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底辺種族の逆転  作者: ナオフミ
二章生徒会戦編
28/49

休戦

 

 真っ暗だった意識が回復していく感覚がした。

「ん?」


 目を開けるとそこは知らない天井だった。

 息を吸うと薬品の匂いが充満する。

 聖也は少し怠いが上半身を起こして状況を把握しようとした。


「んん~・・・・・」

「うおっ!」


 いきなり聖也の足元からかわいらしい寝息が聞こえて、思わず驚いてしまったが、よく見ると正体は幸雨だった。

 窓を見ると外は真っ暗になっていたので、幸雨が寝るのも無理もない。

 聖也はベットの上に体を預けて座ったまま寝ている幸雨を抱っこして自分の横に移動させた。

 肩まで布団をかけてやり風邪をひかないようにした。

 そして、心なしか幸雨の顔は安心したような顔にあり、そこで聖也も今までのことを思い出した。


「そうか・・・・・、倒れたんだっけ・・・・」


 生徒会戦一日目、三回戦第三試合、名前は覚えだせないが『爆発』という自分独自の魔法を使う相手に、幸雨を人質に捕られてどうにかしようと、相手に気づかれず幸雨を救い出す方法はと考え付いたのが、あの『真空』だった。

 聖也は相手に腕や足などを爆破されたが、そんな痛みはその時は一切感じなかった。

 二回戦までは『圧縮』しか使ってなかったが、今回は緊急事態なので隠したままだと幸雨が危険と判断して、もう一つの切り札『分散』を使ったのだ。

 なかなか骨の折れる作業だった、周りの空間を()()()『分解』してそこにある空気をなくしていたのだから。

 聖也にとっても初めてやることだった、一部を真空にしたことは何回かあったが、周り全てを真空にしたのは今回が初めてだった。

 普段より二倍いや五倍の魔力の消費。

 完成した時はさらにそれを維持するために、魔力を出し続けて正直意識がなくなりそうだったが、幸雨のことを考えると、自分の体より幸雨を人質に捕った相手への怒りの方が勝った。

