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底辺種族の逆転  作者: ナオフミ
二章生徒会戦編
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償い

 

 レイドは意味が分からなくなった。

 目の前では、体中から血が流れ、失った量も、地面を見ればどれほどの量なのかわかる。

 顔は青ざめ、ボロボロの体、まさしく満身創痍である黒鉄聖也が、娘の恨み・・・・いや、獲物を確実に殺しにかかるハンターのような目を向けていた。

 右手が痛むのを必死にこらえて、この状況をよく整理してみる。

 レイドは確かに自分で、無事である左手を使って聖也の娘を爆破した、しかし周りはレイドが鳴らした左手の音しか聞こえなかった、さっきまでざわざわとしていた観客席の声も、何も聞こえなくなった。

 その状況に動揺していると、聖也から種明かしをされたが、これが全く理解ができないものだった。


「真・・・空?」

「ああ、真空だ」

「何なんだよ・・・・・・」

「お前の魔法『クロックボム』は、自分が爆破したい場所を頭の中で意識して、音を鳴らしてその音に反応して爆破する、この二つは必ずセットじゃないと、お前の魔法は成立しないんじゃないのか?」

「・・・・だから何なんだよ、それが分かったところで何もできないだろうが普通!なんで俺の魔法が発動しないんだ!」


 聖也の目をこれでもかというくらい睨みつけた。

 しかし聖也は全然気にせず、口を動かした。


「だから、幸雨を爆破させないために、俺らの周りは今真空の結界を張って、音を伝わらないようにしてるんだ」

「・・・・・・・・・・理屈はわかった、だがお前にそんなことをできる魔法はないはずだぞ!」


 ようやく頭が冷えて、少しだが冷静になっていく。

 確かに理屈では、真空では音は伝わらない、すなわちレイドの『クロックボム』は発動されない。

 しかし理屈が分かっても、真空を作る方法が分からない。

 聖也の魔法は前の試合を見て大体は把握している、初戦の時、一見ただ素手であの『デスフレイム』と戦っているように見えたが、レイドの目には少しだが聖也の手の周りに何かが集まっていたのが見えた。

 そのことから、聖也の魔法は自分と同じ独自の魔法で、多分周りの者を集めたり圧縮したりする魔法だと判断したのだ。

 そのことを思うと、聖也の魔法で真空を作り出すのは不可能なのだ。


「あ?・・・・・ああ、なるほど」

「何がだ!」

「お前、俺の魔法が一つだけだと思ってるんだろ?」

「‼」


 バカにするような言い方から、レイドは気づいた。


「まさか・・・!まさか、他にもまだあるのか!?」

「正解、その通りだ。俺にはもう一つの魔法がある、だからそれを使って周りの空気を真空状態にしたんだ」

「そんな・・・、そんなことできるはずかない・・・・」

「勝手に決めつけるなよ目の前に成功した証があるだろ?それにこんなことやるのは初めてだったから、あまり長く持たない。そろそろお前には、幸雨に手を出した罪を償ってもらうぞ・・・」

「ッ!」


 聖也の目がさらに鋭くなる、まさに首に鎌をかけられている感覚になる、抵抗すればすぐに消し飛ぶそんな雰囲気。

 レイドは自分の体が危険だと信号を出していて、本能のまま自分を守ろうと、攻撃をしようとしたところ、全く目を離すことなく見ていた聖也の姿が目の前にあった。


「うわわあああぁぁぁ!」


 いきなり現れて、冷静になった頭がすぐにパニックに落ちる。

 全力で後ろに下がり、観客席は真空で爆破することはできないが聖也は違う、いまだに体には爆弾がついていて音もこの中ならば届く。

 それがチャンスだと思い無事な左手を鳴らそうとすると、距離を取ったはずの聖也がまたも一瞬で目の前に来て、そのまま左腕を粉砕された。


『メキグシャ‼』


「ぎゃあああぁぁぁぁl!」


 またも聖也はレイドが鳴らそうとしているところを、今度は腕ごと使えなくした。


「ぐッ!」


 レイドは自分から音を出せば『クロックボム』の条件は満たされる、そうすれば聖也の体にある爆弾が全て爆発する、勝利を取ることができる。

 両腕がダメなら今度は足で、出そうとした瞬間。


『メキャ‼』


「ああああぁぁぁぁ!」



 今度は両足、レイドは支えがなくなり地面に崩れる。

 しかしまだあきらめない、両手両足がなくなってもまだ唯一残っている口でーーーーー


「ゴキッ‼」


 それも読んでいるかのように、聖也はレイドの顎を確実に砕いた。

 レイドは地面に倒れるところをさらに追撃をもらい体をバウンドさせながら転がっていく。

 体中が熱く顎をやられたせいで意識が薄れていく、だが体中の痛みがそれを許さない。

 吹き飛んだレイドを追いかけて来る聖也。

 そんな聖也を見たレイドは、体の温度が一気に失われ、震えが止まらなくなる。

 なぜなら彼の目の前には、人間の皮を被った悪魔が近づいているように見えたからだ。


「ああ!あ!あ!」


 顎を砕かれて喋ることができず、その場から移動もできず、ただ近づいてくる悪魔に怯えることしかできなかった。


「俺の娘に手を出したことをあの世で後悔しろ!」

「あああぁぁぁぁーーーーーーーーーーー‼‼‼‼‼‼‼」


 聖也がとどめに、殺意や怒りを全て乗せた一撃は凄まじい勢いとともにレイドの、ほんの数ミリで止められ、そのままレイドは涙と涎と鼻水とでベタベタな顔を白目にして動かなくなった。


「はあー」


 聖也はレイドが気絶したのを見ると、息を吐いて今まで張っていた真空の結界を解いた。

 結界を解くと一気に周りの音が聞こえてきて、耳が痛くなったが確かに聞こえた、観客席の騒めきはとても大きかったが、しっかりと聞こえた。


「パパ~!パパ~!」


 自慢の娘の声を聞いて、聖也は体から力が抜けていき足に力が入らずそのまま崩れ、(まぶた)が重くなり、そこから聖也の意識は途絶えた。





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