サクラちゃんが仲間になりました
……アリエル、久しぶりね
「ん…あぁ…またここに来てたんだね…久しぶり、お母さん」
アリエルは久し振りに聞いたエンジェライトの声で目が覚め、以前に来た、白の空間を見回しながら返事をした。
……ごめんなさいねアリエル、私もここに来て喜んでいない異世界人が居るとは思わなかったのよ
エンジェライトは申し訳なさそうにアリエルに謝ると、話を続ける。
……貴女達には言ってなかったけど、異世界人は召喚陣で混沌神の因子を集めて呼び出す物でね、何かに劣等感を持っている、元の世界に絶望して物語の世界に行き、自分の欲望のままに行動したがっているとかを心で願っている者が選ばれて呼ばれて居る筈だったのよ、だから全員殺しても問題ないと思ったのだけれど……どうもあの子は運が悪かっただけみたいね…さっき見させて貰ったけど、彼女に混沌神の欠片は無いわ、魂がヘドロみたいな色では無かったし、どういう訳か地球産の歪な力も無いし、恐らくこの子は魂だけ誰かの召喚に巻き込まれたのだと思うわ、可哀想な子ね
「じゃあ殺さなくていいよね? サクラちゃんは何も悪く無いもんね!」
……ええ、貴女が今度からママって呼んでくれるなら良いわよ、でも多くて五人までよ、それ以上は駄目だからね。
「わかったママ! ありがとう!」
……じゃあまたね、愛しいアリエル
エンジェライトがそう言って微笑むと、アリエルの目の前が暗くなり、目が覚めた。
すると目の前にリップちゃんが居た。
「アリエル目が覚めたか、早速じゃがその異世界人はどうしたのじゃ?」
「この子はサクラちゃん、敵じゃ無いから連れていくよ、女神様もサクラちゃんは殺さなくて良いって言ってたし」
アリエルがそう言うと、リップちゃんはふむと少し考えた後、微笑んだ。
「それなら良いのじゃ、では転移するからの」
リップちゃんがそう言うと、転移が発動し、アリエル達は城の前に立っていた。
それから二人でサクラを寝室に寝かせ、今日は美容にこだわる日とかほざいてどっか行ったカリーナを除いた皆で目覚めるのを待つことにした。
そして暫くしてサクラが目を覚ました。
「はっ! ここは……」
「おはようサクラちゃん、ここは魔王城、今日から貴女のお家だよ」
「え…なら魔王様にご挨拶しないと……あ! 貴女が魔王様ですよね! ボクはサクラ・マイハマと言います、ボクが知っている皇国の情報とか全てお話させて頂くので、どうかこれからよろしくお願いします」
そう言ってサクラは頭を何度も下げて挨拶をした……何故かローズに。
「あ…あの私は魔王様では無いです……えっと覚えていませんか? ローズです」
「……え?……あー! 本当にローズ姉だ! 良かった、ここに居たんだね! あいつらが奴隷にしたとか言ってたから心配したんだよぉ、全く、そんな禍々しい格好してるから気付かなかったよ! 」
サクラがローズをまじまじと見ながら苦笑いをしつつそう言うと、ローズはとても悲しそうな顔をした。
「あれ? ローズちゃんはお知り合いだったんだ」
「ええ、サクラは私と良く一緒に居ましたから、泣き虫で寂しがり屋だったので大変でしたが」
昔を思い出すように、ローズはサクラとの日々を話し、穏やかに笑っていた。
「サクラだったか? 妾が魔王であるリップじゃ、宜しくなのじゃ」
「はい! 先程は間違えたりして失礼しました、ボクはサクラ・マイハマと言います、宜しくお願いします」
「ふむ、異世界人とは思えぬ腰の低さじゃの、前に見たあの女は会って一言で攻撃して来たのにのう、まぁその後キレたアリエルが酷い呪いを掛けたが」
リップちゃんは感心した様に頷いた後、呆れた顔で前に襲ってきた憎きデブ女の事を話した。
「呪いって言うと、あれかな? 私も聞いただけだけど、ディスペアーカースとかいう凶悪な呪いを掛けられた三人が三日間恨み言を言い続けて死んだっていう」
「なにあいつら、日本刀野郎以外は初対面なのに三日も悪口言ってたの?」
