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底辺種族の逆転  作者: ナオフミ
二章生徒会戦編
31/49

魔剣


「我エミリー・レオベルトが命ずる、汝の力を私に、相手を切れる力を、葬れる力を、代価は相手の命!目覚めよ魔剣『ヴァイスレイヴ』っ!」


エミリーがそう唱えた瞬間、聖也が手に持っていた剣がエミリーの方に動き出し聖也はそれを阻止しようとしたが、予想以上に力が強く手を放してしまった。

飛んでくる剣をさっきまでは両腕で支えていたのに片手で軽々と掴んだ。


「ッ!」


掴んだ瞬間今まで感じていたエミリーの覇気が一変した。

観客は殺気とはまた違う感覚をエミリーに感じていた。


「これであんたを・・・・」


エミリーがポツリと呟き聖也の目をギロリと見る。

聖也は今までのエミリーとは()()いやもう今までのエミリーとは別人のような覇気を感じて、真剣な顔で構える。


「「・・・・・・」」


見つめ合ったまま沈黙が続く、しかしこの沈黙の中ではもうすでに試合は再開されていた。

相手の呼吸を聞き体の筋肉の動き一つ一つを確認して、いつ仕掛けるか仕掛けて来るか、観客からは見えない譲れない大切な勝負。

この勝負はエミリーに軍配が上がった。


「ッ!!」


聖也はエミリーの動きをずっと見ていた、なのにエミリーの姿が瞬間移動したかのように聖也の前にその禍々しい大剣を片手で振りかぶった態勢で現れた。


「レオベルト流剣術『剛断・獄』っ!」


エミリーが振った大剣からは音が鳴らなかった。聖也は脳で判断するよりも体が勝手に動き何とかエミリーの剣を避けて距離を取った。

聖也の頬には切り傷がついていて、このままでは聖也は圧倒的に不利になってしまうので何とか一秒でもいいから時間を稼ごうとした。

だがエミリーはそんな時間を与えない。


「『剛断・獄』!『剛断・獄』!『剛断・獄』!」


たった三振りしかし聖也から見ると一振りにしか見えない、しかも音がなくその速さも以上。

聖也はこの一振りにしか見えない三振りをかわすのは不可能と判断して目の前に壁を作り自分の腕に空気をまとった。


「『圧縮』っ!」


聖也は真ん中に来る斬撃を『圧縮』により作った壁で防ぎ、残り左右からくる斬撃を両腕で防いだ。


「ぐっ!」


しかしその威力は聖也の圧縮を破り聖也の体を切り裂いた。幸い圧縮で守ったおかげで少しは威力を減らしたが腕へのダメージはかなりきつい。


「うおおぉぉ『メテオストライク(零距離)』っ‼‼」


この状況を終わらせるために聖也は力任せにエミリーを吹き飛ばした。

当然エミリーはこれを大剣の腹の部分でガードはしたが聖也の思惑通り、距離が離れていくその隙に聖也は次の攻撃の準備をする。

左右の拳にそれぞれ圧縮させる。


「くらえ!『メテオバレット』っ!」


エミリーの前には無数の弾丸が目の前に広がっていた、その一つ一つは『メテオストライク』より威力は落ちるものの、それを補うように数でエミリーに襲いかかった。


「レオベルト流剣技『散撃(ざんげき)・獄」っ』



聖也が追撃をする頃にはもう体制を立て直していたエミリーは、目の前の無数の弾丸を見てガードをするのではなく逆に潰しにいった。

弾丸と同等かそれ以上の速さで飛んでくるものをエミリーは片手に持つ大剣で次々と切っていった。エミリーの後ろではものすごい土煙が巻き起こっていた。

そして弾丸の雨がやみ土煙も晴れて、そこではゆらゆらと聖也に向かって歩いてくるエミリーの姿があった。


「もっともっと力を・・・力を・・・・・」

「・・・おいおいお前それ魔剣だろ?それ以上力を増やすのはやめた方がいいぞ?」

「うるさい!誰があんたなんかの言う事聞かなきゃならいの!『ヴァイスレイヴ』!」


エミリーの言葉に反応したのか、大剣が禍々しく光った。大剣からどこからか触手が生えてきて触手はエミリの腕に纏まり付いた。


「がああぁぁぁぁ‼‼」


エミリーの力がさらに上がり叫びながら聖也に突っ込んでくる。


「ちっ!『メテオバレット』ッ!」


聖也は『メテオバレット』で近づけさせないようにするも、エミリーはどんどんと切りながら聖也に近づいてくる。


「レオベルト流秘剣『八岐大蛇(やまたのおろち)』っ!」


秘剣『八岐大蛇』は一回の振りで八個もの斬撃を飛ばすエミリーの切り札だ。

『剛断・獄』の三連続とは違い、今度は八個もの斬撃が横から上から下から斜めからとあらゆる方向から飛んでくる。

聖也は両腕をクロスして頭を守り自分に全力で『圧縮』で作った空気の膜を作った。


「ぐうううぅぅ‼‼」


『八岐大蛇』は今までにない程の攻撃力だった、さらに強くなったおかげで聖也が作った膜もたやすく破り聖也の体を切り刻む。

聖也の体の下には血だまりができていた。聖也の息が荒いのがエミリーに聞こえる。


(チャンス‼)


エミリーは勝負を賭けるならここだと判断して、今まで片手で持っていた大剣を両手に持ち頭の上に

上げて今自分が持つ全力の力をこの一振りに乗せた。

聖也は動く気配はなかった。


(勝った!)


