いつもの朝
ピピピピッ!ピピピピッ!…ってなるはずの目覚まし時計は鳴らず、もう、単なる時計となっている。布団を頭までかぶって引きこもりのように寝ている彼女、笹倉 夜真の起き方は、ちょっと変わっている。
ガチャッ!っと音を立てて扉が開かれ、手に朝ご飯を持った白髪の寝癖のついた彼、シロは眠そうにあくびをした。そう、この彼、シロはあの吸血鬼である。どうしてここにいるかというと…。
「げっ、トマト嫌いなんだよな〜。ってか、血を貰いに来たんだよ!」
「好き嫌いダメってお母さん言ってた!はい、あーん!」
後ろに下がっていくシロにグイグイとトマトを押し付ける小学時代の夜真。シロは顔がドンドン真っ青になっていく。
「生け贄いらねーから勘弁しろー!」
「じゃーあー、シロはお家のお手伝いさんでお友達ねー!」
「はぁ?シロ?手伝いと友達だと⁈嫌だね。犬みたいな名前だし、めんどいし!」
「じゃあ、トマト食べる?」
「わわわかったから、トマトを押し付けるな〜!」
と、なり、夜真の家にいるという事である。
そして、手に持っていた朝ご飯を夜真の寝ている元へ近づける。すると、饅頭のような夜真がピクリと動きガバッと布団がめくられた。
「朝ご飯!」
「おー、おはようトマト。」
「トマトじゃないよ、夜真だって〜!」
と、のんびりとした話をしながらボサボサの髪をしたショートの黒髪の夜真が起きた。それを見てシロは一文句言ってから近くの机に朝ご飯を置き、自分の分を食べだした。そして、夜真もシロの向かい側に座り、「いただきます。」と言って食べだした。
それが彼らの朝である。