この依頼は罠だった
蛇の大きさを変更しました。
この街に来て3日目、今日の依頼はフォレストスネークという蛇の肉を持ち帰ることだ。
ちなみに今日の受付はカティアさんじゃなかったのでちょっとがっかりした。
そしてこの依頼の為に依頼主から支給されたアイテム袋という物を持っている。ちなみにこれ、依頼が成功したらそのまま貰っていいらしい。
このアイテム袋とは、容量を何かの魔法で増やしたものらしい。
魔法国エリシアという所でしか作ってないらしく、容量を増やす魔法については詳細が不明らしいけど。
ちなみにこの袋は500キロまで入るらしい。
凄いよね。めっちゃ便利じゃんこれ。
私は今森の中をうろうろしている。
フォレストスネークは小さい黒蛇らしく、下を見ながら歩くけど中々見つからない。
うーん、精霊に聞いて案内してもらおうかな、森の中は蒸し暑いし、このままうろうろするよりはいいと思うからね。
私はそう決めると、精霊眼を発動し黒い蛇がどこにいるか精霊に聞いた。
すると、精霊はこっちに来いとばかりに私を誘導し始めた。
そして少し歩いたところにそれはいた。
体長が30メートルはある黒い蛇が私の前に現れた。
ぴぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!
私は口を塞ぎ、心で叫びながら木の後ろに隠れた。
え!? これがフォレストスネークなの!?
なにこれ!? 話全然違うじゃん!大きいし凄い強そうなんだけど! これ本当にEランクの依頼なの!?
でも、依頼失敗すると違約金が発生するとか言われたし、何で? 子供でも出来る簡単な依頼だって聞いたから受けたのに、やってみたらこの化け物とか、意味わかんない、でも確か、依頼で想定外はよくあるから、どんな事があっても失敗は失敗だからって朝の受付の人に言われてるから帰れないし……ほんとどうしよう……。
……うん……やるしかない…か。
違約金なんていくら払うか分かんないから嫌だし、せっかく自由になったのにこんな所で死にたくない。
ならやるしかない!
全力で魔法を撃とう、火の魔法は使えないから、風の魔法を使おう、上級魔法のデスサイクロンに全てを賭ける!
私は精霊眼を発動し、詠唱を始める 。
「《我が望む、全てを切り刻む死の嵐を!》 デスサイクロン!」
魔法が発動し、フォレストスネークが黒い嵐に巻き込まれる。
嵐は黒いので、内部がどうなってるかはわからない。
私は祈る、どうか倒せてますようにと、これでダメだったらまた魔法を撃つしかないが、蛇がそんな暇を与えてくれるかはわからない。
そして、嵐が止んだ…………フォレストスネークは、ズタズタになり死んでいた。
はぁー、よかったー。
これはほんとないわー、あの受付の野郎絶対クレーム入れてやるからな。
にしても今回はリアルに命の危険を感じたね。
とりあえず早くクレーム入れてやりたいから蛇を袋に入れてさっさと帰ろっと。
私は蛇を頑張って袋に入れ、街に帰る、確か今回は特殊な依頼だから、依頼人に直接報告しに行かなきゃいけない筈、私は事前に教えてもらっていた依頼人の家に向かった……が歩いてる途中でカティアさんに遭遇した。
「あら、アリエルさん、もしかして依頼帰り? 私もこれから仕事だから一緒に行きましょう?」
そう言われ、有無を言わさずギルドに連れて行かれ、受付に来ている。
「じゃあ、依頼書とカード見せてもらえる? 手続きしちゃうから」
「え? でも今日のは特殊な依頼だから依頼人に直接報告しに行かなくてはいけないって」
「はあ? そんな変な依頼無いわよ? 依頼の報告は全てギルドでやっているんだから」
「でも、今日の朝に依頼を受けたときは確かにそう聞いたのですが」
「おかしいわね、まぁとにかく大丈夫だから、ほら、依頼書とカードを見せて」
「はい、これです」
私がカードとアイテム袋と依頼書をカティアさんに渡し、蛇の情報の違いのクレームを入れようとした、しかし言う前にカティアさんの眉が吊り上がり、顔を真っ赤にして怒鳴り始めた。
「なにこれ!? 誰!? Eランクの子にこんなふざけた依頼受けさせたのは!!」
すると、職員の一人がびくびくしながら喋り始めた。
「ええと、確かアリエルさんの依頼はマークさんが担当してましたけど……」
「なら今すぐマークを連れてきなさい!! フォレストスネークはCランクの依頼でしょうが!! こんなふざけた依頼はありえない! 私は今すぐギルドマスターに報告してくるから!」
カティアさんは怒りながらドアを開け、奥に入っていった。
あれ? 私どうすればいいの?
