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夢で痛め付けられました

「カリーナ連れてきたよー」


「あら、見慣れない人がいるわね」


「ああ、我はアヴィスナーガだ竜王と呼ばれている」


「大物じゃない、私はカリーナよ」


 カリーナとアヴィスナーガは自己紹介をした。

 アリエルは何か普通な感じだなぁとやや不満気にしている。


「そういえば…アリエルはここに来た時と比べ、馬鹿な事ばかりするようになったのう」


「え? そんなことないよ!」


「まぁ、ここに来る前は色々あったからね、この子もそんな事をする余裕が無かったのだと思うわ」


「ほう、何があったのか気になるな」


「大変だったのよ、国に追われ、それが終わると今度は勇者に目をつけられ、さらには異世界人に襲われかけってね」


 カリーナは遠い目で今までの大変な日々を思い出していた。


「そ…そんな大変じゃったのか」


「ええ、だからこの国に連れてきてくれたリップちゃんには本当に感謝しているのよ、私達、特にアリエルは表には出さなかったけどずっと精神的に参っていた筈だから、きっと本来はこれが素なのよ、それに…本当に幸せそうに笑うアリエルはこの国に来て初めて見たから。」


「何故かその話を聞くとメイド門番の態度が好ましい物に思えてくる…それに不思議とメイド門番の本当に悲しい顔や辛い顔は見たくないと思ってしまうな」


「うむ…妾もじゃよ、出来ることならこのままずっと笑って過ごして貰いたいものじゃ」


 三人はそんな話をしながら、微笑みを浮かべてナナちゃんと遊んでいるアリエルを優しく見ている。


「む、何かな三人して私を見て、もしかして私とナナちゃんの協力技を見たいとか?」


「ふふ、何してるのか見ていただけよ」


「そうじゃよ、妾達も暇だからの」


「ふっ、我はメイド門番がおかしな事をしないか見張ってただけだ」


「そうなの? それにしては三人とも嬉しそうだね、何か良いことでもあった? あったなら教えてよ」


「キュー」


 アリエルが三人にねえねえと絡んでいるが、三人は微笑んでいるだけで誰も嫌がったりはしなかった。


「アリエルは幸せそうでいいなと思ったのよ」


「妾もそうじゃよ」


「我は違うがな」


「ふーん、まぁ私が幸せそうって言うならカリーナとリップちゃんのおかげだよ、もしカリーナが居なかったら私は何処かで勇者とか異世界人に襲われてたかもしれないし、リップちゃんがここまで連れてきてくれなかったら、私達は常に安心できない生活をしていただろうからね、本当に二人にはすっごく感謝してるんだよ」


