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底辺種族の逆転  作者: ナオフミ
二章生徒会戦編
30/49

始動


「さあ!いよいよ二日目準決勝第二試合を始めます!それでは選手入場です。まず右側から入場してくるのは、その大きな大剣で上級生たちを一太刀で沈め圧倒的な強さで勝ち上がってきた、今大会の優勝候補第二位ドワーフのエミリー・レオベルト選手です!」

「「「わぁぁぁぁ‼‼‼」」」


観客が沸き上がり、会場が一気にエミリームードになった。


「そしてそして、左側から入場してくる対戦相手はまさかまさかのブラックホース、準々決勝ではあの『笑う死神』レイド選手との試合で満身創痍の状態で、観客全員が負けを確信していましたがなんと大逆転勝利!この勢いで優勝を狙えるのか!?一年ヒューマン黒鉄聖也選手です」

「「「・・・・・・」」」


聖也が入場するとさっきまで盛り上がっていた会場は沈黙。

初日までは聖也が入場すると罵倒する声しか聞こえなかった会場が今では、恐ろしい目で見ている生徒がほとんどだった。


「・・・・よく勝ち上がって来たわね」

「どうも、こっちはいろいろとかかってるからな。俺は優勝しか狙っていないあんたはその踏み台だ」

「底辺種族の分際で私を踏み台・・・・・」



エミリーからすさまじいほどの殺気が聖也に放たれる。

生徒会室で初めて会った時に放った殺気よりもさらに大きく濃密な殺気だった。


「だから早くあんたを倒して俺は次に進む」

「・・・切り刻んであげるわ」



放たれる殺気に少しも動揺せず聖也はさらにエミリーを煽る。

そして今回の生徒会戦でエミリーは初めて剣を抜き腰をグッと落として構えた、エミリーの構えに聖也も腰を落として構えた。


「両選手中央に揃ったので、これより準決勝第二試合ドワーフ、エミリー・レオベルト選手とヒューマン黒鉄聖也選手の試合を始めます。それでは・・・・・・始め!」


試合開始の合図と同時に動き出したのは同時だった。

エミリーは自分と同じくらいの大剣を頭の腕に引き、聖也は右腕に力を籠める。


「レオベルト流剣技『剛断(ごうだん)』っ」

「おらぁ!」


互いの攻撃がぶつかりもの凄い風が会場に広まる。

拳と剣での勝負は目に見えてわかることだが、聖也の拳は切れることなくエミリーとつばぜり合いをしていた。


「うおおぉぉぉーーーー‼‼」

「はあああぁぁぁーー‼‼はあっ!」


つばぜり合いを制したのはエミリだった、ドワーフが持っている力で聖也の力を押し切って剣を振り切って、聖也を飛ばした。

だが聖也は焦らず地面に足をつけブレーキをかけて壁に当たるのを防いだ。


「ふぅ~、その大検なんつー硬さなんだ殴ったこっちが痛いぜ」

「・・・・」


聖也はエミリの集中を乱すためにわざと、拳を振って痛いアピールをした。

しかしエミリーがそんなことで集中を乱すことはなく、飛び込んでくる。


「レオベルト流居合『瞬刀』っ」


エミリーは大検を背中に背負っている鞘に納めて、大剣の柄を握ったまま聖也の方に向かってくる。


観客席からは聖也に向かって行ったエミリーが一瞬消えたように見えた、消えたエミリーをもう一度確認できたのは聖也の前で大剣を止められている姿だった。


「うそ・・・・」


今まで集中しきっていた顔が崩れた。


「なんで止めてんのよ・・・・・」



『瞬刀』体を極限にまで脱力して一気に力を込めて、この時に生じる一瞬の速さで一気に剣を抜いて相手を切り伏せるという技だ。

この技の肝はやはり脱力とその後の一気に力を入れるという行動にあるのだ、この差が大きければ大きい程速くなる、エミリーにとって『瞬刀』は自分の得意技の一つでもあり、相手を確実に倒すための必殺技でもあった。そしてそんな技だからこそ猛練習をしてきた。

しかし目の前では驚くべき光景、自分より下の種族が血も滲むような練習をしてきた技を片手でつかんでたのだから。


「このーーー‼‼」


エミリー止められた、細かく言えば手の甲に紋章を浮かべた右手で止められた剣に力を入れる。

しかしびくともしない、柄を握っている腕から血管が浮かび上がる筋肉が痙攣する、それでも動かない。


「なん、で、よーーーー!」

「・・・・・」

「なんで、あんたが、私の剣を!」

「・・・・・」

「私がこの技をどれだけ練習してきたと思ってるの!」

「・・・・・」

「なんで、なんであんたが・・・」

「・・・・終わったか、そろそろこっちの番だっ!」


その時エミリーは無意識のうちに剣から手を放して腕をクロスしてガードの体制を取って、全力で後ろに飛んだ。


「ぐっ!」


エミリーは腕に激しい痛みがあるのが分かった、聖也が剣を掴んでいた手とは逆の手でエミリを殴ったのだ。

何とか全力で後ろに飛んだことが威力を逃がすことになったので、骨折にはならなかったが腕にはまるで電流が走っているような痛みがあった。聖也と同じく地面に足をつけてブレーキをかけて止まった。

聖也は手の甲に紋章を浮かべている右腕でエミリーの剣を持ってエミリーに近づく。

エミリーとつばぜり合いをして今自分の力だけでは不利だと判断して少しだけほんの少しだけギゼルの力を使っているのだ。


『しかしよくこんな思い大剣を持っていたな』


聖也は心の中でエミリーを褒めた、エミリーの剣はかなり重さがありギゼルの力を借りていない聖也だったら、持てることはできるだろうがかなりギリギリになる。それなのにギゼルの力を借りていないエミリーはこの大剣を余裕で持っていた。

聖也は自分では気づいていないが、少しだけ頬が上がっていた。


『しかしおかしいな、この大剣からはギゼルと同じようなものを感じるんだよな』


そんな疑問を頭に抱いたが、すぐに現実に引っ張りだされた。


「剣を返せー‼」

「おっと」


さっきまでかなり離れていた距離から一気に距離を縮めて聖也に殴りかかった。

それを聖也は難なく持っている剣の腹で拳を受け止める。



「おいおい、返せって相手の武器を返すバカだと思うか?」

「くっ!」


これでさらに冷静さを失って攻撃してくる、そこにカウンターを決めて勝利するという結果が聖也の頭の中で流れた。

だが聖也の予想は外れた。


「・・・いいわ、もうこの際あんたを倒せるなら今日はもういいわ、()()を使ってあんたを地面にはいつくばさせてやる」


冷静さを失うとは真逆で冷静になった、しかもエミリーはまだあきらめてなかった。


「ここから何ができるんだよ、あれってなんだ?」

「ふふふ、この力を私に使わせたことを後悔しなさい!」


その言葉を言い切ると後ろに下がりエミリーの体からもの凄い魔力が放たれた。

聖也の肌をピリピリととうり過ぎていく魔力は、今エミリーがやろうとしようとしていることの凄さが読み取れる。

聖也はさすがにやばいと思いエミリーに攻撃しようとしたとき、右手に持っていた剣が小さく揺れだした、そしてさっきまでなかった目らしきものが剣の腹の部分にあらわれた。


「何だ!」


聖也が驚いている間にエミリーの方は準備ができ上がっていた。


「我エミリー・レオベルトが命ずる、汝の力を私に、相手を切れる力を、葬れる力を、代価は相手の命!目覚めよ魔剣『ヴァイスレイヴ』っ!」


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