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底辺種族の逆転  作者: ナオフミ
二章生徒会戦編
12/49

大切

 校長室を出た聖也は幸雨をだっこしたまま教室に向かった。

「ねえパパ、何話してたの?」

「難しい話だからあまり気にするな」

「??」

 幸雨は頭に(?)を残しながらそれ以上質問しなかった。

 幸雨をだっこした姿は非常に目立っていたがなんとか教室までたどり着いた。

 中からなにやらざわざわと騒いでいるが気にせず聖也は入った。

「ガラガラッ」

 いつもどうり聖也が入った瞬間教室は静かになった、いつもならヒソヒソと聖也に関して罵倒する声が聞こえるのだか、今日は違った。

「おい見ろよ、子供だ」

「誰かを犯して、その時にできた子供だって聞いたぜ」

「うっそ!私は誰かの子供を連れ去ったって聞いたよ」

「さすが底辺種族はやることがとことん底辺だな」

「あの子供もかわいそうに...」

「誰か助けに行けよ」

「やだよ、お前が行けよ」

 聖也に聞こえないように話しているようだか、すべて丸聞こえだ、変な噂をこれ以上広めたくはないが今はやらないといけないことがあるので、そっちを優先する。

「いいか幸雨、俺以外の人に付いていったらダメだぞ?」

「うん!」

「そしてあまり大きな声を出さないこと守れるか?」

「まもれる」

 早速声を小さくして返事をした。

「よし、いい子にしていたら何かご褒美をあげよう」

「!!」

 体をビクッとさせて目をキラキラさせながら幸雨は聖也の顔を見た。

 その時の幸雨の顔を見て、噂のことなど一瞬で忘れるくらい、可愛らしいものだった。

「ガラガラッ」

 朝のホームルームの時間ぴったりに聖也の担任のガイア先生は入ってきた。

「よし今日も遅刻欠席どちらもいないな、今日も特に予定はない、みんな気を引き締めて授業に取り組むように、そして生徒会戦に参加したい者はすぐに私のところに来るように以上」

 ガイア先生の話が終わったのを見計らって聖也は席を立った。

「おっ黒鉄、もしかして生徒会戦に参加するのか?」

「はい」

 聖也がそう答えた瞬間教室の中はざわめいた。

「おいまじかよ!底辺種族が出るってよ!」

「うっそー!無理無理一回戦負けだって」

「いいや負けることがもう確定してるから出ないほうがいいぜ」

「そうだな!おい底辺種族参加取り消したほうがいいんじゃないか?」

「「「わははははははは」」」

 聖也が参加すると聞き、教室の中は笑いの渦になっていた。

 今聖也が反論してもこいつらは数で聖也を押してくる、たとえ聖也がいくら正しいことを言ってもクラスのみんなは否定するだろう。

 そういう結果が見えているので聖也はひたすら無視することにした。

 すると「ガタン!」教室の中の笑いの渦が止まりみんな音の鳴った方へ顔を向けた。

 見た先には聖也の机の上に立つ幸雨がいた。

「パパをいじめるな~!」

 他の教室まで響くような声で叫んだ。

 幸雨の声を聞いて教室は一瞬静かになったが、本当に一瞬でその静寂は解け、笑いの渦がまた起こった。

「ははははは!今なんて言った『パパをいじめるな』?パパって底辺種族は子供にまで手を出すのか?まさに底辺だな!」

「こんな底辺種族のところにいたらだめよ、ほらお姉さんのところに来なさい」

「こんな小さい子まで・・・なんて奴だ!お嬢ちゃんもう大丈夫だから」

 教室の中は幸雨を聖也から解放する組と聖也をまるで親の仇のような殺意のこもったまなざしを向ける組と二つに分かれた。

「さぁ~、いらっしゃい」

 するとクラスの女子生徒が幸雨に手を伸ばした。

「いやっ!」

「パチンッ」と幸雨は女子生徒の手を思いっきり拒絶して叩き払った。

 叩かれた女子生徒は顔を真っ赤にして怒りが一気に頭まで来た。

「いった~、何すんのよ!このエルフであるあたしが親切に手を差し伸べているのに・・・、なるほどもうすでにこの底辺種族にやられてしまったのね」

「幸雨はパパに何もされてないもん!」

「はいはい、かわいそうに今すぐに警察に連絡してパパとママのところに帰らせてあげるからね」

「いや~!幸雨のパパはパパなの!」

「コラッ!いい加減にしなさい!」

「ひぃ!」

 女子生徒がついに我慢の限界で幸雨を怒鳴りつけた、幸雨はそのあまりの気迫にその場で「ストンッ」と崩れ落ちてぶるぶると震えながら涙を流した。

 今の女子生徒のの怒鳴りを聞いて昨日までいた、自分の場所がフラッシュバックしたのだ。

 言うことを聞かなければ鞭打ち、ご飯は生きていけるために必要最低限の物、もちろんカビが生えているなんてゆうのは当たり前。

 少しの時間だったが聖也といることで忘れていたのだが、心に残った傷はそう簡単に消えることもなく思い出してしまった。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

