第86話 モノマ村20
今回の挿絵はグロ注意デス。
胴体が真っ二つに切断されたら、並の人間ならあっという間に絶命するだろう。実際に目の前の子も、痛みを感じる暇なく絶命したわけだが。瞬時にして、再生、復活したのだ。
彼の名は不滅龍、スーサイドドラゴン。RPGなこの世界で残機無限の死にゲーをやっている神だ。
「スー! 大丈夫ですか!?」
「友達で争いはよくないよ」
アイナがスーに近づこうとしたが後ずさる。額から汗が流れる。それだけスーから放たれる禍々しい魔力が凄まじいのだ。いつもと違う、俺は素直にそう思った。スーは神龍だ、人間側でも魔物側でもない。ただ分かったのは、スーは争いが嫌いだということだ。
「スー、テントにいたんじゃないのか?」
「さみしくて見にきたの」
「······スー、聞いてくれ、モーちゃんは催眠術に掛かっているんだ」
「そうなの? 友達同士で戦ってるから、ぼくは喧嘩したのかと思っちゃった」
スーは安心したように息を吐いた。禍々しい魔力も納まる。いや、喧嘩ならまだいいけど、今の状況の方がまずくないか?
「催眠術を解く方法はあるか?」
「わかんない」
「やっぱりジゼルに聞いてみるしかなさそうだな」
「ですが、モーちゃんがまた襲ってきますよ」
モーちゃんの猛攻を凌ぎながら、村の中央まで行くのは至難の技だ。倒していいのであれば、なんとでもなるのだろうが。
「ぼくが食い止めてあげようか?」
「できるのか!」
「できるよ、でも人にも魔物にも、肩入れしちゃいけないって、レスに言われているの。ただモーちゃんを食い止めるだけなら、だぶん大丈夫なの」
それを言ったら俺に羊羹皮を提供してくれているのはいいのか、という疑問に当たるが、いまそれをいうと、もうくれなくなる気がしたので俺は黙っていることにした。
あれはたまたまスーから千切れ落ちた羊羹皮を拾っているだけだ。パチンコ屋の隣に、たまたま換金所があるのと一緒だ。
「わかった、頼む!」
「うん。死後の世界」
スーが魔法を唱えると、スーの足元から黒いシミが広がっていく。シミが辺り一面に広がると、シミから骸骨が這い出できた。魔物かと警戒したが、スーが発動させた魔法だ。俺は信じることにして、ことの成り行きを見守ることにした。
這い出た骸骨たちの数は100にも200にも上る。一目見ただけで骸骨兵士などの低級なものとは違う雰囲気を漂わせている事がわかる。
骸骨たちの装備はまちまちだが、共通していることといえばその装備の豪華さだろう。黄金の鎧や、純白のマントだったりとどれも一級品の品物に見える。
はっきりいって、この中の1頭にも俺たちは負けるんじゃないだろうか、そんなプレッシャーを骸骨たちは放っている。
「こ、これは?」
「ぼくは、死んだものを操ることができるの。彼らは、旧世界の英雄たちなの」
あ、これあかんヤツや。女神といい、やはり神は狂っている。
「いいか、抑えるだけだからな」
「もちろんなの、モーちゃんを抑える以外に何もさせないの」
スーが協力してくれているうちに、俺たちは中央で戦っているであろうジゼルの元に急ぐ。




