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第56話 大喧嘩祭3

二度あることは三度あるってんでね。四郎狐様からイラストを頂戴しました!

挿絵(By みてみん)

歌川国芳とハンバーガーの夢のコラボ! バーガーの目つきの悪さが悪化してますが、私は目つき悪いのが大好きなのでオールオッケーです!


 会場内では戦いが始まっている。皆には鍛錬と言ったが、俺が狙うのは牛だ! まずは逃げて、紙を多く持っている奴を倒すんだ! このゲームには必勝法がある! なんつって。


 だが実際はそうはいかない、挑まれたらやるしかない。そして俺はハンバーガー、格好の餌食というわけだ。


「おい、お前、やろうぜ」


 早速来ちゃった、ドレッドヘヤのプロレスラーみたいな奴が来ちゃった。だが挑まれたからには逃げないのが勇者だ。受けて立つ!


「ふん、俺に挑んだことを後悔させてやろう」

「逃げるなら今のうちだぜ?」

「逃げる? なんだそれは、俺の知らない言葉を話すんじゃないよ」

「へ、こいつはとんだ無知さんだな!」

「なんだと! くそッ!!」


 5分後。


「ばっがああああああッ!!」

「強かったぜ、ハンバーガーにしてはな。紙は······挟んであるのか、なんだこれ一緒に挟んである具材の油でギトギトじゃねぇか······。まぁいい、紙に変わりはねぇんだからな! べひゃはは」


 くそぅ、くそぅ、普通に強いよぉ。なんだよ、やられ役みたいな恰好しやがって。······うぅ俺の負けや、こんなところで終わるとはな。もうマジ無理、応援席に回ろっと。


 そうだ、せっかく会場にいるんだから、このままアイナの様子を見に行くか、もう負けてたりしてな。弓を持っていかなかったからな。


 広い会場、それもこれだけ込み入ってると探すのも苦労する。アイナを見つけるのに小1時間掛かった。


「はぁ!!」

「ま、まいった!」

「対戦ありがとうございました!」


 勝っちゃってるよぉ。あの細い剣一つで、獣臭い男どもと渡り合ってるよ。光る汗がやけに色っぽいよ。アイナは額の汗を拭っていると俺を見つけて走り寄ってきた。


「バーガー様!」

「や、やぁアイナ、順調そうだね」

「はい! 今ので10枚集まりました」

「ああー、そうなんだー、もうー? はやいねぇー」

「バーガー様は? 何枚ですか?」

「ああ、俺? ああー、ハハ。······負けちゃった」

「え! バーガー様を倒すなんて、相手は大勇者ですか!」

「ああうん、そんなところ」


 プロレスラーなんて言えない。


 さらに1時間後、だいたいの対戦は終わったらしく、人々は雑談をしたり、帰宅準備を始めている。


「エリノアはどこにいるんだろう」

「うーん、あ! 向こうにいますよ」

「行ってみよう」


 俺たちはエリノアの元にたどり着く、エリノアはSクラス冒険者だ、負けることはないだろう。速攻で10枚集めたに決まっている。って、なんだかエリノアの周りだけやけに人が多いな。


「さぁさ! よってらっしゃい! みてらっしゃい! 紙の10枚セットが今にゃらなんと銀貨10枚だよー!」


 商売をしていた。


「何をしているんだ?」

「バーガーにアイにゃか、勝ちすぎちゃって紙が1000枚ほど余っちゃったから、売りさばいてるところだよ」


 どんだけ勝ってんだよ!


「それで、2人はこの予選通過できそうにゃのか?」

「私は10枚集めましたが、バーガー様が」

「おやおやぁ? 参加しようと言ったのはどこの誰でしたかにゃあー?」


 おお、煽りなさる。ならばと、俺は小声でエリノアに呟く。


「俺がジゼルに襲われた時、無視したよなぁ?」

「ぐにゃ! にゃんのことかわからにゃいけど、わかったよ、持ってけドロボー」

「やったぁ!」


 ふふふ、持つべきものはなんとやらだな! これで全員トーナメントに参加できる!


 俺が浮かれていると、どこからともなく白スーツの男が現れた。優雅な動きでエリノアの元まで移動すると、恭しく礼をして口を開いた。


「おやおやぉ? これはいい店を見つけました。私も一回目の対戦で負けてしまって······、私にも紙のセットを売っていただけませんか?」

「お安い御用だ、金はあるのか?」

「はい、銀貨10枚ですよね、優勝すれば元を取れるわけですから、安いものです」

「ふーん、ま、買ってくれるにゃらいいけど、お客さん、そんにゃにゃりで優勝は夢のまた夢だと思うよ」


 エリノアの言う通りだ、男は背は高いが、筋肉質とはいえない、むしろ細い長い印象を受ける。格好も白いスーツにハットと、場違い極まりない。


「はい、確かにお代は頂いたよ。ミーと当たる前に負けておくことをオススメするよ」

「その時はよろしくお願いします」


 男はまた恭しく礼をすると、ゆっくりとした動きでその場から立ち去った。


「んにゃ! にゃんだこれ!」


 男が消えた直後、エリノアが大声をあげる。


「どうした!」

「これは銀貨じゃにゃい! バターを銀紙で包んだだけの偽硬貨だにゃ!」


 エリノアの手を見る、銀紙の形が崩れ中からバターが溶けだしている。


「なに!」

「ゆるさにゃい! ぜったいににゃ! 探し出してコテンパンにしてやる!」

「まぁまぁ、元は紙切れじゃないか」

「バーガーは商人というものを分かってにゃいにゃ。最大で100枚の金貨を儲けられる商売があったとして、そこで99枚の金貨を稼いだとしても、残り1枚の金貨のことを商人は思い続けるもんにゃんだよ」


 働いたことのない俺にはわからない感覚だな。とにかく騙されて悔しいわけだな。


「司会のロン・スティックでーす! はーいみなさーん! 予選終了でぇーす! 集計を行いますので! 今から暴力禁止! 今から喧嘩した人は即刻退場または警備兵のお世話になりまぁす! お気をつけて! ルールを守って正しくファイト!」


 司会の大声が響き渡る。


「ぐぬぬ、あいつ、このタイミングまで予測してたのかにゃ」

「ならトーナメントで出会ったらそこでとっちめてやればいい」

「そうだにゃあ」


 エリノアの目がマジになっている。


「トーナメントは明日です! トーナメントに進んだ方は本日は英気を養って下さい! お帰りの際に10枚の紙を提出するのを忘れないでくださいねぇん!」



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