「なっなによいきなり!少し強く言っただけでしょう!」

 女子生徒はいきなり幸雨が震えて謝りだしたので、急いで泣き止ませようとした。

 だけど何を言っても幸雨は「ごめんなさい」「痛くしないでください」しか言わず、女子生徒はいい加減呆れてきた。

「あんたいいから立ち上がりなさい」

「ごめんなさい痛くしないでください」

「このっ!」

 女子生徒はもう待つはうんざりして、力任せで幸雨を立たせようと幸雨の腕を思いっきりつかんだ。

「いや!痛いのはもういや!」

 幸雨は必死に抵抗して何とか立たされないでいた、周りの生徒はその光景を黙ってみていた。

「おい、もうやめっ!」

 ガイア先生がこれ以上はやばいと判断して、女子生徒を止めようとしたが、少年の放つ圧力に思わず言葉を止めてしまった。

 そしてそれは一瞬、ガイア先生の目の前にいた少年黒鉄聖也は、いつの間にか女子生徒の腕をつかんでいた。

 女子生徒は自分の腕が底辺種族につかまれていることに気づいて、すぐさま幸雨を放して腕を払った。

「なっなっ何すんのよいきなり!このエルフである私の腕を底辺種族なんかが気やすく触ってんじゃないわよ!」

 女子生徒は聖也に向かって怒鳴ったが、肝心の聖也は何も反応せずに、幸雨の方に向かっていった。

 幸雨は女子生徒から放されて、その場で体育座りをしてガタガタ震えて、涙声ながらも「ごめんなさい」と言い続けた、幸雨の目にはもう光は映っておらず真っ暗だった、体も温かさは感じられなかった。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなっ!」

 幸雨は自分を何かが包む感覚がした、そのなにかは幸雨の冷え切った体を温め、真っ暗だった世界が徐々に薄れていった。

 真っ暗だった世界がなくなり自分を包み込んでいるものを見た、それを見た瞬間幸雨は恐怖は全く違う涙をなっがした。

「ぱ、ぱ?」

「何だ」

 その声を聞いた途端幸雨は、自分をあの場所から救った、世界でたった一人のパパの背中に手をまわして抱き着いた。

「幸雨もう大丈夫だ、俺はお前の親だ絶対にお前を守ってやる」

 その言葉を聞き幸雨は抱き着いたまま泣いた、聖也は強くそして優しく抱いて幸雨が泣き止むまで待った。


 それから数分幸雨は泣き止み、疲れて寝てしまった。

 聖也は保健室に連れて行こうと教室のドアに向かうと、ドアの前に女子生徒が立ちふさがった。

「ちょっと、なに行こうとしてるのよ、謝りなさいよ!」

「謝る?何を?」

 聖也は首を傾けて女子生徒に質問をした、女子生徒は顔を真っ赤にして両手を力強く握った。

「ふざけないで!あんたが私に触れたことよ!そんな子供なんかほっといて黙って見てればよかったのよ!」

「そんな子供だと、ふざけてんじゃねーぞ!」

 その時女子生徒は目の前にいた底辺種族が恐ろしい悪魔に見えた、今にも自分が食われそうな感覚がして女子生徒は足に力が入らなくなりその場に崩れた。

「この場にいる奴らもよく聞いておけ、もしも俺の娘に何かしたらどんなやつだろうと・・・・殺す」

 その言葉はとても嘘には聞こえなかった、聖也の放つとてつもない殺気に教室にいる全員が首に鎌をかけられているように感じたからだ。

 女子生徒の横を通って聖也は教室を出た。


 教室を出てすぐに保健室に向かって、幸雨をベットで寝かせて目が覚めるまで待った。

 学校に連れてくれば幸雨は安全だと思った自分を殴りたいと聖也は思った、冷静にもっとしっかり考えていれば幸雨をこんな目に合わせることにはならなかった。

 聖也は自分自身に怒りながらも幸雨が起きるのを待った。

 そして昼休みに幸雨は目が覚めた。

「~ん」

「よう幸雨、おはよう」

 あまり得意ではない笑顔を作り幸雨に声をかけた、あまりさっきのことを刺激しないように慎重に言葉を選ぶ。

「体起こせるか?あまり無理するなよ」

「・・・・パパ」

「何だ?」

「パパは本当に幸雨のことを絶対に守ってくれる?」

 その言葉を発した幸雨の顔は不安と恐怖に染まっていた。

 その顔を見た聖也は、今までにないくらい自然に頬が上がり歯を出して堂々と答えた。

「何言ってんだよ、当たり前だ、幸雨は俺の大切な娘で家族だ」

「・・・パパ」

「何だ?」

 すると幸雨がベットから飛び出てきて聖也に抱き着いてきた。

 そして子供の無邪気でとても輝かしい笑顔で言った。

「だーい好き!」

 その言葉を聞いて聖也の中の何かが動いている感覚がした、今まで親の復讐のためだけに生きてきた聖也、底辺種族でいつも馬鹿にされて冷めた目で見られていた聖也、そんな聖也も一時期は親がいた家があった、もう昔のことだが今のこの聖也の感情は昔の親がいた家があったころの感情と同じだった、これが本当の家族なんだなと聖也は思った。

 ぎゅっと抱きしめてくる幸雨を聖也も負けじと抱きしめた。

「幸雨?」

「なーに?」

 幸雨の顔にはもう不安と恐怖の感情はなくなっていた。

「午後からさっきのところに戻っていいか」

 そういったとたん幸雨の力が少し強くなった。

「無理なら別にいい、このままパパとここにいよう」

 自分のことをパパと呼ぶはまだ少し抵抗があるが幸雨が無理なら今はそれでいい、ちょっとずつ慣れていけばいいと聖也は思っていたが、幸雨から返ってきた言葉は聖也が思っていたこととは真逆だった。

「ううん、戻っていいよ、パパがしっかり守ってくれるなら、幸雨はがんばれる!」

「・・・そうか、それならと聖しっかり幸雨のことを守らないといけないな」

 早速聖也をそのまま抱っこして教室に向かおうとしたとき「ぐぅ~」と幸雨のお腹がかわいらしい音を鳴らした。

「戻る前にお昼ご飯を食べるか」

「うん!」

 そう言って教室に向かおうとしていた足を食堂の方へと向きを変えて歩きだすのだった。























































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