牢屋で反省させられます
剣を貰った次の日、アリエル達はリップちゃんから三日後に魔物の討伐作戦があるから準備だけしておいてくれと言われ、サクラが大浴場でのんびりしたいと言うので彼女を除いた四人で訓練所で体力造りをすることにしたのだった。
そして……アリエルは現在、牢屋に入れられていた。
「アリエル」
「はい」
「私が何でこんなことをしたか分かってるわよね?」
カリーナは鉄格子越しにアリエルに問いかけた。
「怪我したから」
「どうして怪我をしたのかを言いなさい」
「……サンドバッグを殴って手首の骨を折りました」
そう、アリエルは訓練所に着いてすぐ、私のパンチ力を見せると言って近くのサンドバッグを全力で殴り、手首の骨を折ったのだった。
「そうね、その後転がり回る貴女を見て私達がどんなに恥ずかしかったかわかる? ローズなんか貴女を回復させながら顔を真っ赤にしてたわよ」
「ごめんなさい」
「私達は貴女を放置すると三日後に影響すると考えたわ、だから今日一日さっきの事をここで反省しなさい」
「分かったよ、ごめんね迷惑かけて」
話の後、牢屋の布団は良くないと布団を新しいのに変えて貰い、アリエルの一日投獄生活が始まった。
……………………………………………………………………………………………………
あーあ、やっちゃったなぁ、まさか手首を折るなんて思わなかったよ……。
てかあのサンドバッグが硬すぎるのがいけないんだよ、石でも入れてたんじゃないだろうな? だとしたら絶対に許さん、海岸まで柔らかい砂を取ってこさせた後、砂で作るからサンドバッグって言うんだって三時間位説教してやる!
「はは、まさか反省させる為に独房に入れられる奴が居るなんてな」
ん? あぁ隣か。
顔は見えないけど牢屋に入れられるような奴だ、さぞかし極悪な奴なんだろう。
「別にいいじゃん、そういう貴方は何で入れられたのさ」
「俺か? 俺はS級の指名手配犯でな、軍の大隊と死闘の果てに捕まっちまったんだよ」
へぇーそりゃ凄いね、それに自信に満ちた喋り方…この犯罪者、随分戦闘に自信があるんだな。
「そんな悪い人なら死刑だね…御愁傷様」
「はっ! 好きに生きた結果だからな、後悔はねぇよ」
なにその格好いい悪役みたいな台詞は……今度機会があったら私も言ってみよう。
それにしても……お腹すいたなぁ…。
そろそろご飯の時間じゃない?
あっ…ご飯来た。
「ほら、飯だ」
「……え?」
なにこれ……。
目の前にあるのは、具の無いスープに固い黒パンそしてコップ一杯の水だけ……しかも乱暴に置いたから少し溢れてるし……。
……これはダメだ、幾らなんでもこの仕打ちは酷すぎる。
とりあえず鉄格子まで歩いて、土魔法でぐちゃぐちゃにぶち壊して外に出た。
「おい! なにをしている!」
「うるさいなぁ……私はリップちゃん達に文句言いに行くの、邪魔しないでよ」
私は外に出るのを邪魔する兵を風魔法で壁に叩きつけながら一階のエントランスに着いた。
そこにはリップちゃんとカリーナが立っていた。
「ねえ二人とも、幾らなんでもあのご飯は酷いよぉ……私あんまりにも腹が立ったから出てきちゃったよ!」
もう激おこだよ私は。
牢屋で反省は私が悪いし仕方ないけど、いつもの美味しいご飯は一日三回の私の楽しみなんだから、ああいうのは冗談でもダメ、二人には美味しいご飯の大切さを分からせてあげないといけないよ。
「確かに隣の人は悪い犯罪者だから仕方ないと思うけど、私は反省する事があるだけで犯罪者じゃ無いんだから! ご飯はしっかりしたのを出してくれないとダメでしょ!」
私はそう言って二人に闇の触手を飛ばす、捕まえてぬるぬるやって男性のご褒美タイムにしてやるのさ!
「や、止めるのじゃアリエル! 妾達が悪かったのじゃ!」
「そうよ私達が悪かったわ! だからこのぬるっとした感じの触手を消して頂戴!」
ふははは! 魔法で消そうったって無駄無駄! 破壊された所からぬるっと再生するからね!
ほれほれ、倍プッシュだ!