アリエルはソファーでぐうたらしながら呆れたようにそう言った。
「それより……皇国での事を教えてもらえぬか? 特に異世界人は後何人程居るのかと、厄介な力を持ってる者をな」
「はい……まず人数だけどボクが逃げる前までは80人位だったかな? 大きな戦いに負けて結構死んじゃったらしいから、それと厄介なのだけど、まず自称聖女のカレン、年は20代半ばで、この人は一言で言うと権力が大好きな高いビッチかな…聞いた話だと高い地位の殆どの人と寝てるとか。
能力は回復、それも結構力が強いみたいで深い傷でも治せるらしいよ。
次は勇者序列一位のトモキ、年は17だって言ってた、この人はえっと……チート主人公って分かるかな? 要するに反則みたいな力を持つ人の事なんだけど」
「正にアリエルの事じゃな」
「ええ、間違いなくアリエルさんですね」
サクラの説明に二人は真顔で即答したので、サクラは苦笑いをしていた。
「まぁとにかく自分がそれだと思ってる人だよ、能力も凄くて、闇を自由に操る力らしいんだ、この世界に来てからどんな人にも魔物にも負け無しで、最強の力って言われてるよ」
「ふむ……確かに凄いかもしれぬが、光と闇を操るアリエルとは相性が悪すぎるの、戦いになれば瞬殺できるじゃろ」
「は…はぁ…なら次いくね、次は勇者序列二位のマサシだね、年は19って言ってたかな、この人は自分の能力が高いのを良い事に、現地人に上からな態度をとって、さらに知識チートとか言って、無理に領地を貰って経営してるみたいだよ、難航してるらしいけど」
「私もその二人に体を求められたりしましたよ、無視して相手にしませんでしたけど」
アリエルとリップちゃんは、あぁやっぱり異世界人はゴミだなぁと思い、確実に殺してやろうと決意を新たにした。
「そう言えばローズ姉はモテてたよね、召喚した男の勇者殆どに言い寄られたんじゃない?」
「分かりません、私はサクラ以外は関わり合いたく無かったので距離を取っていましたし、サクラを教皇の息子から守らなければならなかったので」
「あれかぁ、あの人僕が召喚されて直ぐプロポーズしてきてね、返事もしてないのにずっとボクを自分の物って言ってきて気持ち悪かったなぁ……」
ローズとサクラは昔の事を話しながら、どんどん不機嫌になっていった。
するとリップちゃんが気まずそうに二人に話しかけた。
「それよりどんな能力かを教えてほしいのじゃが」
「あぁ、ごめんなさい、能力は具現化魔法だったかな? 自分が思った物を作って使えるらしいよ、作れるものには限度はあるみたいな事を誰かが言ってたけど」
「そうか…助かったのじゃ」
「ねえねえ、サクラちゃんの能力って何?」
「ボクは身体能力が上がるだけの能力だよ、近接戦闘専門みたいな感じ」
サクラはそう言って部屋の中を結構なスピードでちょろちょろし始めた。
「速いのう、妾以上じゃな……まぁよい、妾は少し外に出るのじゃ、お主達はゆっくりしてると良い……良いかアリエル? 余計な事はしなくて良いからな? 何度も言うがフリじゃ無いからの? 分かったなアリエル」
リップちゃんはアリエルを凝視し、しつこいくらい余計な事をするなと言い続けた。
「そんなに言わなくても大丈夫だよぉ、カリーナの美容活動に混ぜてもらおうと思ってただけだから」
アリエルがそう言うと、リップちゃんは安心したように部屋から出ていった。
「じゃあ私達も行こうか、あ、そうだ飴あげるよ、美味しいから食べながらカリーナの所に行こ」
アリエルは二人に赤い飴を渡し、カリーナが今日の会場とか言っていた大浴場に向かった。
そして三人が大浴場に着き、服を脱いで中に入ると、半身浴をしているカリーナが居た。
「カリーナ、私達も仲間に入れて」
「いいわよ、じゃあ次はサウナだから一緒に来なさい」
こうして四人はサウナに向かい、カリーナとサクラが挨拶をして、我慢大会が始まった。
「私より早く出た人は私オリジナルの服を着て貰うから、カリーナはセクシーで超ミニなタイトスカートね、サクラちゃんは肩のはだけてて超ミニスカートな和服、ローズちゃんは局部以外スケスケのスケルトン聖女服ね」