 そう言うとアリエルは笑顔になり、またナナちゃんと遊び始めた。

 そして三人もつられて笑顔になってしまっていた。


 それからしばらくたち、キャロが三人の女性を連れ、入口にやって来た。


「お待たせしてすみません!」


「気にしなくていいよ、準備があったって聞いてたからね」


「うむ、そうじゃよ気にするでない」


 アリエルとリップちゃんが、気にしてないと言うと、キャロは安心した顔になり、私達は軽く自己紹介をしてレストランに向かった。


「それにしてもキャロが侯爵なんて…」


 そう驚くのはキャロの母である、ルーテシア、キャロと同じ色の髪と目で髪の長さはキャロは肩までの長さだが彼女は背中まで伸ばしている、おっとりした感じの女性だった。


「そうね、おちびのキャロがこんな出世するなんてびっくりしたわ」


 このキャロをおちびと言う女の子は2歳年上の姉であるアリシア、この子も二人と同じ色の髪と目でツインテールにしている、ちょっとつり目のつんつん少女だ。


「お姉ちゃんすごい」


 この子は三女のアリス、彼女は白の髪に赤の目、所謂アルビノというもので、髪はサイドテールにしている。


「私は運が良かっただけだよぉ」


「そんなことないよ、運も実力の内って言うでしょ?」


「そうじゃな、アリエルは運の実力がマイナス方向にぶっちぎってるがの」


「くふ、そうね他に追随を許さないほどのマイナスよね」


「私をディスるのは止めなよ」


 アリエルは不満を顕にするが誰も気にしていなかった。

 そしてレストランにたどり着いた。


「珍しいわね、何か起きると思ったのだけど」


「レストランの中で何か起きるという可能性もあるのではないのかの?」


「有り得るわね、警戒はしておきましょう」


「……何の話しをしてるの?」


 二人が話していると、ジト目をしたアリエルが二人を交互に見ながらとことこ歩いてくる。


「貴女が居るのに何も無かったから、おかしいわねって話よ」


「ねぇ……私のせいじゃないんだよ?」


「解っとるよ、だがおかしいのは事実じゃからの、何かあってからでは遅いから、こうして話していたのじゃよ」


「そうよ、アリエルを責めている訳じゃないのよ?」


「本当に?」


「ああ、本当……ん? ほれアリエルあそこを見るのじゃ」


 リップちゃんの話が急に止まったと思うと、アリエルにあっちを見ろと首を振る、何かあるの?とアリエルがそちらを見ると、路地の所に黒ずくめの怪しい男が四人居た。


「あれって不審者?」


「わからぬが普段着であれは無いじゃろうからの、とりあえず捕まえるかの」


 そう言うと、リップちゃんはアヴィスナーガに話しかけ、二人で黒ずくめに突撃していき、二分ほどで気絶させた黒ずくめを衛兵に引き渡し私達はレストランに入り、何事もなく食事が終わった。


「あの……今日はありがとうございました」


「ありがとうございました」


「ありがとうございました!」


「ありがとうございました…」

 

 キャロちゃん一家は私達にお礼を言い、リップちゃんが用意した屋敷に帰っていった。


「では我も帰る、虹龍様の事よろしく頼んだぞ」

 

 そう言いアヴィスナーガも門に向かい歩いていった。


「じゃあ私達も帰ろっか」


「ええ」


「うむ」


 そして城に着いたアリエルはまたも単独で風呂場に向かったのであった。


 ………………………………………………………………………………………………



 ふぅ、疲れたぁ。

 こういう日はお風呂に限るよね、そしてこの時間ならいつものメイドのお姉さんがいる筈。

 今日もしっかり洗って貰わねば。


 私は扉をガラッと開けて中を確認する……居た、よしこれで風呂椅子に座れば洗ってくれるだろう。

 こうして私の予想通り、メイドのお姉さんはいつも通り私をピカピカにしてくれた。


 私は一言ありがと、と言ってお風呂にザブンと入る。

 ふう、んー何か癒される感じがない……これは体調でも崩したか? 仕方ない…今日は早めにあがって寝よう。


 そして私は早めにあがり、寝室に戻ってリップちゃんとカリーナに疲れたから先に寝るねと言って布団に入った。



 ……………………………………………………………………………………………………



 ……アリエル


 んぇ、何ぃ?


 ……アリエル、私の愛しい子…私はようやく貴女を見つけたわ


 んー? 知らない声だけど誰ぇ?


 ……貴女は私の子…人間にも、奴にも絶対に渡さないわ。


 ぎっ…あぁぁぁぁ! 目が! 目が痛い!

 

 ……止めなさい!


 ……な! 邪魔をしないで! この子は私の子よ!


 ……違う! アリエルは貴女のもとを離れて私の所へ来たの!


 な、何を言ってるのか知らないけど、目を痛めつけないで! 本当に痛いの!


 ……うるさい! この泥棒猫! アリエルは渡さない!


 ……止めなさい! アリエルはようやく幸せになったのよ! それなのに貴女の都合でどうこうするのは許さない!


 ……だとしても! アリエルは私のもとに居るのが一番幸せなの! だからこれからは私と二人で新しい場所で生きるのよ! それに奴もこの子を狙ってる!


 ……そんなの分かってる! でもあの大陸はどうするのよ!


 ……ふふ、どうするって? そんなの決まってるわ、アリエルの居ない大陸なんて…必要ない、私はアリエルだけが無事ならそれでいい


 ……まさか……捨てたの?


 ……そうよ、もう破棄したわ、あぁでもアリエルを助けてくれた街と救おうとしてくれた国を一つずつ加護を増やして周辺に特殊な結界を張っておいたのよ、邪なのが入り込まないようにね……


 ……なんて事を…


 ねぇ、痛いから止めてよぉ、お願いだからぁ。


 ……ごめんねアリエル、もう少しだから我慢して?


 ……まさか! 貴女アリエルに神痕を刻み込む気ね! させないわ!


 ……邪魔しないで! くっ、中和されて…ない、いや、混ざってるわ!


 ……な!? アリエル! もう起きなさい! そうすれば痛くなくなるわ!


 あぁぁぁぁぁぁぁ!!



