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出会い
「さようなら。」
屋上で靴を並べ終えて呟いた言葉。
ここから飛び降りればすべてが楽になる。
ここから人生の再スタートが切れる。やっと楽になれるんだから。
深呼吸をしてつかまっていたフェンスから手を離そうとする。
「死ぬの?」
振り向けば見たことのない青年がそこに立っていた。
「邪魔しないで。」
「ここ、立ち入り禁止だよ?」
「知ってるよ、だからここで死のうとしてるの。」
「君、3組の大城美樹だよね?」
なぜ自分の名前を知ってるのか、不思議になった。
「とりあえず、こっちきなよ。」
「なんで?」
「人生は明るくていいものだから。」