帰還しました
アリエルは此方に向かって来ている召喚者達を見てイラついていた。
どういう訳か司令官と召喚者の後ろに明らかに力で姿を隠している、黒い装束を着ている奴らが五人着いて来ていて、しかもその五人はアリエルが気付いていないと思っているのか、随分と余裕そうにしている。
アリエルはそれに物凄く腹を立てていたが、露骨に顔に出すのは癪だったので、笑顔で応対する事にした、ただし…今だけだが。
「やっと来たんだね、もう夜中だよ? まぁでも時間には間に合ってるみたいだし、私を召喚したバカも連れて来たから約束は守ってあげる」
「本当か!? 」
「嘘はつかないよ、貴方との約束は守る。ただ…私はね、見ず知らずの人にバカにされたり、コケにされるのは許せないんだよ…だから死ね」
アリエルは笑顔から急に不機嫌そうに顔を顰めると、アリエルを警戒しようともしていない五人に光の槍を打ち出した。
「! 全員避けろ!!」
装束達の隊長らしき男は、急に不機嫌になったアリエルの尋常じゃない殺気が自分達に向けられ、アリエルの周りの空間に魔法陣が五つ見えた瞬間に声を上げたが、自分以外の四人は反応する事が出来ずに全員光の槍に頭を消し飛ばされていた。
「なっ!? 何が起こったのだ!?」
召喚者は捕まったフリをしてアリエルの隙をつき怪異、妖怪など現代の言い方だとオカルト専門の特務部隊『鴉』の精鋭五人が仕留めるという計画だった。
彼ら鴉は陰陽術、仙術、隠密技術のスペシャリストであり、今までの特殊任務、所謂裏の仕事の成功率100パーセントを誇っていた、さらに彼らの科学で証明出来ない技術は原理が解らないし、武器なども必要無い為、科学兵器などでの防衛は不可能、間違いなく対外国、対オカルトの最高戦力と認識していたので四人が抵抗も出来ずに殺された事に召喚者は動揺を隠せずに、自身の目で見て解っている事をあたふたしながら叫ぶように確認をした。
「あはは、私が攻撃したら死んだだけだよ、しっかしまさかあんな牽制で四人も仕留められるとは思わなかったからちょっとびっくりしちゃったよ」
そう言ってアリエルは椅子から立ち上がって体をほぐすように伸びをし、鴉のリーダーを見る。
「貴様…何者…いや何故我等の隠密に気付いたのだ…」
「隠密? あれが? この国ではあのレベルで通用しちゃうの? あんなの神様から借りた力で隠れたつもりになってるだけの隠れんぼみたいなものじゃん、仮に私の仲間達なら一瞬見つけるよ。しかもその力を貸してる神の力が弱すぎる…いや、信仰が足らないんだね、てか貴方達は知らないの? 神様の力の根源は人の信仰心なんだよ? だと言うのにこの国は酷いよね、今私の前にいる女の神様は凄く弱りながらも必死でこの国の人を守ろうと顕現してまで私に立ちはだかってるのに、貴方達には姿すら見えてないんだもん」
アリエルは慈しむように目の前にいる女神を見た後、蔑むように彼等を見た。
「な…何を言って「黙れ」なっ!?」
「下等なゴミの話なんか聞きたく無い…てか私は戦いに来た訳じゃないの、そこのバカを殺して帰りたいだけ、だから…えっ!? 何しているの! やめなさい!」
アリエルは怒鳴る、鴉のリーダーを庇うようにしている女神が、莫大な魔力を放出し始めたからだ。
それを止めようと、アリエルが動こうとしたその時、アリエルの左側に穴が開いた。
「うわっ!」
穴に吸い込まれそうになっているアリエルは、最後の抵抗とばかりに周囲に魔力の弾幕をぶちまけて穴に吸い込まれていった。
そして弾幕を放った後の街は弾幕にことごとく破壊されてほぼ壊滅し、召喚の首謀者も死亡、結果死者60万人という過去最大の大虐殺として、歴史に刻まれる事になった。
……………
「いてっ」
女神に世界から追い出され、元の世界に戻ったアリエルは、勢い余って転んでしまった。
「いてて、はぁ…まさか無理矢理追い出されるなんてね、まぁとりあえず召喚したバカは殺せただろうからいいか」
そう言いながらアリエルは周りを見ると、ここが飛ばされた会場である事がわかり、ほっと一息着いた後、魔王城に向かって歩き出した。
「ただいまー、アリエル二等兵ただいま戻りました!」
アリエルは寝室に辿り着くと、ドアをバンと開けて、敬礼をしながら叫ぶように言うと、寝室に居たリップちゃんとカリーナは、はぁ…とため息をつき、ローズとサクラは笑顔でおかえりなさいと言った。
「おかえりアリエル」
「よく帰ったのじゃ」
「うん! それでねリップちゃん、これ見て! ジャジャーン! 本場の人生ゲーム!」
アリエルはそう言ってドンとテーブルの上にそれを乗せてリップちゃんに向けて不敵な笑顔を向ける。
「まさか…やらないなんて事は無い…よね?」
「…ふっ、この妾が人生ゲームをやらぬなどと言うわけないじゃろう」
「はぁ…また騒がしくなるわね」
カリーナはそう言いつつも微笑んでいる。
そして寝ている水月と星歌除いた5人での人生ゲームが始まったのだった。




