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8話・俺の異世界転生はどうなってるんじゃあああ

 遠い何処からか声が聞こえてくる。


 捨てないで欲しい。


 一緒にいて欲しい。


 愛して欲しい。


 その声は俺の声なのか、赤の他人の声なのかさえ分からない。


 でも、その声は確かに俺の胸を震わせて感情を揺さぶる。





 △▲△▲△▲




 イタッ、頭の奥が痛い! 痛すぎる!!

 これはヤバイ、とにかく早く起きて病院に行かないと死んでしまう!


 病院? 死ぬ?


 あれ? 俺って死んでなかったっけ?



 …………!?



 死んだ、確かに死んだぞ俺は。

 それで青白い部屋に入って、転生の書で新しい転生先のキャラメイクをしたんだ。

 キャラメイクの内容は確か……六光星の加護だ!

 最強のユニークスキルを手に入れたんだ。


 きたーー!


 伝説の幕開けだ!

 これから毎日修行をして能力の限界を目指す!

 藤本を探し出して保護する!

 それで好き勝手に世界中を旅する!



 って、頭が痛い。


 この頭痛は転生後の後遺症っていうことなのか?

 それとも俺は今赤ちゃんのはずだから、赤ちゃんは生まれてきた時、これだけの頭痛を持っているってことか。

 そりゃ、あれだけ泣きじゃくるよな。


 そいえば頭が痛い方ばかりに気がいっていたけど、身体中が痛いんだけど……。

 全身打撲クラスで世界に誕生ってか!?

 赤ちゃんやベーよ。


 痛みで集中できないけど早速、修行に取り掛かりますか!

 時間は金なりっていう名言もあることだし。

 えーとまずは恒例のステータスオープン!


 目を開いてステータス画面が出ているか確認してみるが出ていない。

 それはなしっていうことね。

 了解、了解。


 ……って、おい!

 俺の目、普通に見えているんだが。

 赤ちゃんって目が見えないんじゃないのかよ。


「知らない天井だ」


 ……声も出るんかーい。


「まさか体も動くとかないよな?」


 どないなっとんねーん。

 赤ちゃんに転生するって理の管理者は言っていたはずだぞ?

 あいつ、適当なことを言ってたのか?

 まさか全部夢だったとかじゃないよな。


 確認だ確認!!

 修行している場合じゃないぞ!


 起き上がって自分の周囲を確認してみるけど、やっぱり見覚えがない部屋だ。


 っていうか俺の視線、低くないか?

 低すぎるよなやっぱり。

 転生はしているけど赤ちゃんじゃなくて子供っていうこと?


 髪の毛を触ってみるとサラサラとして気持ちがいいけど、何故か肩下まで伸びていて嫌な予感がする。

 慌ててボロボロのズボンを下げて股を確認してみる。


 ある! 小振りだけど確かについてる!

 一瞬背筋が凍ったけどこれで一安心だな。

 青タンと傷だらけだけど。


 気になったので上着も脱いでみる。


 どんな生活を送ったらこんなに身体中、青タンと傷だらけにできるんだよ。

 そういえば、俺が成長した子供の体にいるっていうことは、前の持ち主とかいるのか?

 居ないとどうやってこの体は動いてたんだよって話だよな。

 それか、俺が記憶喪失になったとかか。

 取り敢えず情報が少なすぎて訳が分からないし、スキルでも使ってみるか。


「鑑定」


 《名前:木造の椅子》


 お! 文字が浮かんできた。

 これはキャラメイクのスキルは引き継がれていると思っていいのか?

 次も試すか。


「風まほ……う?」


 風魔法って言うのもなんか変だな。


「ウインド」

「ウインドカッター」

「巻き起これ突風」

「エアーカッター」

「カマイタチ」


 全然駄目じゃないか。

 一体どういうことだ?

 確かに風魔法のスキルはとったよな?


 考えられる可能性はまず、魔力が足りていない。

 発動方法が間違っている。

 そもそもスキルは持っていない、くらいか。

 発動方法を間違えているというのが一番いいけど。


 後、やれることは……この部屋では特にないな。

 外に出るのはまだ心の準備ができていないし、取り敢えずこの体の性能を確かめるために、筋トレをしながらスキルを成長させるために鑑定しまくろっと。


「鑑定」

「鑑定」

「鑑定」

「鑑定」

「鑑定」

「鑑定」


 鑑定の回数が十を超えた所で見える情報が増えた。

 スキルレベルが上がったのではないのかと考えているけど、どうだろう?