私は触手を倍に増やして、抵抗しながら避ける二人を捕まえてやった。
「ふふ、捕まえたよぉ、二人にご飯の大切さを教えてあげるよ! このぬる触手でね!」
そして私は三分程二人をぬるっとして、解放した。
「はぁ…はぁ…今回はやり過ぎたようじゃ……ご飯だけはちゃんと用意するべきじゃったか……」
「そうね……あの子食いしん坊でいつも美味しそうに食べてたものね……でもあそこまでご飯に執着してるなんて思わなかったわよ…」
「今回はこれくらいにしてあげよう、でも明日からは三時のおやつの他に午前10時のおやつも貰うからね!」
私は胸を張ってリップちゃんに要求した。
……………………………………………………………………………………………………………
リップちゃんとカリーナはアリエルを牢屋に入れた後、謁見の間で話をしていた。
「全く……あの子もこれで反省してくれるといいのだけど」
「うむ……じゃが牢に入れたりして怒ったりせんかのう?」
「大丈夫よ、あの子は温厚だし、なんで入れられたかも分かってるから怒りはしないわよ」
カリーナがそう言って直ぐに牢の兵士が憔悴しながら謁見の間に飛び込んできて、アリエルが暴れだしたと報告をした。
それを聞いた二人は急いで牢屋の出口があるエントランスに行き、出てくるであろうアリエルを待ち構えた。
「どういう事じゃ、アリエルは反省してるのでは無かったのか?」
「わからないわ、ただ城で暴れるなんてあの子は本気で怒っているみたいね、これは何かが逆鱗に触れたわよ、牢番が何かしたのかしら?」
「どうかの…じゃが不味い事になった、万が一アリエルが此方を殺す気で来ていたらもうどうにもならぬ」
「どうなるにしても、待つしかないわね……」
そしてそれから直ぐにアリエルは扉を壊して外に出てきて喋り始めた。
「ねえ二人とも、幾らなんでもあのご飯は酷いよぉ……私あんまりにも腹が立ったから出てきちゃったよ!」
リップちゃんは気付いた、牢での食事は最低限生きていけて味は度外視の酷い食事だったと。
しかしもう遅かった、アリエルはもうそれを出されて目の前で激怒していたからだ。
そしてアリエルは眉を寄せ、珍しく鋭い目をして二人を見ていて、その左目は紫に光っていた。
「確かに隣の人は悪い犯罪者だから仕方ないと思うけど、私は反省する事があるだけで犯罪者じゃ無いんだから! ご飯はしっかりしたのを出してくれないとダメでしょ!」
そう言って何も無い空間から闇でできた触手を出して二人に飛ばしてきた。
その触手は明らかにぬるぬるしているのが解ったため、二人は避けながら魔法で吹き飛ばしたり斬り飛ばしたりするが、破壊されたとこるから再生するので意味がなかった。
それを見てヤバいと思った二人はアリエルに謝り始める。
「や、止めるのじゃアリエル! 妾達が悪かったのじゃ!」
「そうよ私達が悪かったわ! だからこのぬるっとした感じの触手を消して頂戴!」
二人は謝るが、アリエルの触手は数を増やし攻撃が激化する、そして対処しきれなくなった二人はとうとう捕まってしまった。
「ふふ、捕まえたよぉ、二人にご飯の大切さを教えてあげるよ! このぬる触手でね!」
アリエルはそう言った後、二人をしばらくぬるっとして触手を消した、解放された二人は息が荒くぐったりしていた。
「はぁ…はぁ…今回はやり過ぎたようじゃ……ご飯だけはちゃんと用意するべきじゃったか……」
「そうね……あの子食いしん坊でいつも美味しそうに食べてたものね……でもあそこまでご飯に執着してるなんて思わなかったわよ…」
カリーナとリップちゃんはアリエルには食べ物関係のお仕置きは逆鱗に触れるから駄目だと心と体に刻まれた。
「今回はこれくらいにしてあげよう、でも明日からは三時のおやつの他に午前10時のおやつも貰うからね!」
こうしてリップちゃんはドヤ顔のアリエルの要求を飲み、脱獄騒ぎは無事終わった。
そしてアリエルは三日間大人しくしていることを約束させられ、いつもの緩やかな時間に戻っていた。
「そう言えば私の隣の牢屋の人ってS級の指名手配犯だったんだよ!」
「? 今牢にはそんな重犯罪者はおらん筈じゃが……あぁ! あれじゃよ、其奴は食い逃げで捕まった口だけは達者なロデオとかいう奴じゃよ! ふざけた事をペラペラ言っておるのが面白かったのでな、覚えておったよ」
アリエルの質問に、リップちゃんはケラケラ笑いながらその口だけロデオとかいう奴の事を話した。
「え? じゃあ牢屋で言ってた話は全部嘘?」
「そうじゃな、間違いなくの」
その言葉にアリエルはがっくりと肩を落とし、格好いい悪役みたいな台詞を言ってたのに、全部嘘かぁと落ち込んでいた。
そして三日後、魔物の討伐の日がやってきた。