とりあえず食堂の椅子に座って待つことにした。
まだ報酬を貰ってないし、アイテム袋も欲しいから。
………………………………
そして現在ギルドマスターの部屋では先程ノックもせずにバンッと勢いよくドアを開けて入ってきた受付嬢のカティアが怒りを抑えて冷静に話をしていた。
「ギルマス、これを見てください この依頼書偽造されてるんですよ、しかもランクEの子がこれを受けさせられたみたいなんです」
「な! それでその子はどうしたのだ?」
「その子は強かったみたいなので倒して帰ってきました、でもこれは許される事ではありませんよ? こんなのやられたらギルドの信用が無くなってしまいます」
「ああ、君の言う通りこれは許される事ではない、誰がやったか解っているのか?」
「はい、マークです、他の受付が目撃していたので間違いないと思います」
「解った、マークはここに来たら地下牢に連れていき拷問して全て聞き出せ」
「解りました」
それからしばらくしてマークが地下牢に入れられ、拷問による聞き取りが開始された。
「マーク、あなたがアリエルさんにこの依頼を受けさせた理由は? それとこのアイテム袋を用意した協力者がいるわね? 教えなさい」
「俺はそんなの知らない、だから早くここから出せ、これは犯罪だぞ」
マークがそう言うと、カティアは拷問官に合図を送る、すると拷問官はマークを痛め付け始める。
「や、やめろ…あ、ああぁぁぁぁ!! 痛い! やめてくれぇぇぇ!!」
「やめてほしいなら言いなさい、全てを話さない限り貴方はここで永遠に拷問を受け続けてもらうわ」
カティアは冷たい声でそう言い、聞き取りが再開された。
マークが全てを話したのは一時間後だった。
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もう結構経ったなぁと、お茶を飲みドーナツを食べながらそろそろ帰ろうかなって思ってたら、カティアさんとお爺さんが私の所に来た。
「ごめんね、アリエルさん、この依頼あなたをはめるために仕組まれたものだったみたいなのよ」
「本当にすまん、わしはギルドマスターのベイズだ。今回の件は完全にこちらの不手際じゃ」
「あの、じゃあこの依頼は無しですか?」
「いえ、報酬も出すし、アイテム袋も持っていっていいわ。それに慰謝料も後で渡すわね」
「えっと、仕組まれたと言うのは?」
私がはめられたって何の事? まさかCランクの依頼を受けさせて殺すつもりだったとか!?
「あのね、この依頼は依頼人がわざと貴女に以来を失敗させて、難癖つけて奴隷として手に入れるつもりだったらしいのよ」
「はぁー!?」
「まぁ驚くわよね、それに職員のマークが成功したらお前にも使わせるとか言われて、それに協力したらしいのよ」
「こんな事は絶対に許されない行為だ、奴らにはしかるべき報いを与えると約束しよう」
えぇー、何それ? 失敗するのが分かってて受けさせたとか、ひどいわー。
大事なことだからもう一回言うわ。
ひどいわー、そしてマーク、地獄に落ちろ。
その後、私は報酬と慰謝料、合わせて1000000ガルを貰い、アイテム袋も貰って、公衆浴場に行った。
ふうー、今日は疲れたわ。
命の危険も感じたしさ、もうアリエルさんはメンタルがボロボロだよ。
こういう時はお風呂に限るね。
疲れた体と心が癒される。
ふう、いいお湯でした。
次はご飯食べに行こう、今日パスタの気分だから。
私はギルドに向かって歩いていく。
そしてギルドに着き、注文をするとしばらくしてご飯が来た。
やっぱパスタ美味しそう。
私はフォークを手に取りパスタを食べ始める。
うーん、美味しい! この魚介の出汁が染みたパスタのこの味、最高です。めっちゃ美味しいです。
パスタは凄く美味しいからすぐ食べ終わった。
今日もいいご飯タイムだったね。
さて、そろそろ帰ろっか、今日は森に行ったから家に帰って鎧を磨かなきゃいけないし。
私は夜道をとことこ歩いて、家に帰った。
その後家に着くと、私は鎧磨きと、洗濯を済ませ、明日も頑張ろうと眠りに着いた。