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獣っ娘は最高です

 ギルドの中に入った私は、受付を見て驚いた。

 そう、私が会いたくてたまらなかった獣っ娘がそこにはいた……。

 そう…今の私はあのモフっとした犬耳から目を離せない。


「リップちゃん、あの受付の子って犬族?」


「うん? あれは犬猫族なのじゃ」


「え? 犬猫族? 何それ犬なの? 猫なの?」


「いや、正確にどちらかは解らないのじゃ、あの娘は犬の耳に猫のしっぽじゃろうが、逆もあるしの、だから解らないのじゃ」


 うーん、 なんかモヤモヤするからどっちかにしてほしいわ、 私そういうの本当に気にする方だし。


「別にどっちでもいいじゃない、可愛いのだし」


「まぁ可愛いけどさぁ、気になるんだよね」


「なら本人に聞けばいいのじゃ……ちょっといいかの?」


 リップちゃんが受付の獣っ娘に話しかけた。

 どうなんだ? 語尾にニャとか言うのかな?


「はい魔王様、今日はどうされましたか?」


 なんだ語尾は無しか……。

 ただ声は素晴らしい、日本なら声優になれちゃうくらいのアニメ声だ。


「うむ、妾の友人が犬猫族は犬なのか猫なのか気になるらしくての」

 

「はぁ……まぁ半々って感じでしょうかね」


「あ、あの! モフらせてもらっても良いですか!?」


 もう犬猫族については訳が解らないから諦めた。

 その代わりその耳としっぽをモフらせて欲しいと私はテンション高めに頼み込んだ。


「え? あの…耳としっぽは心に決めた人で無いと触らせてはならないと言われておりまして……」


「えっ…駄目なの?…そ…そんなぁ……うっうっ……」


 私はあまりの残念さに泣いた、婚約破棄されて国を追い出された時も、30mの蛇と戦った時もちょっとしか泣かなかったこの私が、獣っ娘をモフれなくて大泣きした。


「ちょ、ちょっとアリエル、泣くほどの事じゃ無いでしょ」


「そ…そうじゃよ、泣くほどではなかろう」


「う…うぅ…モフらせてぇ…」


 私は受付嬢の手を握り泣きながら懇願する。

 獣っ娘をモフるというのは、私のやりたい事ランキング2位の超重大な事なのだ。

 こんなことでは諦められない!

 

「わ…わかりましたから、後で妹を呼びますから、子供なら触っても大丈夫なので泣き止んで下さい!」


「ありがとぉぉ」


「はぁいいですよ…それで用件は以上ですか?」


 受付嬢は安心したようにため息をついた後、用件を聞いてくる。


「いや、さっきまでのはアリエルのわがままなのでの、本題は素質を調べてもらおうと思ったのじゃ、それと名前を聞かせてもらえるかの?」


「あ! 申し訳ありません、私はミリアと申します。 ではご用意しますのでお待ちください」


「よろしくねミリアちゃん!」


 私が元気良く言うと、ミリアちゃんはにこっと笑って、紙の上に変な文字が書いてある石板を置いて用意し始めた。


「はい、用意できましたので、調べたい方からこの石板に手を乗せて下さい」


「リップちゃんやっていいよ」


「いや、妾のを調べに来たのでは……まぁいいか」


 そう言ってリップちゃんが石板に手を乗せると、ピピピって音がして石板の下の紙にリップちゃんの素質が書いてあった。


 名:リップ・フラワーガーデン

 年:12歳

 クラス:魔王


 体力:S 物攻:S 防御:A 魔力:S 魔防:S 運:C


「リップちゃん超強キャラじゃん、しかも名前が可愛くて魔王とは思えない」


「それは私も思ったわ、フラワーガーデンとか素敵な名前過ぎると思うの」


「な! 妾の気にしている事を……」


 リップちゃんは私達の言葉でがっくりと落ち込んでいた。

 まぁ取りあえずは次と言うことで、カリーナが石板に手を乗せる。


 名:カリーナ

 年:17

 クラス:魔法使い


 物攻:C 防御:C 魔力:SS 魔防:SS 運:E


「カリーナはやっぱ後衛だね、そしてちょっと運悪すぎるんじゃない? 大丈夫?」


「大丈夫よ、確かに私は運の良い方ではないけどアリエル程じゃないから」


「ふっ、そんな事言えるのも今のうちだよ、私の能力を見たら言えなくなっちゃうだろうからね」


「まぁやってみるのじゃ、それで全てはっきりするのじゃ」


 ふふん、今の私は剣術に始祖精霊の魔力がある…とんでもない結果になっちゃいそうだ、ごめんね二人とも。


 名:アリエル

 年:17

 クラス:魔法剣士


 物攻:E 防御:D 魔力:SSS 魔防:SSS 運:F


「ふふ…アリエル私より非力じゃない、前衛変わってあげるわよ?」


「うむ、アリエルに物理戦闘の才能が皆無な事が証明されたしの、後衛が良いと思うのじゃ」


「…………」

 

「それに運も酷いわね…まぁでも全体の運だからこの程度で済んだのね、男運だけならZ付けても良いと思うもの」


「まぁ…納得じゃな、外の男の事もあるしの」


  「運の事は解りませんが、前衛での戦闘は危ないのでやめた方がよろしいかと思います」


「何さ! 言いたい放題言ってさ! 私は前衛を止めないからね! そのうち剣聖とか言われるようになるんだから!」


 皆が気まずそうに黙る、ミリアちゃんまで気まずそうにしてる。

 何で黙るの? 止めてよこういう空気にするの。


「お姉ちゃん、わたし今から買い物行くけど今日の夕御飯なにがいい?」


 後ろから扉の開く音が聞こえ、少しすると私達の前にロリな獣っ娘が現れた。

 ま…まさか…この子がミリアちゃんの妹?


「あ…あのねミリィ、そこのお姉さんがミリィのお耳としっぽ触ってみたいんだって」


 ミリアちゃんは私の目を見て少し怯みながら妹ちゃんに頼んでくれた。


「いいよ! でも優しく触ってね?」


「あ…ありがと…じゃあ触らせてもらうね」


 私はケモ耳を少し触り、いきなり抱きついてモフり始めた。

 ほぉぉぉ! なんという至福! 私はこれをするためにこの世界に転生したのかもしれない。


「あ…このお姉ちゃんの撫で方気持ちいい、わたし癖になっちゃうよぉ…」


 そして至福の時間が終わった……。


「あー、最高だったぁ」


「それよりその子どうするのよ」


「お姉ちゃぁん」


「うん、どうしよう」


 今私の腰には、さっきまでモフっていたミリィちゃんが抱きついて頭を擦り付けている。

 ミリアちゃんは「どうするんですか?」みたいな顔をしているし、リップちゃんも呆れている。


 どうしようか…お持ち帰りしちゃ駄目だよね?





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