 そして相手へ償いをさせて、幸雨が無事になったと思った瞬間聖也の意識が遠くなった。


『ガラッ』


 聖也が記憶を思い出していると、外はかなり暗いというのに誰か入ってきた。

 聖也の知っている人たちはみんな殺されたため、こんな底辺種族である自分のところに来るということは絶対にありえない、聖也は警戒をする。


「ちょっと何警戒してんのさ、それが今まで看病してやった私たちに向ける態度?」

「ちょっとシャーロットちゃん、いきなり何を言ってるんですか!黒鉄君大丈夫ですか?」


 その声は聞き覚えのある声だった。


「何だお前たちか、驚かせるな・・・」

「あんた今まで看病してやった人に向かって、何だって何よ!」

「まあまあ、それより黒鉄君体はどうですか?」

「ああ少し怠いがこれくらいなら大丈夫だ、ここは学園の治療室か?」

「はい、試合の決着がついたと同時に黒鉄君は倒れて、ここに運ばれてきたんですよ」

「そうか」


 聖也はサテラの話を聞いて、ようやく今までの流れを理解した。


「それよりあんた、なんでいきなり相手に攻撃しなくなったのよ、それに防御まで捨てて一体あんた達のところで何が起きたのよ」

「ありがとな、サテラおかげで状況がしっかり整理できた」

「私を無視するなー!」


 いつも通りにシャーロットを無視して、聖也はしっかりと自分がここにいるのだと強く感じた。


「おいおいあまり大きい声出すなよ、幸雨が起きちゃうだろうが」

「うぅ・・・・」

「うふふ、いつもの黒鉄君ですね。それでさっきのシャーロットちゃんの質問なんですけど、答えてくれますか?」

「そうだな・・・・」


 聖也は別にシャーロットたちに話しても別に問題はないと判断した、それにこんなことになった責任は俺が一番だが、ここに役一名の小学生にも責任がある。


「いいだろう、あの時・・・・・」


 それから聖也はあのドームの中で起きたことを全て話した。


「そんなことが・・・・・」

「あんたの対戦相手のレイドってやつはよっぽどのクズだな!」


 話を聞いてサテラは絶句しシャーロットはレイドに怒りを向けていた。


「だけどさ触れなきゃ爆破されないってことは、幸雨ちゃんはあいつとどこかで触れられたってことだろう、一体いつ触れられたんだろう?」


 シャーロットの疑問は確かだ、だがそれについては聖也は大体検討がついていた。


「それについてなんだが、今回のことはほとんど俺の不注意だったがシャーロットお前にも責任があるんだからな?」

「ヘッ?あたしっ!」


 全く心当たりのないシャーロットは聖也が言った責任について、脳をフル回転させながら考えていた、その隣のサテラもシャーロットがいきなり言われたことに驚いていた。


「・・・・全く心当たりがないんだけど」

「そうですよ黒鉄君、シャーロットちゃんは私とずっといたから、シャーロットちゃんがそんな責任を取らなきゃいけないようなことはしてなかったよ?」

「いいやシャーロットにも責任がある、まず幸雨がレイド?に接触したのは朝にはなかった絶対にだ、ずっと俺が守ってたからな、そして観戦の時も幸雨はお前らのそばを離れないで応援をしていた。トイレは行かなかったんだろう?」

「はい行きませんでした」

「なら幸雨が周りの人と接触するのは、幸雨がトイレに行きたいと言った時だ」

「‼」

「あの時にレイド?に触れられたに違いない、だからあの時俺がしっかり連れて行ってやれば、こんなことに巻き込まずに済んだのに。だから俺の代わりに連れて行ったお前にも責任があるんだよシャーロット」

「・・・・・・・」



 シャーロットは途中から聖也が言いたいことが理解できた、だから自分の責任は何も否定せずに、聖也に言う。


「ごめんなさい・・・・・」


 ただその一言、謝るだけだった。

 サテラはそんなシャーロットに何も声をかけることができなかった。


「いや、最初にも言ったがこれはほとんど俺の不注意が招いたものだ、お前に周りの注意することを言わなかった俺が悪い」

「違う!」


 聖也の言葉をシャーロットは強く否定した。


「今回は全て私の責任、聖也には何一つ罪はない、あの時聖也に言われなくても幸雨ちゃんに気を配っていれば、あんたがこんな苦労はしなかった・・・・・だから本当にごめんなさい」

「そうかお前は・・・・お前の責任をしっかりとるんだな?」

「うん、私にできることがあれば()()()()するわ」


 その言葉を聞いた聖也は心の中で笑った。



「本当だな?」

「ええ」

「破らないな?」

「それが私にできる幸雨ちゃんとあんたにできることだもの」


 最終確認を取り聖也は心の中の笑いを外に出した。


「クククク・・・」

「聖也?」

「黒鉄君?」

「ハハハハ!確かに言ったからな何でも言うことを聞くと、だから早速お願いをしてやる」

「なあ!」


 さっきまで重ぐるしかった空気が百八十度回転した。


「あんたまさか・・・・あたしをはめたの?」

「黒鉄君・・・・」


 二人の目は聖也に絶望したという目だった。


「おいおい侵害だ、これははめたわけじゃなく本当のことだ、自分で言ったろ責任は自分で取るって、しかもその後自分から俺と聖雨の言うことは何でも言うことを聞くと言った、これに関してもしっかりと俺は聞き返したぞ二回も」

