第2話 自称女神
俺が目を覚ますと、そこはだだっ広い白い空間だった。空間は地平線まで続いており現実味がまったくない。
最後の記憶を辿る、トラックに轢かれたんだったな、ということはここは病院? なわけないか、すると死後の世界か、地獄というよは天国っぽいな。などと考えていると、後ろから少女の声が聞こえた。
「やっと来おったか」
俺が振り返ると、そこには不敵な笑みを浮かべた一人の少女が社長椅子に腰掛けていた。美がつく少女だ。
待て、今こいつなんて言った? やっと来た、だと?
「大変じゃったぞ、転生トラックを三台も使ったのは貴様が初めてじゃ」
なんて凶悪な名前のトラックだ。って、こいつがトラックを差し向けたのか、何のために? いや、まず確認することがある。
「な、なぁ、俺は死んだのか?」
「そうじゃ」
「え、でもこうして話してるじゃないか」
「霊体じゃ」
何を言ってるんだこいつ、こんな非科学的なこと起こるはずがない。
「大体の奴はそうじゃ、状況が飲み込めんくてオロオロと、そんな恵体しおって情けないのぅ」
「い、生き返らせてくれ」
「言わずもがな、じゃ。じゃが異世界で別ものとしての」
「はぁ!? お、お前は何者なんだ」
「余か? そうじゃのぅ、女神とでも名乗っておくかの。ほれ」
女神が指を鳴らすと、ブラン管のテレビが何台も落ちてきた。鹿のマスコットが殲滅したはずのそれらは規律よく並んで重なった。殆どが砂嵐を映しているが、映像が映っているものもある。
「この神器は、余がぶっ殺して転生させた者たちを映し続けておる、映像に乱れがあるのは死んだかエタった奴らじゃ」
さらに指を鳴らすと二人の間に、もう一台テレビがテレビ台とともに落ちてきた。今度は薄型だ。
「これは貴様用じゃ」
女神は後ろからテレビに抱きつき画面の一部を指さす、テレビには、俺の死体が映っている。とてもじゃないが蘇生できるような状態じゃないことが見て取れる。コンビニの中ということは現世の俺か。
俺は端っこで頭を抱えて震えている店員を発見して密かに安堵した。
「でじゃ、ただ転生させるのも飽きた。貴様からは何か趣向を凝らそうと思うのじゃ。いつもいつもチートスキルばかり与えていても詰まらぬからな」
「ど、どうするつもりだ?」
「弱くしてやる。現世で最強だったお前は、これから惨めで陰惨な依代で生きてもらう、ククク。脳汁ドバーじゃなぁ」
女神は邪悪に笑う。
こいつ本当に女神かよ、それに俺が世界最強? 笑わせるなセ〇ールやシュ〇ルツェ〇ッガーのほうが絶対強いだろ。
「ではまたな、次がつかえておるでの」
「お、おい、まだ話は」
話終える前に、俺は光に包まれて消えた。