表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
底辺種族の逆転  作者: ナオフミ
二章生徒会戦編
24/49

戦前

 

 エミリーの試合が終わり、ドーム内はさらに沸き上がった。


「ねっねえ!今エミリー選手が剣抜いたの見た!?」


 少しピリピリとしていた空気はどこへ行ったのか、ドームの沸き上がりと一緒にシャーロットまでつられて盛り上がっていた。


「ちょっと聖也、聞いてるの?」

「・・・・」

「ねぇ?」

「・・・・」

「ねぇってば」

「・・・・」

「無視するな!」

「・・・・・・・・・・なんだよ」


 耳がキーンとするのを感じて、聖也はいやいや反応した。


「だーかーらー、エミリー選手が剣抜いたとこ、見えたかって聞いてんの!」

「・・・見えたぞ」


 嘘をついても良かったのだが、『見えなかった』なんて言ったら、多分、いや確実にバカにされると、聖也は確信していた。


「ふ~ん、あんたも見えたんだ」

「何だよいきなり、てかお前さっきまで、もの凄く不機嫌だったじゃねぇか」

「何言ってんのよ、不機嫌なのはあんたのせいでしょうが!」

「逆切れもいいとこだな、俺は本当のことを言ったまでだ、それに今までわざわざ気を使って、避けてやったのに、あーあ無駄だったな」

「無駄って何よ、無駄って!私だってずっと不機嫌なままじゃないの、それぐらいわかるわよ、それに比べて、あんたは・・・・・・」


 またシャーロットが、何か言いだそうとしているのを、すぐに察知して、面倒なことになる前に聖也は行動した。


「試合数も少ないし、俺はもう控室に行くから」


 膝に乗っている幸雨を下ろして、席を立った。


「はっ!?ちょっとまだ私の話が・・・・」

「パパ、もう行っちゃうの?」

「ああ、今日はこれが最後だから、いい子でいるんだぞ?」

「うん!いっぱいおうえんする!」

「ちょっ、聞いてんの?」

「じゃあ、行くが幸雨トイレとか大丈夫か?」

「ねえ!」

「トイレ行きたい」

「ねえてっば!」

「そうか、トイレは控室とは正反対だからな、おいシャーロット」

「ひゃい!」


 突然声をかけられて、思わず変な声を上げてしまって、顔が熱くなるのを、幸雨は感じた。


「んっんん、何よいきなり」

「幸雨がトイレに行きたいらしいから、よろしく頼む」

「はぁ?あんたが連れて行けばいいでしょ!」

「じゃあ幸雨、パパは行くから、このお姉ちゃんにトイレ連れてってもらえよ」

「何勝手に、話を進めて・・・って待て!」


 シャーロットが反論する前に聖也は言ってしまった。

 そして聖也がいた場所には、もじもじとしながら、こちらを下から見て来る幸雨がいた。



「お姉ちゃん、早く行こう」

「・・・はいはい」


 さすがに子供をいじめることはせず、シャーロットは幸雨の手を取ってトイレに向かった。




「しっかり、手を洗ってね」

「はーい」

「まったく、聖也ったら、自分勝手なんだから・・・・」

「ん?お姉ちゃんはパパのこと、好きなの?」

「えっ・・・・」


 不意に幸雨が言ったことに、シャーロットの脳が動くのをストップした。



「・・・・えっと、あははは、ごめんごめん、聞き逃したからもう一回言ってくれる?」

「うん!お姉ちゃんはパパのことがすき・・・・」

「わぁ~!そろそろ試合が始まる時間だ!行くよ幸雨ちゃん!」

「えっ、お姉ちゃん・・・・」


 シャーロットは強引に幸雨の手を引いた、まさかの幸雨から放たれた不意の一言、シャーロットは顔が熱くなるのを感じた。


(なんであたし、こんなに動揺してるのよ!別にあいつのことは・・・、ああぁぁ~~~!)


 表には出していないが内心では大パニックになっていた。

 そしてパニックになっていると前から人混みが向かってくるので、シャロットは今顔を見られるのは恥ずかし思い、下を向いたままシャーロット、幸雨という順番で縦になり、人混みの端を通った。


「?」


 ふと幸雨が、何かに腕を触れられたような気がしたが、特に気にせずにシャーロットについて行った。

 人混みの中では一人不気味に笑う男がいた。


「ククク、これでお前はおしまいだ、底辺種族」





「皆さん、生徒会戦初日ももう少しで、終わってしまいます。残りの二試合もこのままの熱気で見ていきましょう!」

「「「わああぁぁ~~!」」」

「それでは、これから第三回戦準々決勝、第三試合を始めます!選手の入場です!

 まず右側から入場してくるのは、なんとなんと誰も予想しなかった、一年ヒューマンの黒鉄聖也選手です!この男私たちの知っているヒューマンとは全く別次元!いったいどこまで行くというのか!」


 聖也が入場するとともに、ドームの中は歓声以外の声で埋まった。


「いい加減引っ込みやがれ、この卑怯者が!」

「ここは、あなたみたいな底辺種族が来る場所じゃないのよ!」

「そうだそうだ、引っ込めー!」

「お前なんか重傷でも負って、もう学園に来るなー!」

「そうよそうよ、私たちまで落ちちゃうじゃない」


 ドームの中で響く、生徒たちの罵声、しかし今の聖也にはその一切の罵声も耳には届いていなかった。

 目の前から出て来る、不気味な相手に集中していた。


「そして、反対の左側から入場してくるのは、不気味に笑いながら、今回の試合も死刑が執行されるのか!二年竜人『笑う死神』レイド・カストレイド選手!」


 目の前の入場口から出て聞いた死神、レイドは聖也を見るとさらに不気味いや、とてもおぞましく笑った。



「相変わらず、気持ち悪いな」

「いえいえ、ありがとうございまいます、この代償としてあなたの命をちょうだいするぞ、底辺種族」

「悪い悪い、俺そんな代償払えないからさ、お前の命で勘弁してくれ」


 試合はまだ始まっていないというのに、二人の間には禍々しい、殺意が漂っていた。


「おおっと、両選手、どちらも気迫です。これは凄い試合の予感です!

 ええ~、おほんっ!これより第三回戦準々決勝、第三試合、一年ヒューマン黒鉄聖也選手と二年竜人レイド・カストレイド選手の試合を始めます。それでは・・・・始め!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