エミリーはそう思った。


「がはっ!」


その時エミリーの体に今まで味わったことがない激痛が走った。

そのあまりの痛さに渾身の一振りは外れた。

再度攻撃しようとするが。


「がっ!ぐっ!ああああぁぁぁ‼」


痛さのあまり目の前があまり見えなくなる、そして自分の中に得体のしれない何かが入ってくる感覚があった。


「嫌!やめて!私の中に入ってこないで!うううあああああぁぁぁ‼」


そこでエミリーの意識は完全に闇に落ちた。


「だからこれ以上はやめろって言ったんだ、お前にはその魔剣に対しての器はない」


聖也はある程度こんなことになることは予想していた。エミリーの覇気から感じる者はギゼルと同じようなものだったから、エミリーの体内がどんどんと魔剣に汚染されていたのが分かった。

まあ例外は『八岐大蛇』が予想以上にダメージがあったことだ。しかしそれでついた傷もギゼルの力を使えば何とかなる。


「それで今のお前は魔剣『ヴァイスレイヴ』でいいのか?」


聖也はエミリにいやエミリーの体を持つ悪魔に話しかけた。


「ククククク、アハハハハハ!そうだ我こそがこの剣に封印されていた悪魔『ヴァイスレイヴ』だ!ようやくようやく肉体が手に入った!我がこの剣に封印されて百万年これでこの世は我の者だ!」


その声はエミリーの声ではなかった、もの凄く低くもの凄く不快になるような声だった。


「いやそんな事良いから、さっさとエミリーに体返せよ」

「なに?ヒューマンの分際で我に指図するな!」


エミリー・・・今はヴァイスレイヴは力を解放して聖也を脅した。

ヴァイスレイヴからは空気を伝わってビリビリと肌に力を感じる。しかし聖也は怯えないそれどころか不愉快そうに顔を歪めた。


「指図だと?いいや違うこれは命令だ!」

「命令、命令だと!この底辺種族が我を誰だと思っている!我は悪魔だぞ!」

「そうなんだ」


聖也のそのあっさりとしたあっさりとした返答はヴァイスレイヴをさらに煽った。


「悪魔だぞ!お前ら地上にいる者にとっての天敵だぞさあ我に恐怖しろ、このていへん・・・・・ッ!」

「おお奇遇だな俺もさ悪魔なんだわ、いや正確には契約だがそのおかげで俺も悪魔だ、それにお前みたいに魔剣に封印されるような弱者じゃない」


聖也が少しだけ放つ力にヴァイスレイヴは動揺した。


「おのれ・・・・!」

「下級悪魔がこの俺を見下すんじゃねえ!ヒューマンをなめるなよ!」

「おおぉぉぉぉ!」


ヴァイスレイヴは突っ込んだ特にいい考えてはいなかった。しかし先に攻撃しなければ死ぬと体が自然に感じ取って先制攻撃を仕掛けたのだ。


「うおおおぉぉーーーー‼」

「無様だな『分散』っ」

「ぬおっ!」


突然ヴァイスレイヴは体から力が抜けた。


「『分散』『分散』『分散』『分散』」

「ぎゃあああぁぁぁぁ!!!」



どんどん力が抜けてついには膝をついてしまった。


「はぁはぁはぁ・・・・」

「意外としぶといな、だが次で最後だその大剣打ち砕てやる」

「まっ待て!分かった分かったから我はもうここから出ていく決してお前に害がないようにする!だから見逃してくれ!」

「ダメだ、早くエミリーの中から出ていけ」

「なぜこの女にこだわる!」

「・・・なぜってそんなもん、今後の俺の訓練の相手にするそれだけだ」

「なに?訓練の相手だと・・・・・・」

「これ以上お前と話すことはない、てか不愉快だ死ね」

「クソがあああぁぁぁぁーーーーーー‼」


ヴァイスレイヴは最後の抵抗として持っていた大剣を自分の持っている最大のパワーで聖也に向けた。


「砕けろ!『メテオインパクト』っ!」


それぞれの攻撃がぶつかり合ってものすごい衝撃と風いや暴風が会場を包む。


「「うおおぉぉぉーーーー‼」」


二人・・・一人と一体は拳と大剣でそれぞれの力を出しそして、


「はあっ!」

『バキーン』


打ち勝ったのは聖也の方だった。


「クソおおお!我はこんなところで!こんなところでぇぇ・・・・・・・」


大剣はバキバキに砕け散って覇気がエミリーに戻った。

そして元に戻ったエミリーは涙を流していた。


「どうして泣いているかわからんがこれで貸し一だ、だからお前は俺の練習相手になってもらういいな絶対だ」


そう言って背中を向けて去っていくと同時にエミリーも力尽きてその場に倒れ、聖也は決勝へと駒を進めた。



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