魔界祭り一日目の後半です
それから表彰を終えたサクラは優勝杯を持って、表彰をしていたリップちゃん以外の皆のいる個室に向かってニヤニヤしながら歩いていた。
これは皆に褒めてチヤホヤしてくれるのを期待しているからだ。
しかし…サクラが部屋に戻ると、何故か部屋の空気が暗い、しかも皆俯いてソファーに座っているのだ、そんな中、アリエルがおもむろに立ち上がり真剣な顔をしてサクラの前に立った。
「優勝おめでとう…それにしても、今回の聖●戦争はイレギュラーだらけでしたね、金色に輝くギルガメ●シュはただの剣士でしか無いアサ●ンに負け、そのアサ●ンに打ち勝ち結局聖杯を手に入れたのはバーサーカーでしたね…それで願いは決まりましたか?」
「え? バーサーカー? 願い?」
サクラが何でアリエルさんは変な話し方してるんだろう? と戸惑いながらそんな反応をすると、俯いているカリーナと星歌の肩がプルプル震え出す。
「ええ、貴女のマスターであるイリ…ローズと決めていたのではないの? この戦いの末に手に入れた聖杯に願うことを」
「ちょっとアリエルさん、何を言ってるんですか?」
サクラは意味の分からない話に困惑しながらアリエルに問いかけるが、目の前のアリエルの表情は真剣で冗談を言っている感じではない。
「私はどうしても確認しなければならないの、貴女達の願いが人の道に外れた物では無い事を……そしてもし貴女達の願いがそういった物だった場合…この私…セイバーのサー●●ントが止めないといけないから!」
アリエルは芝居の台詞を言うように大袈裟に言うと、剣を抜いて構えだした。
そしてそれを聞いたサクラは気付いた、自分が某アニメのバーサーカーのサー●●ントとして扱われており、イ●ヤがローズだと言うことに。
「ちょっと! ボクが頑張ってきたのにそんな扱いは酷いよ! 」
「あはは! ごめんねぇ、サクラちゃんの戦いがバーサーカーみたいだったからついね」
アリエルがヘラヘラ笑いながらサクラに謝っているが、まるで誠意を感じないのでふてくされてしまった。
「ほらサクラ、せっかく優勝したのにそんな顔してどうするのです…皆さんふざけているように見えますが、ちゃんとサクラを褒めていましたよ?」
「そうなの?」
「勿論だよ! ちゃーんと勝つとこを見てたからね」
アリエルは本気でサクラを褒めていた、何故ならあの大会でまともにあんなに綺麗に勝てるのはサクラだけなのを分かっているからだ。
もしアリエルが出たら……自分が怪我をしたり手加減しても相手が死んでしまったりしただろう、じゃあカリーナなら? これは論外だ、彼女は自分が楽しむ為にツルリーノ等にわざと負けるとかやりかねないからだ。
無論リップちゃんは魔王だから出られない、ローズは戦闘向きでは無いし、水月も水を操る能力なので除外、星歌は戦闘など出来ない。
よって安全安心な選択肢はまともな手加減が出来るサクラしかないのだ。
「ならいいけど……じゃあボク、ローズ姉と屋台とか見てきて良いかな? お祭り見たかったんだけど、大会で全く見れてないからさ」
「ええ勿論よ、ローズ、サクラと外の祭りを見てきなさい、貴女も楽しみにしてたでしょう?」
カリーナはローズを見ながらそう言ってクスクス笑っていた。
ローズは密かに楽しみにしていた事をカリーナに言い当てられ、恥ずかしさから顔を赤く染めてコクりと頷き、いそいそとサクラと共に部屋から出ていった
「私達はここで宝石展覧会を待つのね、にしても宝石とか私も星歌も地球でろくに見たこと無いから楽しみね」
「うん…わたしも…結構…わくわくしてる…」
水月と星歌は宝石って地球に無いのとかあるのかな? とか二人で盛り上がっている為、アリエルとカリーナは放置することにした。
「ねぇカリーナ、展覧会にアリエルスターあるかな?」
「断言するけれど、無いわ」
アリエルがキラキラした目でアリエルスターを持ちながら聞くが、カリーナはそれを一蹴した。
「なんだつまんないのー、大体私は宝石より化石の方がいいと思うんだ、アンモナイトとか大好きなんだよ私」
「あんなの模様のついた石でじゃない、それに比べて宝石はとても綺麗で見ている人を癒してくれるわ」
ここでアリエルとカリーナが睨み合い、化石と宝石どっちがいいかという無益な争いが始まってしまった。
片や化石は歴史を刻む重要な物であり、嗜好品でしかない宝石と比べるなんておこがましいと言い、もう片方は化石なんかただ模様のついた石で喜ぶのは子供くらい、それに比べて宝石は万人が見て癒される至高の石であると言っている。
そしてその争いはしばらく続き、アリエルが折れることで終わったのだった。
「はぁ…疲れたからもういいや、それよりもう始まってるみたいだから行こうよ」
疲れたようにそう言ったアリエルは他の皆に声をかけてから無理矢理カリーナを引っ張り展示会場に向かった。
「カモメ石? なにこれ宝石じゃないじゃんか」
「そうね…私にも色のついた普通の石にしか見えないわ」
アリエルとカリーナは青と白の縞模様をしているカモメ石を見てこれ宝石か?と首を傾げていると、後ろから苦い顔をしたリップちゃんが現れた。
「はぁ…それは宝石では無いのじゃがな、展覧会を開催すると言った宝石愛好会の会長が既存の宝石の数じゃと展覧会は開けぬと言って急遽それっぽい珍しい石を混ぜたのじゃよ」
「なんか計画性の無い人だね会長って」
ぼけっとした顔でカモメ石を見ているアリエルがそう呟くとリップちゃんは全くじゃよと言って何も知らずに楽しんでいる水月と星歌を見ていた。
それから皆はあまりの宝石の種類の少なさに直ぐに飽き、会場の外でばらけてふらふらしていた。
そんな中、会場から少し離れた路地裏には、珍しく眉を寄せて鋭い目をしているアリエルと不愉快そうに顔を歪めているリップちゃんがおり、足元には恐らくアリエルを狙って来たのだろう闇ギルドの構成員五人がボロボロで転がっていた。
「全く…こんな楽しいお祭りの最中に襲ってくるなんて、ゴミギルドの連中は弱いくせに本当に無粋だなぁ… 」
「そうじゃの、とりあえずこの愚か者共は城に連れていき本拠地など色々吐いて貰うとするのじゃ」
二人はそう言うと近くを警備していた兵を呼んで構成員を連れて行かせた後、皆と合流する為に会場前へと戻っていった。
それから合流したアリエル達は屋台でご飯を済ませた後、この日はもうイベントが何も無かった為、城の部屋に戻り話をしていたのだった。
「ねぇ明日って創作物コンテストなんでしょ? 私も何か出した方が良かったかな?」
「いや、アリエルの分は妾がしっかり選んで出しておいたのじゃ」
「あ、前に袋渡した時に選んでおいてくれたんだね! ありがとリップちゃん」
「気にしなくて良いのじゃ、そのお陰で妾も助かったからお互い様ってやつじゃよ」
アリエルが喜びながらリップちゃんに抱きつくと、リップちゃんはやれやれと首を横に振りながら、他の国は随分驚くことになるじゃろうがな、と言い、その後は明日はアリエルとリップちゃん、ローズとカリーナと星歌、サクラの水月で行きたい所が被った者通しで行動する事に決めてその日は眠りについたのだった。




