーーーーーー‼‼‼」

「おぉっ!」


 エグゼの体からものすごい魔力と力があふれ出した。

 エグゼはあの人に救われ自分の人生が変わった。エグゼにとってあの人は恩人だ。だからあの人を殺そうとする人は殺す。たとえ自分が死んだとしても。


「はあぁぁぁーーーー‼‼‼」


 エグゼの魔力が力がどんどん上がる。


『この上がり方は異常だ!』


 聖也は直感的に感じた、エグゼの魔力や力が上がるために命が減っていることに。


「やめろ!そのままだと死んでしまうぞ!」

「僕は死んでもいい!だけどあの人だけは殺させない!」

「ちっ!」


 聖也は今すぐ決着をつけようと思い近づこうと思ったが、あまりの魔力の圧に体が弾き飛ばされる。

 エグゼはその圧の力でどんどんと地から足が離れていく。


「僕はあの人を守りたい!救ってくれたあの人を、だから底辺種族お前はこの場で僕が殺す!」

「・・・・・・・・そうか、そんなに俺を殺したいのなら俺もお前を殺す気でいく。俺は俺の住処を家族を殺した奴を許さない、だから力をつけた・・・・」

「だけど!今の僕にはかなわない!死ねぇ底辺種族!「アイアレイション」っ‼‼」


 エグゼの頭上にまるで太陽のような魔力の塊が聖也に迫ってくる。

 その熱量とエネルギーは触れたところをちりも残さない。


「・・・そんなのは関係ない、俺はいつも自分の限界を超えないと強くなれないからな。だから超えてやるよ!ヒューマンをなめるなよ!」


 聖也は左手で右腕を掴み力を貯める、骨が筋肉が全身が軋む。悲鳴を上げているが関係ない、聖也は右腕に集中させる。


「死ねえええぇぇぇ‼‼」

「これで決着だ!『ストライクバーン』っ‼‼」


 聖也が力を込めた右腕から放った魔法は聖也の『メテオストライク』よりも大きく速く、そして何より威力が段違いの魔法。

『ストライクバーン』と『アイアレイション』が衝突する。

 その瞬間ものすごい音と衝撃がドームの外にも響く。


「ははぁぁぁーーーーー‼‼」

「うおぉぉぉーーーーー‼‼」


 衝突しお互い力をどんどんと送る、そして徐々に『ストライクバーン』が押されていく。


「これでーーーー!僕の勝ちだーーーーー‼」


 エグゼは自分の勝利を口に出し確信した。

『アイアレイション』が聖也の目の前まで接近してきたが聖也の顔には、苦しい顔とそして勝利を確信した顔があった。

 エグゼは覚えていないだろう、面白い魔法と褒めた聖也のもう一つの魔法。


「『分散』っ‼‼」

「ッ‼‼‼」


 エグゼは時間が止まったように見えた、自分の魔法が聖也の目の前まで接近してそこからさらに力を加えて自分の勝利を確信したのに、自分の魔法はまるで最初からなかったかのように()()()

 壁がなくなり聖也の魔法が自分にもの凄い勢いで近づいてくる。


「うおおおぉぉーーー‼これで終わりだーーーーーーーー‼‼」

「ぐあぁぁぁーーーーーーーーー‼」


 聖也の魔法が直撃してエグゼは空高くに打ち上げられる。

 高く高く高く

 そしてついには威力が弱まり今度は落下する。


 ズッドーーーーン!


 多いなクレーターが地面にできる、その真ん中にエグゼは大の字になって空を見上げる。

 意識が奇跡的にある、エグゼにはもう体を動かすことも、話すことも、呼吸することさえもできない。

 エグゼは自分の死を確信する。


『ああもう死ぬのか・・・・』


 そしてもう自分の意識が薄れていく中でエグゼはそばに立っている一人のヒューマンを見た。


『僕はこいつを止められなかった・・・・、悔しいなもっとあの人に尽くしたかった、もっと褒めてもらいたかった、()()()()()()


 しかしそれはもう一生叶わない願いだから、最後に体のエネルギーを最後の一滴まで絞り出し声を出す。


「ありがとう」

「・・・・・・」


 それは聖也に向けての言葉ではなく、あの人に向けての最後の言葉だった。

 そして言い終わったエグゼは静かに目を閉じた。



 この瞬間聖也は、生徒会戦の優勝が決まったのだった。

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