 この感じだと一ヶ月もかからずにレベル9になれそうだ。


 体の性能もなんとなく掴めた。

 腕立て伏せは十回が限界だった。

 他の筋トレも似たようなものだ。


「鑑定が無かったら普通の子供だった……な」


 まあ、でも俺が手にしたはずの力は成長系のチートだ。

 ここから巻き返せばなんとかなるだろう。


 若干の焦りを感じつつ肉体をいじめ抜いた後、痛む頭を抑えてベッドで横になった。




 翌朝、目が覚めると体がものすごく痛む。


 筋肉痛だ。


 俺が子供の頃は筋肉痛なんてしたことなかったのにな。

 それに今日も部屋から出たくないくらい頭痛が酷い。


 まあ、そんなことも言ってられないよな。

 お腹も空いたし、トイレにも行きたい。

 ボロボロで汚い服も着替えた……痛っ、頭痛えー。

 頭痛がマシになるまでちょっとベッドで横になって、鑑定のレベル上げでもするか。


 鑑定


 お! 言葉に出さなくて鑑定できるのか!

 俺が鑑定したことを誰にも知られないで済むからこれは便利だ。


 鑑定、鑑定、鑑定、鑑定、鑑定ーーーー鑑定、鑑定、鑑定、鑑定。


 やっばいなこれ、かなりしんどくなってきた。

 そういえば鑑定って俺のこともできるのか?

 減るものでもないしやってみるか! 鑑定。


 《名前:リズベルグ=マルセン。年齢:10》


 名前はリズベルグで、十歳か。

 やっぱりこの体は子供だったということで決まりだな。

 鑑定のレベルを上げていけばもっと観れる情報が増えていくのか。

 是非ともスキルの確認はしたいところだ。

 スキルの有無でこれからの行動方針が変わるからな。


 レベルが上がるまで何度も鑑定をしていくが、今度は眩暈と吐き気に襲われる。

 あと少しだけやって止めよう。


 《名前:木造の天井。製造年:ルーラ王暦594年。製造者:ヨハネ=ハイブルム》


 おお、情報が増えたからこれでレベルアップか。

 次の一回で今日は止めておこう。

 流石にヤバい。

 最後の、鑑定!


 《名前:リズベルグ=マルセン。年齢10。父:オーランド=ルーラ。母:カナリラ=ソル=マテリア》


 今度は両親の情報か。

 やっぱりこの世界では両親がいるんだな。

 昔はどうして俺には居ないのかってよく考えていたけど、今となっては両親? 愛情? 糞食らえだ。


 この世界の両親とどう接すればいいのか……というか、両親はいきなり別人の俺に変わったらどういう反応をするんだ?

 悪魔が乗り移ったとかで隔離されそうだな……うわっ、上手くことを運ばないと詰むな。

 俺が選んだ転生先は王族だからそんなことを平気でしそうだし。


 でも俺って本当に王族なのか怪しい気もするけど……。


 部屋の広さは六畳くらいで、置いてある家具は机と椅子とベッドだけ。

 小物は幾つかあるがどれも高級そうな物ではない。

 部屋は古い木造建築といった感じで、木のいい香りが時々鼻をかすめる。


 王族でもピンキリあるのかもしれない。

 第、十六王子とかな。

 元々王様になりたいとかじゃないし、気楽でそれはそれでいいか。

 身の安全とある程度快適な生活、能力を上げるための環境。

 それがあれば十分だ。


 って、色々考えてたら真剣に腹が減ってきた。

 食べ物がないか部屋中を探してみる。


 が、何もない。


 部屋の外に出ないとやっぱり駄目か。

 気は進まないが。


 ドアを扉を開いて様子を伺うと、左右に長い廊下が続いていた。

 なんじゃこれ、滅茶苦茶長いじゃないか!

 しかも扉だらけだぞ!?

 どこに行けばご飯を食べられるんだ?


 流石王族と言うべきか、歩けども歩けども廊下は続いていて、等間隔に部屋の扉が設置されている。

 かなり歩いたが景色は一向に変わらない。

 このままだと埒があかないので、適当に扉を開けてみる。


 ガチャ。


 …………。


「キャーー!! あなた誰よ!?」


 …………。


 バタンッ!


 お着替えの最中失礼しました!


 どうやら開ける扉を間違えたみたいだ。

 にしても、惜しい。

 開けるタイミングが後少し遅かったらパンツ丸見えだったんだけどな。

 さあ次だ。


 ガチャ。


「君……誰?」


 な、なんだここは……ロリの王国か?


 バタンッ!


 一体どうなっているんだ?

 この全ての部屋にロリが入っているのか?

 考えても分からない。

 こうなったら致し方あるまい。


 調査だ!

 今から全部屋をくまなく調査して、この王国の実態を把握しなくては!

 って、そんなことしてる場合じゃ無いって。


 ガチャ!


「え?」

「君、迷った?」


 俺の前にはロリ2号……じゃなくて、水色の髪をショートカットにした女の子が立っている。

 年齢は、うーん中学生になるかならないかくらいかな?

 外人だからよく分からん。


 取り敢えず話に乗っておく。

 道に迷っているのは事実だし。


「はい。ごめんなさい」

「ん、気にしないで。ご飯まだ?」


 グリュルゥー!


 ここぞのタイミングで俺のお腹から音が鳴る。


「初等部の食堂、連れて行ってあげる」


 おお!この方は神か!

 俺に断る理由は無いので、有り難く連れて行ってもらうことにした。

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