第67話 モノマ村1
タスレ村を出て8ヶ月が経過した。旅は順調だ。
それにしても王国領内は広いな。この世界は地球より大きいのかもしれない。重力の違いなんてハンバーガーになってしまったから分からないし、他の人間も現代の頃と同じ筋肉のつき方をしているので、気にもしていなかった。そういや世界地図を一度も見かけていないな。
「世界地図ってあるのか?」
「ある。だけど敵国に悪用されないように情報規制されている。一般の世界地図には地形も村の位置も記されてない漠然とした地図になっている」
「なるほどな、それで敵国って?」
「魔王が支配する国」
「魔王は植民地を持っているのか」
「違う、魔物が住んでいる国がある」
「ふーん、そりゃ戦争が長引きそうだな。どこら辺に魔王の国はあるんだ?」
「海を渡ったその先」
おいおい、ジゼルさん、今なんとおっしゃいました?
「······海があるのか?」
「ある。行ったことはない」
「何ですか海って?」
「食べ物じゃないぞ」
「なーんだ、って食いしん坊じゃないですよ!」
「塩分を多く含む大きな水溜りのようなもの」
「へぇー、塩っぱいのはちょっと」
「やっぱ食べる気だったんじゃないか!」
「くすくす、冗談ですよ」
「海か、海はいいにゃ、魚がタダでたくさん釣れるからにゃ」
「え、魚たくさん釣れるんですか!」
「ミーの背丈くらいの魚を釣ったことがあるよ」
「行きましょう! 海!」
「このルートにはない」
「ええええ!」
「王国についたら海に行こうな」
「はい!」
水着はこの世界にあるのか? 下着はあるから水着もあるとは思うが、もしないのであれば俺が考案してもいい、バーガッガッガ! 実に楽しみだ!
「モォー」
後ろを振り向くと、モーちゃんがトコトコついてきている、実に可愛い。
村につく度にリンゴを食わせたり世話しているので、すっかり懐いてくれた。
アイナが手を差し出すと頭を当ててきてなお可愛い、俺はたまに踏み潰されそうになる。たがそれも可愛い。
モーちゃんの背中にはスーが横になっている。何度か落下して首を折って死んでいるが、懲りずに乗っている。寝乗りが上手くなってきてやがる。死にゲーしてる気分なんだろうな。
「あ、次の村が見えてきましたよ!」
「にゃんだか曇ってきたにゃ、一雨来そうだにゃ」
「よし、急いで村に向かおう。村の名は?」
「知らない」
「え? 珍しいなジゼルが知らない村があるなんて」
「この辺りには村はなかった」
「なら、新しく作られた村なんだろうな」
俺たちは急いで村に向かう。村の看板には『モノマ村』と書かれていた。