「「・・・・」」


 二人は何も言えなかった、聖也が言ったことは全てあっている。


「ならなんでそんなに笑うのよ!」

「ああ悪い悪い、これで幸雨から出された大きなお願いを叶え宇ことが出来ると思ってつい」

「願い事?」

「ああそうだ」

「その願い事はあんたじゃ解決できなかったの?」

「ああ絶対に無理だ」

「それであたしにはできると」

「もちろん」

「・・・・その願いって?」

「俺の奥さんになってくれ」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」


 時間が止まったように、周りが静かに固まった。

 それでも状況に追いつこうとシャーロットは口を開く。


「・・・・えっと、ごめんごめんなんだって?よく聞こえなかった」

「だから俺の奥さん、妻、女房になってくれって言ってんだ」

『『ボフンッ』』


 シャーロットとサテラの顔が一斉に赤を取り越して真っ赤になった。


「ななななな何を言ってんのよ!」

「だから俺のおく・・・・」

「わかってるわよ!」

「はあ?なんなんだよ」

「こっちが聞きたいよ!」

「だからお・・・・・」

「ああああああ!」



 シャーロットはいつまでたっても話が通じず、頭をかいて叫んだ。


「くくくく黒鉄君!」

「今度はサテラか、なんだよ」

「ななななんでシャーロットちゃんをおおお奥さんに?」

「だから幸雨のお願いがママが欲しっていう願いだからだ」

「・・・・・・・なんでシャーロットちゃんなの?」

「ん?それはただの偶然だ、まあ俺は今まで女とこんなに絡んだことがなかったからな、比較的候補としては、お前かシャーロットしかいなかった、しかしいきなりママになってくださいなんて言えないから、どうしたもんかと思っていたら、さっきの話だよ」


 サテラは後半はほぼ聞こえなかった、いや聖也のある一言が頭の中でずっと響いて聞こえなかったのだ。


『候補としてはお前、お前、お前、お前』


 顔を手で覆い隠し、聖也とは逆の方向に体を向ける。


「なんでこうなるのよ!」

「なんでもって言ったじゃないか」

「言ったけど、言ったけどさ・・・」

「んっ、んん~?」


 聖也に関して言えばグッドタイミング、だがシャーロットに関してはバットタイミング。

 幸雨が起きてしまった。


「おはよう、幸雨」

「パパ?」

「ああそうだパパだ」

「パパ!」


 聖也が目の前にいると知ると、幸雨はすぐに聖也の首の後ろに手をまわしてギュッと抱きしめた。

 それに従って聖也も幸雨をギュッと抱きしめた。


「パパ・・、よかった、よかったよ・・・」

「悪かったな、心配かけた」

「ううぅぅぅ」


 ついに幸雨は聖也の方で涙を流した。


 それから数分がたって幸雨が泣き止んだのを聖也は確認して、幸雨の腕を外して幸雨の目をまっすぐ見た。


「パパな、お前に心配かけたから、幸雨にプレゼントを用意したんだ」

「ええ!なになに!」

「ふっふっふっふ、お前のママだ!」


 幸雨の体を反転させてシャーロットの方に向かせた。


「シャーロットお姉ちゃん?」

「違う違う今日からママだ」

「ちょっと、勝手に話進めない・・・・」

「ママ!」


 シャーロットがまだ何か不安があったようだったが、それは幸雨のハグで遮られた。


「ママ!ママ!ママ!ママ!」



 幸雨のあまりにも強いハグとママという強い言葉に、シャーロットはもう抵抗するのをやめて、幸雨を抱きしめた。


「ママ・・・」

「うん、私がママだからね、これからよろしくね幸雨ちゃん」

「うん!」


 そうやって笑いあってる姿はまさしく親子そのものだった。

 それを見た聖也も頬が少し上がっていた。

 これでまた幸雨が幸せになった。

 今の聖也の心の中は自分の里を親を殺した奴に復讐すること、そして最近ではもう一つ増えた。

 娘である幸雨の幸せを増やすこと。

 そのためにも二日目はさらに頑張らなくてはならない、なにせ二対の化け物が聖也を待ち構えているから。

 聖也は部屋に咲く、親子の花を見て気合を入れるのだった。

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