決勝
「ついに・・・・ついにここまで来ました!これまで数々の激戦が繰り広げられてきて、ここまでの四試合を勝ち進み優勝に王手をかけた選手による熱き戦い。生徒会戦決勝戦を始めたいと思います!」
「「「おおおおぉぉぉぉ!!!」」」
初日と比べて入場者の数はかなり増え、初日よりも大きくそして振動が会場、はたまた会場外にまで響く。
「おお!なんて熱気なのでしょうか!皆さんの熱意が興奮がビンビン伝わってきます。それでは選手入場です!右側から入場してくるのは、まさに快進撃もう底辺ではない!私たちの考えを軽く弾き飛ばし、数々の強者を倒し、そして今この決勝の舞台に足を踏み入れた!一年ヒューマン黒鉄聖也選手‼」
「・・・・おいおい底辺種族がここまで来ちまったぞ」
「あいつ本当に底辺種族なのか?」
「いや、準決勝ではあの『無敗の剣王』を倒したが今回の相手はさすがに無理だ」
「そうよ、底辺種族もここで終わりよ!」
観客がひそひそと話す、今回の聖也の結果は今までのいや世界の常識を塗り替えるそうな試合ばかりであった。しかしこのとてつもない快進撃は観客の言う通り、ストップするかもしれない。何せ相手が・・・・。
「そして反対側から入場してくるのは・・・今までの試合は全て無傷!そしてたった一発の魔法でノックアウト!強い強すぎる!今回の優勝候補一位、実力も一位、種族も一位。すべてにおいて一位を持つ男が今大会で学園の一位もつかみ取る!三年エルフ、エグゼ・アイズベルト選手‼」
「「「わあああぁぁぁぁ‼‼‼」」」
「キャー!エグゼ様!」
「いけーエグゼ、このまま優勝してしまえ!」
「そうだそうだ、底辺種族なんかいに取らせるな!」
そんな大歓声の中、エグゼは悠々と入場する。
その表情、態度からかなり余裕をもっていることが分かる。
これに対し聖也も堂々とエグゼに向かって歩いていく。
「「・・・・・」」
そして中央に揃うと、二人はじっとお互いの目を見た。そこには脅しであったり、相手の体調を見たりなど様々なことが行われていた。
「おおっと!両選手中央につくや、いきなりの衝突!お互い少しも相手から目を離さない。まだ開始の合図はなっていないにもかかわらず、もう試合は始まっている!これはもうどちらが勝つのか予想ができない!生徒会戦決勝、勝利するのはどちらか!それでは・・・・・始め‼」
開始の合図が出され動いたのは同時、しかし動く向きは全く逆だった。
まっすぐ突っ込んでいく聖也と後ろに飛ぶエグゼ、二人の距離は変わらず、最初に攻撃したのは聖也だった。
「くらえ!『メテオストライク』っ!」
聖也は空気を殴りつけて、『メテオストライク』を放ちエグゼにすさまじい速さで迫っていく。
しかしエグゼの顔には相も変わらず余裕があった。
「そんな魔法は僕には効かない、ほらお返しだ『ハリケーン』っ」
「ッ!」
エグゼは聖也の『メテオインパクト』に対して、守る避けるなどの判断をせず対抗してきたのだ。
しかもエグゼの放った魔法は簡単に聖也の魔法を押し切り、今度は聖也の方に向かって行く。
一切の威力の減少もなく迫ってくる魔法に、聖也は返されたことは少し驚いたが冷静になり次の行動を考え、足にグッと力を込めて向かってくる魔法に対し突っ込んでいった。
この行動を見た観客は皆、聖也は自爆しに行ったと考えこの試合の勝敗が決まったと考えていた。
しかし観客は次の光景に言葉を失いう。
聖也が魔法に当たる寸前んで魔法が消えて聖也はそのままエグゼに向かって行く。
「へぇ、なかなか面白い魔法だね。」
「それは、ありがとよっ!」
聖也は魔法に当たる寸前で『分散』を使って魔法を無外にして、踏み込んだままエグゼとの間合いを詰めたのだ。
今回の試合は聖也にとって圧倒的に不利。
今までの対戦相手は遠くから魔法で攻撃されても、聖也にとってはそこまで大したスピードではなかったので、ギリギリでかわしてすぐに間合いを詰められたが、今回の相手エグゼは今までの対戦相手の魔法とは比べ物にならない。威力、スピード、発動スピードどれを取ってもけた違いで、訓練でシャーロットの魔法で対策はしていたが、まったくレベルが違う。
まるで人ではないみたいに。
距離を詰めるや聖也は魔法を唱えられる前に、顎に向けてアッパーカットを放つ。
