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第4話 人生バーガーモード

ざるそばみたいなハンバーガーを食べました。



 俺が産まれて1ヶ月がたった。

 鏡を見た時は心臓が止まる思いだった、この体に心臓と呼べるものがあるのかは別として······、今だにショックはデカい。


 どうやら俺は本当にハンバーガーに転生してしまったようだ。あのクソ女神、とんでもないことをしてくれた。女神ビッチの言っていた依代が、まさか食物ハンバーガーだったとは······、これでは筋トレすることも難しいじゃないか。


 産まれた初日に、産婆と、村に居合わせた旅の魔法使いが俺を解体した。抵抗という抵抗もできぬまま隅々まで身体検査をされた。スースーする感じに見舞われたが、痛みもなかったため、耐え忍んだ。


「ルフレオさん、このバンズの裏を見てください、何か書いてあります」

「うむ、魔法陣だな、ワシでも見たことのないものだ。これほど複雑に書かれた魔法陣は始めて見たぞ」


 なんだ? 俺にも分かるように話してくれよ、バンズをめくって裏を見ているようだが、そこになにか書いてあるのか? 女神のサインか? 俺もウル〇ラマン人形の足裏に名前を書いたことはあるが。


「詳しいことはワシにも分からん、王国の魔導師にでも見てもらえば或いは······、ともかく魔法陣がこの子の生命線なのは確かじゃ」


 と、まぁ、そんなことがあり、俺はこんな体でも生きている。そして、この1ヶ月、俺は1日の殆どを籠の中で過ごしている。自力で籠から出ることもできないため、あの母親が抱き上げない限り俺はここにいる。


 籠の中のハンバーガーとはよく言ったものだな。誰も言ってないけどな。


 ちなみにこの世界での俺の両親の名前は、

 父がウィル・グリルガード。母がセニャン・グリルガード。


 そして愛の結晶おれの名前がバーガー・グリルガード。キラキラネームすぎるけど、アン〇ンマンとか、サ〇エさんとか、考えてみれば名前が食べ物のキャラは多い。それにこの体では否定するほうが滑稽だろう。


 俺は番重岳人という名前を捨て、バーガー・グリルガードとして生きる覚悟を決めた。半ば強制的な転生ではあったが、起きてしまったことはしょうがない。人生ハードモードが、人生バーガーモードになっただけだ。


 そしてこの1ヶ月で最も変化があったのは具材だ。一切れの生肉と、申し訳程度の葉っぱが初期具材として付いてきたが、はっきり言おう早々に傷んだ。生後三日目にして異臭が発生、俺は口(バンズの間)から具材を吐き出したのだ(まるで排泄行為だ)。


 すると訪れたのが脱力感、体に力が入らなくなってしまい、酷い空腹にも襲われて、まさに餓死寸前といった具合になってしまったのだ。


 俺の微かな鳴き声に気づいたセニャンが、物は試しと、薬草を挟んでくれなければ俺は今頃死んでいたかもしれない。


 それで分かったことだが、具材が俺のエネルギー源なのだ。こんな体だから食事は必要ないと思ったが、そんなに甘くはないらしい。さすが女神クソビッチだ。とことん俺を追い詰めたいらしい。


 負けじと俺は筋トレを敢行する。

 メニューは地獄のハッピーセットだ。



挿絵(By みてみん)

昨日と構図が似てるのは昨日の俺をリスペクトしたからです。

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