第26話 旅立ち
「奥さん、おかわりにゃ」
「はいはい、ちょっと待ってな」
「ええなぁ、猫可愛ええなぁ、ワイらもなんかペット飼うか。イテッ! なにすんねん!」
「アホか、エリノアちゃんは猫やない人や。それにペットって、アンタがゴブリンの擬人化みたいなもんやないか」
「だれがゴブリンの擬人化やねん! 性欲以外おうてへんがな!」
「にゃはは、勇者の家は賑やかで楽しいにゃ」
とりあえず、話を聞こうと2人には家に泊まってもらうことにした。エリノアはすっかりグリルガード家に打ち解けている。しかしそれとは対極的に。
「なに?」
「い、いや、別に」
「なら見ないで」
冷静時のジゼルは、シャイガールになるようだ。黙々と食事を口に運んでいる。こっちの方がしおらしくて可愛いんじゃ?
「バーガー様、見過ぎですよ」
「あ、すいません」
アイナは俺の隣に座っている。俺が心配だそうでアイナも泊まることになったのだ。
「で、バーガーを連れてこいって、そういうことでええんか?」
「それで間違いにゃいよ、王様も産まれた勇者がハンバーガーだと兵士から報告を受けて以来、不安がっているみたいだから、一度顔を出して安心させてほしい」
「そか、そういうことなら、仕方あらへんな、バーガー行けるか?」
「バーガー様······」
ポツリと呟いた俺を呼ぶアイナの声に、俺は交渉を開始する。
「いやぁ、この2人の実力も分からないので、村から1番弓に長けている者を1人護衛で連れていきたいですね」
「せやな、女の子だけやと、なにかとアレやしな。イシルウェはんにでも頼んで同行を」
「あー、男だと逆になぁああ、逆なんだよなぁああ、紫猪を共に倒したことがある女の子がいいなぁああ」
「ふへへ、わかってるわい。ワイからもイシルウェはんに頼んでおくから安心しいや」
「父さん······ありがとうございます」
「おじ様、私からも」
「まったく隅におけへん息子やなぁ」
翌日。すでに村長とはエリノアたちが話をつけていたらしく、瞬く間に村人たちにも話が行き渡り、今日がそのまま出立の日となった。善は急げ、さっさと済ませて村に帰ろう。
「バーガー様、未熟者の娘ですが、アイナをどうぞ使ってやってください」
「滅相もないです」
アイナの父イシルウェは、アイナを連れていくことを潔く承諾してくれた。
「ワイらからの差し入れはエリノアちゃんのリュックの中に入っとるさかい。次の村に行くまでの腹の足しにしいや」
「ありがとうございます」
「バーガー、タスレ村に帰るまで気を抜かへんようにな。あと風邪はひかへんとして、子供とかネズミに食べられへんようにな、あとなあとな」
「母さん、大丈夫です、子供相手ならもう遅れはとりませんし、ネズミはエリノアが取ってくれます」
「ニャッ!?」
こうして、村の皆に見送られながら、俺たち4人は旅に出たのだった。




