かなかみ
えぇ、今日は俺の研究対象について語ることにします。え?なんの研究かって?
ズバリ!疫病神観察日記!!である。……と言っても簡素かつ日が浅いため、適当なんだけど(笑)
えぇ、まずさ疫病神について。
こいつを調べるにあたって役にたったのが電子辞書さま。
あれ、結構便利だよね。
知りたいことパパッと調べられるもんね。
あぁ、でも本の奴より幾分かデータが少ないのは玉に瑕。なんか説明不足?みたいな所があるよね。特に和英・英和辞典の所。あと最近のは機能が充実するあまり使い勝手が良く無い!タッチペン式はいいけど、画面とか見にくいし、表示のしかたとかウザイし、前のモノクロの奴より調べにくいんだよねー。
……あれ?俺だけ?もしかして、そう思っているのって俺だけ?……嘘うそ、あれいいよねぇ?ほら、ライト付く所とか、暗いなかでも見れるんだよねー。つけると電池の減りが早いけど、つけないとなんか見え難いし……いいよねぇー、あれぇ……。
……話がズレたな。えぇと、まず疫病神とは〜
・疫病を流行らせる神。
・転じて、人に忌み嫌われる神。または、人のこと。
俺の所にいるのは後者の方だな。他人を不幸にし忌み嫌われる神。まぁ、姿は可愛らしい女の子だけど…。
「武人さん、さっきからなに言ってるんですか?」
あぁ、これがうちの疫病神です。神です。腐っても神です。
「私は魚ですか?」
いや、お前は魚類にも劣るよ!
「ふぇーん!?武人さんのハイ・ソサエティーの負けイヌーっ!?」
はい、疫病神についてその1。『よく分からんが、変な言葉を知っている』
ちなみに、ハイ・ソサエティーとは上流社会の意味。てか、その負け犬たる俺は貧乏人と言いたいのか、コイツ?
はっはっは、馬鹿め?いまの俺は果てしなくリッチだぜ?財布には諭吉くんが一枚二枚三枚七枚…はっはっは、バイトに明け暮れた俺には今、上流社会への道が…て、コイツ聞いてないし。てか、なんか電話してるし。人ん家の電話を勝手に活用するんじゃないよ、全く。
「なに言ってるんですかー?他人の物は私の物、私の物は私の物ですよー?」
はっはっは、壮大なジャイアニズムだな?お前の親父は絶対タケシって名前だろ?
「ちがいまーす。私のお父さんの名前は…」
――ピンポーン
「武人さん、お客様ですよー」
て、そこで言うのを止めるんかい!?あぁん?全く、なんだよ?てか、疫病神のが玄関に近いんだからお前が出ろよ。
「私は神様ですよ?普通の人に見える訳がありません。声は聞けても姿は見えないのです」
おぉ、おぉ、一丁前に神様ぶりやがって神は神でも、疫病神のくせによー。……ん、てか、普通の人には見えない?じゃ、つまり、なにか?普通の人には見えないお前が見える俺は普通じゃないと?
「今頃気付いたんですか?武人さんたら遅〜い」
やかましいよ。そして、果てしなくほっとけよ…。
――ピンポーン!
うるせぇなぁ!分かったよ、出るよ。いま開けるよ。
「ちわー、ピザ屋のモッサリーノですー。ご注文の熱々並々ならぬシカゴピ〜ザをお持ちしましたー」
……えっ?頼んでないけど?てか、モッサリーノって食べ物屋さんの店的にどうなのよ、その名前?てか、えっ!?シカゴピザ?それって、普通のビッグサイズのピザ一枚に更にビッグサイズのピザを乗せて焼くというピザの横綱のシカゴピザ?えっ?なんでウチに届く訳?
「全部で7800円になりまーす。ハイ、1万円からですねー?2200円のお返しになりまーす。毎度ありあとしたー!!」
……えっ?
「わぁーい、ピッツァだ!ピッツァだ!ピッツァピッツァ〜〜!!」
やけに発音がいいな、お前?ていうか、疫病神、テメェいつの間にぃ!?はっ!?さっきか?さっき上流社会がなんたらかんたらの時にかけてた電話かっ!?ていうか、届くの早いよ、モッサリーノ!?名前がヤバいよ、モッサリーノ!?
「ううーん、デ〜リシャ〜ス!!」
てか、疫病神が食い物を食べてんじゃねぇよ!?毎回毎回、気にはなっていたが。毎日毎日朝昼晩と、さらにオヤツに夜食って、お前何様!?