「あ…あの、私のだけ異常に露出度が高くないですか?」
「そう? でもローズちゃんは美人だから似合うよ」
「そういう心配はしていないです、二人より露出度が高いことが納得いかないのです!」
ローズは必死でアリエルに抗議をする、それはもう肩を掴んで揺らしながらいかにそれがおかしいかを説法をする様にこんこんと話し続け、アリエルが目を回して最初にギブアップした。
そして美容活動が終わり着替える時にカリーナがアリエルの服を奪い取った。
「何すんのカリーナ」
「アリエルは負けたのだからこの服を着なさい」
そう言ってカリーナが持っていたアイテム袋から出したのは、丈の短いチューブトップにショートパンツ、袖の無いパーカーだった。
アリエルが仕方なくそれを着ると、ローズとサクラはうわぁという顔をしていた。
「何か変かな?」
「変って言うかエロい、チューブトップは胸しか隠せてないし、ショートパンツから出てる足がやたら扇情的っていうか……同姓のボクでも顔が赤くなるくらいのエロさだよ」
「やめて、そういうこと言うのはやめて、気にしちゃって外歩けなくなるから」
「とりあえずパーカーの前を閉めましょう……あ、あら? む、胸の所ががつっかかってこれ以上上がりません」
結局、アリエルは両手で胸を隠しながら部屋に向かった、そして出くわした巡回の兵が前屈みになり、それを見つけたエテルノが兵が不審な人みたいになっているとリップちゃんに報告が上げ、リップちゃんがまたか!と急いで寝室に戻りアリエルを見たとき、真っ赤になって唖然となった後、そんな格好で彷徨くなと激怒し、アリエルはカリーナのせいだとギャーギャー騒ぐが、無理矢理絨毯の上に正座をさせられ、暫くふてくされていた。
そして反省の時間が終わり、以前約束していたご褒美を選びにカリーナとローズを連れて地下の宝物庫に来ていた。
サクラとリップちゃんは少し話し合いをすると言って寝室に残った。
「うーん、何か宝物庫って感じはしないね、普通に整理整頓されてるし武器庫と倉庫が一緒になったって感じ」
そう言いながらアリエルは飾ってある剣を一つ一つ見ていた。
すると禍々しいナイフを持ったカリーナがどうでも良さそうに喋り始めた。
「そんな真剣に選ばなくても、貴女なら魔力さえ通せればどの剣でも同じでしょうに」
「そうなのですか? 剣を選ばないなんてアリエルさんは剣術が達者なのですね」
「違う違う、どうせ剣を媒介に魔力に物をいわせた魔法で攻撃するだけなんだから、結局どれでも一緒なのよ、それにアリエルは剣術はダメダメよ、子供レベル」
カリーナが無い無いと手を降りながら、ローズの言ったことを否定すると、ローズこてんと首を傾げていた。
「それなら剣でなくても良いと思うのですが、そもそも魔法なら杖の方が威力も上がりますよね?」
「そうね…でもあの子は剣に変なこだわりを持っててね、手放そうとしないのよ」
困ったものよとカリーナはため息をついた。
「よし! これに決めた!」
そう言ってアリエルが持っているのは、刀身が金と紫のやたらと芸術的な剣だった。
「綺麗な剣ですね」
「そうでしょ、これで私の強さが一段階上がったね」
「上がってないわよ」
三人は宝物庫を出て鍵を閉め、寝室に戻ると、リップちゃんとサクラがお茶を飲んでまったりしていた。
「その剣は……」
「リップちゃんどうしたの?」
リップちゃんがアリエルの剣を見てふいっと目を逸らすのを見て、カリーナが小声で話しかけた。
「いや…あの剣なんじゃが……あれは観賞用の宝剣なんじゃよ、かなり頑丈で魔力も通すが…刃が入っていないから切れないんじゃよ」
「そうなの、でも使うのがアリエルだから問題無いでしょうし黙ってましょう」
「うむ…あんなに喜んでいるアリエルにはとてもじゃないが言えんのじゃ」
そんな二人の会話を知らないアリエルは剣をローズとサクラに見せてにこにこ笑って喜んでいた。




