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底辺種族の逆転  作者: ナオフミ
二章生徒会戦編
23/49

自信

 

 ドームの中央では、真っ黒に成り果てたストラウスを医療班が急いで運んでいく。

 観客はみんなストラウスを心配して声をかけてはいるが、一部の生徒はもうストラウスが目覚めることがないとわかっていた。

 今大会初の死亡者、確かに大会のルールとしては選手を殺してしまっても、なんの罪にはならないが、だからといって本当に相手を殺そうとする生徒はいない。

 この学園に通っている生徒のほとんどが名家から出てきているので、もしも人殺しなんかをすれば、罪にはならないが自分の家に泥を塗ることになる、なので重症までは行くが殺人まではいかないのだ。

 そして残りはただの一般の家の生徒だ、名家の者は両親や親戚が優れた能力を持っていてそれが子供に遺伝するのだ、しかし両親や親せきが優れていなくてもまれにものすごい才能を秘めた者が誕生する。

 この学園は家がどんなに名高くても、貧乏な家の者の方が強ければ、そちらを取るのだ。

 今回殺人を犯したレイドは貧しい家で育ったものだ、なので名家の者のように家の名前があるなどと気にしなくてもいいのだ、どれだけ周りから冷めたい目で見られても平気である。

 観客がとてもナーバスになっているが試合は続けられる。


「えーと、皆さん!まだまだ試合はたくさんありますので、応援をたくさんして盛り上げていきましょう!」


 放送の声を聞いて観客は少し明るくなった。


「気を取りなおして、次は第二回戦第七試合を・・・・・」


 第七試合をが始まると観客はすっかり元道理になった、初めのようにものすごい応援と熱気に包まれた。


「あっついな~」


 聖也はあまりの熱気についつい口にしてしまった。


「黒鉄君凄いですね・・・」


 不意にサテラがいきなり聖也をほめてきた。


「・・・・俺は何もしてないんだが?」

「い、いやっ、その、選手があんなことになったのに落ち着いていられるのって、凄いと思っただけですよ」

「凄いも何も、あんな風にされなければいいって話だからな」

「やっぱりすごいですよ黒鉄君は、そんなことを私は言える自信がありません・・・・」


 サテラは視線を下に落とした。


「おいサテラ」

「・・・はい?なんでしょうか・・・」

「もしもお前がレイドと戦うとしたら、お前は何が危険だと思う」

「えっ?えっと・・・」


 聖也がいきなりしてきた質問に、サテラは慌てながらも早く答えようと頭を働かせた。


「えっと、やっぱりあの爆発ですかね、どうやって相手を爆発したのかは知りませんが、もしもあんな爆発を食らえばだれでも無事じゃ済みませんから・・・」

「三十点だな」

「へっ?」

「三十点だと言ってるんだ」

「それってどういう」

「三十点は三十点だ」


 いきなりの聖也の得点にサテラは混乱した。


「いいか、お前は全然レイドのことを見てない」

「そんなことは、ありませんよ!」

「いいや全然見てないな、いいかレイドと戦うことで一番警戒しなきゃいけないのは、あいつの反射神経とスピードなんだぞ」

「?」


 聖也はいきなり何を言い出すのかとサテラは思った、さっきの試合でレイドが動いているところは見ていない、なのに聖也はスピードが速いとか反射神経とか わけのわからないことを言った。


「はぁ・・、あいつは自分に触れたところを、爆発することができるんだ」

「なんで黒鉄君がそんなことを知っているんですか!?」

「なんでって、あいつが対戦相手にたくさん触れていたところを見ていたからに決まってるだろ」

「そんな動作、一度もレイド選手はしてませんよ?」

「いいや、あいつは蹴りをくらう直前十か所相手に触れた、そしてそのまま蹴りの方向へ自分から飛んでダメージをほぼゼロにした、それがあのドームの中で起こったことだ。そしてもう一度聞くがお前はきちんと試合を見ていたのか?」

「・・・・・」


 言葉が出てこない、聖也が言っていることは嘘ではない、それは聖也の目を見ればそれは明らかだ。


「サテラお前はもっと相手を見ろ、今回で言えばレイドは確かに並外れた反射神経とスピードがあるが、能力は相手に触れなければ発動しない、だから遠距離からの攻撃が苦手だ、そしてもし爆発しても一発は耐えられる、だから一発で終わらせるとか、いろいろと倒す方法があるんだ。これらのことをサテラ一人でわかるようになればそれがそのまま自信になる、だからもっと相手を見ろ、そして弱点を見つけろ、隙を見つけろ、自信をつけろ、わかったな?」

「・・・・」

「わかったかって聞いてるんだが?」

「・・・えっ・・・、ああ・・・、わかりました黒鉄君ありがとうございます」

「お礼はいい、だから今度からは、自分に自信がないとか言うんじゃない」

「・・・はい」

「おっ!そろそろあいつの試合が始まる」



「いよいよ、二回戦最終試合!それでは初めて行きましょう!まず右側から入場するのは、三年竜人のリューク・バミリオン選手です!リューク選手といえばやっぱり、アルド選手と並ぶかなりの防御力を誇る選手です、今までの戦いでも、相手の隙が見えるまでひたすら耐えて、勝利を収めています。そして反対からは今大会の二人目のシードの二年ドワーフのエミリー・レオベルト選手です!」


 これまたエグゼにも負けないほどの、歓声が沸いた。


「いよいよ出てきました、お馴染みの大剣を背中に背負い堂々と入場していきます、エミリー選手は一年の時からその才能は開花していき、その大剣には切れないものはないとまで言われ、剣術もかなりのものだそうです、そしてエミリー選手は今まで一度も負けたことがないことから、着いた異名が『無敗の剣王』!今日もその剣で相手を切り伏せるのでしょうか!?」


 その背丈には似合わない大剣を背負いエミリは中央に向かい、お互いが中央にそろった。


「それでは、これより、二回戦最終試合、三年竜人のリューク・バミリオン選手と、二年ドワーフのエミリー・レオベルト選手の試合を、それでは・・・・始め!」


 開始の合図とともにリュークは腕をがっちりと上げて防御の体制を取った、一瞬隙だらけに見えるが急所はすべてきちんと守られている、対するエミリーは剣を構えるわけでもなくただそこに立ったままだった。


「おいおい、『無敗の剣王』様よなめてんじゃねーぞ、俺はお前の剣なんか効きはしないんだから早くかかって・・・・」

「シュッ」


 それはリュークが喋っている間にした音だった、そしてふと前を見てみると、いつの間にか剣の柄を握って鞘に納めているエミリーの姿があった。


「レオベルト流、居合、『瞬刀』」


 そう言って大剣を柄に納めた瞬間、さっきまでリュークにはなかった切り傷が浮き上がり、大量の血を吹き出しリュークは倒れた。


「ししし、試合終了!なんと一瞬で終わらせてしまいました!、私にはエミリー選手が剣を向いていた所は全然見えませんでしたが、さすが『無敗の剣王』です。そしてこれで第二回戦試合がすべて終わりました、今日はこの次の第三回戦までやるので、是非とも最後まで見て行ってください!」


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