「クッチャラ、クッチャラ……神様……クッチャラ、クッチャラ……」
そぉだけどぉーっ!?おかしいだろー?何が悲しくて疫病神にお供え物をやらなきゃならんのよー?あとくっちゃらくっちゃら、ウルサイよ!?一応女の子なんだから、気を付けようよ!?
ぐすん、疫病神についてその2と3。『疫病神なので悪口を言うと不幸にされる』。『疫病神だけどお供え物をしっかり取っていく。しかも、勝手に遠慮なく』
更に、補足として『食い物を食べる』どうやら、味覚があるようだ。空腹感は適当との事。逆に満腹感はあるらしい。だから、たぶん満腹感が無くなった時点で空腹と解釈出来る。
「さて、今日も働きますかー?」
働くってどうせ、また、他人を不幸にしに行くだけだろ?しかも、かなり地味に…。
「むっ、地味とは失敬な!?昨日は305号室の田中さんに取り憑いて、会社帰りに財布を落とさせてやったんだぜ?しかも、給料日前に!?」
だぜ?って、女の子が男言葉を使うなよ。てか、それでか…。それで、昨日、田中さんエレベーター内でシクシク泣いていたのか…。給料日前かぁ…何を食って生き抜くんだろうなぁ田中さーん……田中さん、ファイト!
「武人さん武人さん、大丈夫!武人さんの財布は落とさせないよ?」
どうせ、自分のためにだろ?
「うん!武人さんが財布落としたら私のリッチな食生活が台無しだもん!」
リッチって、お前は俺より豪華な物を食いやがるからな…遠慮無しに。
「いやー、良い生活は良い食生活からってねー?じゃ、行ってきやーす!」
はぁ、俺はなんでアイツを家に置いているだろ?果てしなく謎だ。
はぁ、疫病神についてその4と5。『疫病神だから他人を不幸にする事が仕事』。『疫病神だけど、俺と出会ってグルメに目覚めた疫病神はよく豪華な食事を要求する』
そして、時間は進んでお昼前…。
「ただいまー!」
早いな、まだ、午前だぞ?お前が出てって1、2時間しかたってないけど?どうしたんだ?ケガでもしたか?病気か?布団敷こうか?
「うんにゃ、お昼ご飯食べに帰って来ただけ。武人さん、今日のお昼ご飯はなぁーにぃ?」
うん。いや、まずお前は俺の優しさを返せ!
「勝手に武人さんが勘違いしたんでしょー?そんなに私が好きだからって男のツンデレは流行りませんよー?」
まずは、顔を洗って出直して来い。
「ツンツンツーン!」
なんの描写だ?なんの擬音だ?なんの比喩表現だーっ!?
――ピンポーン
またかぁーっ!?今度は何だ?ラーメン屋の半蔵門か?定食屋の邁進か?それとも、イタリア料理屋のデリバリーかぁーっ!?
「あのすいません。隣の家の田中なんですけども。……あの昨日財布を落としちゃいまして、その、言い難いですがお金ぇ……貸して頂けませんでしょうか〜?」
……えぇ、喜んで(泣)
「武人さん、優し〜い。田中さん、嬉しそうに帰って行っちゃったよ〜。……ねぇ、なんで貸したの?いつもはケチな武人さんなのにぃ〜?」
誰がケチか!?
「武人さん!!だって、いつも電気にガスにお水代。節約節約って、一切の無駄を省くのに…」
誰のせいだと思っとるんじゃ己は…!?お前が好き勝手に豪華な物を食い漁りよるから俺は出来るだけ節約しとるんじゃ、ボケッ!!
「じゃあ、なんで?それなのに何で田中さんにお金貸したの?」
そりゃ……お前。もとはといえば、疫病神であるお前のせいで…。俺にも、その責任があるってか…。だから、頼まれたら仕方なくってか…。
「なるほど、ツンデレのデレの方でしたか。まーたく、武人さんたら。私の尻拭いのために田中さんにお金を貸しちゃうなんて…」
ばっ!?馬鹿、ふざけんな!?俺は別に…
「デレデレデーレ!」
なんの描写だ?なんの擬音だ?なんの比喩表現だーっ!?
「ふぅ、まぁ、私の研究対象はこんな感じかな?分かってくれた、みんなー!?」
……あっ?なんの話だ?てか、なんでお前が皆さんに話し掛けてんだ?あぁ?
「なにって……私の研究対象、ツンデレ男・武人さんの観察日記のお話だよ?」
……あれ、主旨が変わってね?