無駄がなく最短距離でエグゼの顎をとらえようとする、がしかし聖也は思い出す、初めてエグゼと出会ったときに何をされていたのかを。
『バンッ!』
「だけど面白いだけで僕には届かない」
「ッ!」
そう最初に合った時も、エミリーと衝突しそうになっ時に、エグゼは素手で聖也の拳とエミリーの大剣を止めていた。
思い出したが動き出したものは止まらず、出会った時と同じく聖也の拳を左手で軽々と止め、エグゼは残った右手を聖也のお腹の前に動かし、魔力を貯める。
聖也は一瞬でエグゼが何をするかわかった。次の攻撃などしている暇はなく聖也は後ろに下がろうと拳を振り払おうとしたが、エグゼがエルフとは思えないような力で聖也の拳をとらえていて抜けず、エグゼの魔法に間に合わなかった。
「『テンペスト』」
「がはっ!」
お腹に強い衝撃が走り、聖也はその勢いに体を奪われて後ろに飛ばされる。
勢いは収まらず、聖也は壁に衝突した。壁にクモの巣型のひびが入る。
エグゼの使った魔法『テンペスト』は風属性魔法の最上ランクに匹敵する魔法だ。まず並みの者には使えない。
『テンペスト』はその名のとうり暴風、古代存在していたドラゴンの一体暴風竜のような、街を一息で消し去るような風。空気を極限まで貯めて風の玉を作りさらにそれを風で押す。くらったものは体に穴が開くものだが、聖也は違う。
「いってて・・・」
「ほう、今のをくらって無事とは・・・・」
そう聖也は魔法を受ける寸前に自分のお腹の前に『圧縮』で壁を作り『分散』で威力を落としたのだ。
「無事なわけがあるか、今のでかなり魔力使っちまった」
「いやいや、僕の『テンペスト』をくらって無事な奴は初めてだよ」
「俺も初めてだよ、魔法を返されたり拳を掴まれたり・・・・・・、お前本当にエルフか?」
「・・・・」
聖也の質問にエグゼは沈黙で返す。
「魔法っていうのは、上位の魔法になればなるほど必要な魔力が増える、それと同時に体への負担も増える。俺が見る限り今のお前の体でさっきの魔法の負担を耐えられるとは思えねえ。しかもお前の魔力は減っているようには見えない。お前自分の体に何をした?」
「フフフフ」
エグゼは頬を上げ不気味に笑った。
「決勝まで来た底辺種族にはプレゼントとして教えてあげるよう」
「・・・・」
「知っていると思うけど、僕の父は現エルフの長ボロス・アイズベルトだ。僕はアイズベルト家の一人息子として生まれたんだ。小さい時から父の後を継ぐことは決まっていたから、習い事や訓練の毎日で精神と肉体はどんどんと削られていった。毎日きつい訓練をしているのに僕はなかなか上達しなくてね、毎日親に怒られていたんだ。この無能とか、本当に自分の息子なのかとか。家での出来事は外にはわからない外のみんなは僕にどんどんプレッシャーをかけていく。きっとボロス様の息子はエルフの希望だ、ボロス様を超えることができる、ボロス様の息子だから絶対に今後のエルフ族に道を切り開いてくれるってね」
エグゼの過去話に聖也は真剣に耳を傾けていた。
「そんなプレッシャーが僕は嫌だった、逃げ出したかった、死にたかった・・・・・。でもその時あの人は現れた」
「あの人?」
「あの人は僕に力を与えてくれた!この力で僕は生まれ変われたんだ!親からは怒られなくなって、周りのプレッシャーにも勝てる!そしてこれがその時につけられた紋章だ」
「ッ!それはっ!」
エグゼは自分につけられた紋章を見せるために服を引っ張り首筋周辺にある竜の紋章を聖也に見せた。
「お前その紋章を渡した奴はどんな顔だった・・・・」
「それは答えられないな、あの方に口を止められて・・・・・」
「いいから答えろ‼」
聖也の体からすさまじいオーラが放たれる。空気がピリピリと震えだす、聖也を中心に風が巻き起こる。
「・・・・どうして君があの人のことを着来たがっているのかは知らないけど、僕は絶対に話さないよ」
「・・・そうか、話さないのか。ならっ!無理吐かせてやる!お前とは違う自分の力でな‼」
そう言って聖也は、右腕を前に出し左手で右腕の手首を掴み右手に魔力を集中させ始めた。
そして右手の甲から紋章が浮かび上がり、黒い光を放つ。
「我、力を求める、我が命令に従い、この身に宿れ!『デスガイス』っ‼」