 …………………………………………………………………………………………………………

 



「あぁぁぁぁぁ!」


「ちょっとアリエル! どうしたの……その左目どうしたの…」


「…え? 何か変なの?」


「どうしたのじゃぁ、こんな早くに……アリエルその目はどうしたのじゃ……」


「目?」


「もしかして真っ赤とか? 内容はよく覚えてないんだけど、目を痛め付けられた夢を見たからかなぁ?」


 そう言ってアリエルが鏡を見ると、そこに写ったアリエルの右目が紫、左目が銀になっていた。


「何これぇ! 何でこんなことになってるの!?」


「病気…では無いわよね、こんなの見たこと無いわ」


「うむ、それは無い…アリエルの目をよく見てみよ、瞳孔がおかしな事になっておる」


 アリエルはリップちゃんの言葉に焦って鏡に向き直り自分の目の中心を見る……その結果確かにおかしな事になっている、瞳の中に十字架ような物が形どってしまっていた。


「これ違うのが半分ずつなんだけど」


「むぅ…よく見るとこれは……右目の色は闇の女神の色じゃな、妾の髪と同じ色じゃし見慣れたものじゃ」


「左は光の女神の色よ、間違いないわ」


 その結果に二人は戸惑う、まず女神の色を目に刻み込まれるなんて事自体聞いたことがないのに、両女神の色が半分ずつ、意味がわからなかった。


「どういうことじゃ……加護…では無いじゃろうな」


「それ以前にアリエルと女神には何の関係も無い筈よ、そういえばさっき夢で目を痛め付けられたとか言ってたわよね?」


「あぁ、うん内容は覚えてないんだけど、目を痛め付けられたのは覚えてる、凄い痛かったんだよ」


「まさかそれが原因だとでも言うのか?」


「他に思い付かないもの、だって昨日寝る前までは間違いなく桃色だったわよ」


 話が行き詰まった時、カリーナは夢が原因では無いかと言い出すが、リップちゃんはそんな馬鹿なと言わんばかりの顔をする。

 しかし、他に思い当たる原因は誰も思い当たらなかった。


「考えても仕方ないって、害は無いみたいだから大丈夫だよ」


「そうは言ってもね……リップちゃん、とりあえず調べてみるから図書館借りるわね」


「うむ、頼むのじゃ」


 こうして話が纏まり、いつも通り三人でご飯を食べた後、カリーナは図書館に、私とリップちゃんは神殿に行って見てもらうことにした。


「どうじゃ? 何か解ったかの?」


 リップちゃんがそう言うと、神殿の大司祭がアリエルの目から離れ、考え始めた。


「……前に禁書である光と闇というもの読んだときにこのような記述がありました、創造の女神たる二神は、我が子と定めた生物に神痕なるものを与えると……そして愛情が深いほど目に近い位置に刻まれると…そう書かれていました」


「何故目なのじゃ」


「それは独占欲ではないかと…自分だけを見なさいという女神の思いの強さに比例すると書かれていました」


「だとするとこの状態は……」


「光の女神と闇の女神が取りあった結果ではないかと…これは予測でしか無いのですが」


「そうか……どうしたものかの…」


 その時突然隠密の人が現れ、リップちゃんに何かを話した後まだまだ消えていった。


「ふぅ…人間がこちらに来ようとしているらしいのじゃ」


「そうなの?」


「うむ、相当大規模な探査の儀式を使って探したみたいでの、アリエルがここに居るのがバレたようじゃ」


「不味い?」


「いや全然じゃ、加護もない奴等には少しも近づけぬよ、海域に着いた途端に闇に飲まれて終わるじゃろう、それに結界もあるからの、無理と断言できる」


 リップちゃんがそう言うと、アリエルはよかったぁとほっとした顔をして微笑む。


「ふふ、よかっ……」


 ……アリエル、私は後ろよ、私を見なさい


 私は急に何かの気配を感じた後、どこかで聞いた事のある声に振り向く、そこには足首まである輝くような銀の髪に銀の目の膝丈の白いワンピースに白いカーディガンを羽織った優しそうな女性が立っていた。


「え…誰?」


 ……分からない? 私は光の女神エンジェライト、ふふ、この名前を名乗るのは貴女が初めてよ、貴女は私の愛しい娘だからね、偽名は名乗りたくないのよ


「どうしたのじゃ、アリエル!」


「わ、私は貴女の娘じゃ…ないよ?」

 

 ……いいえ、貴女は私の娘よ、でも彼女が怒っているみたいだから今日はここまでね、……あぁ、その目は私達からのプレゼントよ、上手く使いなさい、それと混沌に気を付けなさい


 そう言って女神はその場から消えた。


「リップちゃん…混沌って知ってる?」


「いや、知らぬ、それより大丈夫か?」


「うん、大丈夫だよ! それとこの目は女神様からのプレゼントなんだって! 変なのじゃなくて良かったよ」


「プレゼント? よく分からぬがまぁいいのじゃ、調べる事は無くなったからそれを伝えにカリーナの所に行くのじゃ」


「うん!」


 私達はもう調べる必要は無いとカリーナに言うために図書館に行こうと歩き出した。





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