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第53話 ジゼルと2人





 村人にバレないか肝を冷やしたが、スーの正体がバレることなく村に入ることができた。宿をとり一段落する。


 いつもの移動より疲れたな。復活するとはいえ、ああも目の前で何度も死なれたら、こっちの気も滅入るってもんだ。


 普段は部屋を一部屋だけしか借りないのだが、今回は二部屋借りることにした。アイナ、俺、スーの部屋とエリノア、ジゼルの部屋だ。


 夜になり、俺はアイナとスーが寝たのを確認してから部屋を出る。レバー式のドアノブなのでジャンプして乗っかれば手がなくても自重で開けることができる。


 エリノアとジゼルの部屋前に移動してドアをノックする。力んで硬化したバンズなら頭突ノックきも可能だ。ドアの奥から声がした、ジゼルだ。


「合言葉をイエアー」

「オウイエー」

「入れ!」


事前に決めてあった合言葉を言って、ジゼルに扉を開けてもらい俺は部屋に入る。エリノアはベッドで寝ているようだ。俺は小声で話し始める。


「遅くにすまない」

「構わない。聞きたいことって?」

マテリア実体化ライズソウルがどんな魔法か知りたい」

「知らない魔法」

「そうか、不滅龍の皮を挟んだら検出できた魔法なんだが」

「それなら不滅龍の固有魔法ユニークマジック。スーに聞けばいい」

「じゃあ、幽霊スピリット吐息ブレスってのは知ってるか?」

「実際に見たことはない。でも王国図書館の文献に載っているのを見たことがある。闇の呪文、精神面にダメージを与える」


 精神攻撃系のブレスってわけか。


「あとは?」

「いや、それだけ聞ければ十分だ」

「なら、次は私の番」

「へ?」

「だからわざわざ部屋を二つにした。バーガーは誘ってる。アイナの邪魔があってずっとできなかったから」

「あの······何の話を?」

「今日こそは魔法陣を調べる」

「ひ、ひぃ!! え、エリノア!」


 俺の叫びも虚しく、エリノアは寝返りを打って壁側を向いてしまった。


「無駄。あの猫には金を握らせてある」

「······すまにゃい、ジゼルには色々借りがあるからミーは寝ていて気づかにゃいよ」

「くそ猫だ。あ、アイむぐぅ!?」


 俺はジゼルに口を塞がれて押さえつけられてしまった、なす術なくバンズのクラウン部分をゆっくりとめくられる。以前にもルフレオと産婆に見られたことがあるから見せるのは別に構わない、だけど無理矢理は嫌なの!


「これは······マジですげぇな、見たことねぇ魔法陣、勤勉な俺、メモをとる」

「んんー!!」

「勇者だろ、これくらい耐えろ、これからの魔術の発展に貢献しろ」


 ジゼルは俺の魔法陣を手慣れた手つきで模写していく。同じ大きさで写すのは無理らしく、大きめの紙に書いている。


「バーガーにとってもいい話、魔法陣の秘密が解明されれば、どうしてハンバーガーの姿で産まれたかがわかる、かもしれない」


 それって、俺が転生してきた人間だってバレるってことか? なんか不味い気がする、確実にウィルたちがショックを受ける。初めての子供が筋肉ムキムキでナイスガイな三十路の魂を宿しているなんて、······あれ、あの2人なら受け入れそうだぞ、ちくしょう!


 俺が静かにしていると、押さえつけられていた手が緩む。俺はジゼルを興奮させないように静かに語り出す。


「魔法陣の秘密がわかっても秘密にしておいてほしいことがあるんだ」

「なに改まって、何か知っているの?」

「いや、言えないが、俺が言えないことを、ジゼルが今後知っても、黙っていてほしい」

「難しい話。何のことか分からないと無理」

「ジゼルなら分かる」

「そう俺なら分かる事が分かった、分かっておく事にする、分かる」

「ならいい、優しくしてね」


 俺は体の隅々まで舐めるように見られてしまった。なんだが汚れてしまった気がする。くすん。



挿絵(By みてみん)

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