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婚約破棄の後は自由に生きます  作者: もも
婚約破棄編
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第三回!勇者の恐怖です

 闘技場はとても楽しかった。

 円の形に作られた戦う場所に、その回りを囲むように沢山の席が並んでいた。

 すごかったよ、あんなのゲームとかでしか見たこと無いし、大会の時の闘技場を想像しただけでわくわくしちゃったよ。

 その後は医務室と、選手の待機部屋を見てから家に帰ったんだよね。


 そして今日は大会前日、街もお祭り騒ぎで出店や、他国の行商人もたくさん来てるみたいだから、カリーナと遊びに行こうとしてる。


「カリーナ、そろそろ見に行こうよ」


「そうね、楽しみだわ今日は他国の珍しい物もあるかもしれないし、お金もたくさん持っていくわね」


 そうして私はまだ見ぬ他国の売り物に思いを寄せ、玄関のドアを開けた…そして閉め、鍵とチェーンを付けた。


 …………嘘……どうしてなの?

 どうして勇者がここにいるのよぉぉぉぉぉ!

 ヤバいヤバいヤバい! これは想定外すぎる!

 なんでこんな普通の家なんかに………ソーラーパネルか!

 最悪だ! 完全に盲点だった!


 私達はあの時、どうせ飾りにしか見えないよね、とか言って楽観視してた! 確かにこの世界の人ならそれでも大丈夫だろう、だが奴は勇者、異世界人だ! しかもトーナメント表の名前を見た感じ同郷だろうし……。

 そんなのがこれを見たら来るよね。

 だってソーラーパネルだもん。


「ちょっと、何で閉めるのよ、それに汗がすごいわよ」


 カリーナがそう言いながらドアに手を伸ばす、そして私はそれを必死で止めた。

 カリーナはそんな私の行動を見て、不思議そうな顔をした。

 私は真剣な顔をして、カリーナにこう言った。


「……落ち着いて聞いて……家の前に、あの勇者がいた。だから声は小さめにして、幸いまだ気づかれてないから、このまま籠城してやり過ごそう」


 カリーナの顔色は一瞬で真っ青になり、怯えるような表情をし、ぶつぶつ呟き出した。


「そ…そんな…ありえない…どうしてこんな所にいるの? どうする? もういっそ殺しましょうか? 」


 カリーナがヤバい、目は泳いで挙動不審だし、マジでやりかねない感じがする。


「待って、それはダメ、奴の実力は未知数、何があるか分からないわ、万が一負けたらどうなるの? 正当防衛とか言って襲われたら、私達は終わりよ」


「そ…そうね、軽率だったわ、ごめんなさい」


 私はカリーナの手を引きリビングに行き、ソファーに座らせた。


「とにかく居留守をしよう、そうすればその内帰るだろうし、万が一家に侵入してきたら、速攻で憲兵の所に行って、奴を捕まえてもらおう」


 怖いわー、あの格好も、言動も、行動も全てが怖い。

 でも逃げる準備だけは整える。

 このすさまじい緊張感、ホラー映画でも中々無いよ。

 絶対に捕まるわけにはいかない、奴は自分が勇者だから何をしてもいいって考え方をしてる異常者だ。

 なんとしても逃げ切らないと……。


 コンコン


 …………き、きた 、恐怖のあまり手が震える……


「誰かいないのか!?」


 ぐっ! なんて聞き苦しいダミ声……奴はこの世のデメリットを全て宿しているとでも言うの!?

 だとしたらなんて不遇、てか女神とか言う奴はなんであんなのをこの世界に寄越したのよ! もっとこの世界の事を考えて人選しなさいよ! こんなの職務怠慢以外のなんでもない! 将来絶対に訴えてやるから!


「ちっ、いないのか、この家の事を聞こうと思ったんだがな」


 おい! なにドアを蹴ってんだよ!

 勇者の奴、捨て台詞を吐いた後ドアを蹴りやがった!

 カリーナが驚いて気絶したじゃないか!

 とりあえず精霊にはあいつに魔法を使わせないでって頼んでおこう。

 そして、勇者がこの街を出るまでは宿で暮らそう。


 ふぅ、でも危機は去った。

 ものすごい疲れた、私もカリーナと少し寝よう。

 起きたら宿に移動することにした。


 そして、私達は起きた。


「一刻も早く宿屋に避難しよう」


 私は起きてすぐこう言った。

 猶予はあまり無い、何せ今日ここに来たんだから。


「ええ、このパソコン……アリエル! これ見て!」


 どうしたんだ? と私はカリーナの所に行き、パソコンの画面を見た。


「これって……非常通路に結界!? 嘘! こんなのあったの!?」


 パソコンには非常通路を開くアイコンと家の周りに結界を張るアイコンがあった。

 どうして以前電化製品で遊んだ時に、何故私達はパソコンを調べなかったのか? それには下らない理由があった。

 その理由は、インターネットとかどうせ繋がって無いから調べる意味無いよねとか言ってスルーしたのだ。


 ……なんと言う浅はかな思考、この時ほど自分をここまで殴りたくなったことは無い……。


「結界張っちゃえば勇者来れないんじゃない? 後移動には非常通路を使えばいいのよ」


「…うんそうだね、じゃあもう張っとこうよ、安心するためにもさ。」


 そう言い、結界のアイコンにカーソルを合わせ、クリックした、するとブゥンって音がして、パソコンの画面に結界作動プログラム、コンプリートって出た。


 これで安心かな?

 私達は次に非常通路をクリックした。

 するとガコンって音がして、暖炉の下に梯子の付いた穴が出てきた。

 私達はこれで勇者対策は完璧だねと喜び、梯子を降りていった。







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